27話
「…様。ヨムト様!」
「…ぅん」
「ヨムト様!」
ベッドに倒れたまま寝てたみたいだ。オキシーに揺り起こされる。
行儀悪く寝たのなんていつぶりだろうか。
相変わらず体は怠い。でも寝たことで痛みは少し引いたような気がする。
もう外は夜だ。雲の隙間から月が若干覗いている。
オキシーに世話をされ、お風呂に入って薬を塗られ、正しく寝かされる。
食事は、食べる気が無かったからやめた。
「皆様心配なさってましたよ。部屋から声がしないと。」
「そうなんだ…」
「明日は、皆様とお食事なさってくださいね。元気なお顔を見せてあげてください。」
「うん。」
年齢にそぐわず寝かしつけられながら、自分が寝ていた間の家族の話を聞かされた。
家族は皆優しく、心配してくれる。それは過去も今も同じ。
過去はブローチを直接もらうことも無かったし、誕生日プレゼントなんて無かった。
その優しさを利用する。兄さんを、家族を操ろうだなんて企ててる奴を消すために。
とりあえず、明日、兄さんに会って。お話を。
翌朝。誰かが起こしに来る前に目を覚まして、こっそり兄さんの部屋にはいる。
静かに眠っている兄さんを申し訳なく起こす。
「兄さん。にいさん。」
「ぐぁ…?よむ、と?」
「起こしてごめんなさい。お話したいことがあって。」
揺らして起こした兄さんは怒ること無く体を起こす。
少し伸びた髪の毛には寝癖がついている。
「兄さんが昨日言っていた事、やります。」
「…………!」
兄さんが起きてすぐ、昨日兄さんがお願いしてくれたこと、「お母様を殺す」ことをやると。
覚醒しきってなかった兄さんの顔が覚醒して、目を丸くさせた。
「ヨム、あれは…その。」
「兄さんがそれで僕のことをもっと信用してくれるならできますよ。」
「俺は、でも。」
「兄さん。迷わないでください。王になるのでしょう?」
僕の答えを聞いた兄さんは、とても迷っていた。
優しい兄さんだから。やらなくていいとも言おうとしているんだろう。
でも、それを遮ってやると伝える。兄さんのためなら。
「…わかった。」
「じゃあ、兄さん。僕、伯爵とお話がしたいです。伯爵が僕を疑っているんでしょう?であれば、当の本人と直接話してことを進めたほうがいいでしょう?」
「そうだな!俺が話をつけておこう。」
「ありがとうございます。」
覚悟を決めた兄さんの言葉を聞いて、すぐにグルヴェン伯爵と話がしたいと伝える。
直接相手と話をして、準備を進めたほうが都合がいい。都合を良くするのだ。
兄さんは優しい笑顔で間を取り持ってくれると言ってくれた。
その時は、これで話を終えた。
家族で食事を終えて数時間後、兄さんがグルヴェン伯爵とお話する時間を作ってくれた。
そこは王宮の廊下。あまり人気のないので秘密の話をするのはうってつけだろう。
「グルヴェン伯爵!」
「アテラ様!…とヨムト様でいらっしゃいますか。」
「こんにちは。グルヴェン・ジャギー伯爵。」
僕の顔を見るなり顔を曇らせたグルヴェン伯爵であったが、笑顔を貼り付けておく。
どうお母様を殺そうとしているのか。教えてもらおうか。




