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24話

「よかった。まだ無駄に探し物をしてくれていて。」


あの軟禁場所からどれぐらいかわからないが長距離。

裸足のままに移動をしてグスト・ジャギーのいる屋敷に戻ってこれた。

そして、僕にあてがわれた部屋に窓から入れば、彼は僕の荷物から必死に何かを探していた。

きっと、デコロ卿が見つけてくれた本物と偽物の帳簿だろう。

でも、いくら探しても彼はそれを見つけることはできない。


「何故貴様がここに!?」

「めちゃくちゃ走りました。」

「そんな体力も無いだろう!運動系の訓練は受けてないと」

「魔法の力ですよ。」


想定通り驚いた顔をしてくれているグスト・ジャギーの質問に丁寧に返す必要はないだろう。

強化しているから動くとはいえ足の感覚がほぼない。

自分でもよく喋れるなと思う。

早くコイツを取り押さえて帰ろう。


「グスト・ジャギー。色々犯してはいけないことをしているようだが、それ以前に僕に危害を加えた罪は重いぞ。」

「は、何のことでございましょうか?私は」

「貴様の管理する領で、王族が誘拐され、売買にかけられそうになる。それを知らぬ存ぜぬでいられると思うなよ。」


たとえコイツが「何も知らなかった」を通そうとしても無駄だ。

「知らない」で無罪放免になるような事柄ではない。

それに帳簿には売買元との取引額のような記録もある。

さっき眠らせた相手や現場に証拠は残っているだろうから、帳簿の件を含めてコイツはもうこの国では生きていけないだろう。


「お、お前こそ泥棒まがいの事をしているじゃないか。」

「泥棒?何のことでしょうか。」

「とぼけるな!我が領の大切な資金の流れを記載した帳簿を盗み取っただろう!」

「帳簿…?」

「あぁそうだ!領を管理するものとして確認を通した帳簿を!捺印までして後は出すだけだったというのに!」


動揺しながらも、反論する口はあるようで、こちらがやった事。帳簿を盗み取った事について指摘をした。

そんなもの、いくらでも言い訳が聞く。

あげく、グスト・ジャギーはどんどん自分の首を締めるようなことを言い出す。

つまり、捺印のある帳簿はグスト・ジャギーが目を通し、承認したものということになる。

そう言えば、偽物の方はサインが書かれていたな。あれも「確認した」という証拠になりえそうだ。


「ちょう…あぁ、廊下に落ちていた二冊の本のことですかね?」

「廊下に…?」

「えぇ…これです。」


盗んだのではなく落ちていたものを拾ったという体で話せば、目を丸くさせたので、ベッドの方へ移動し、枕の下から帳簿を取り出す。

よくある場所に重要なものがあるなんて思わなかっただろう。

たとえ見つけたとしても、僕以外が触れたら電流が流れるようにしてるから取り戻すことは不可能だけれど。


「なるほど、これは帳簿だったのですね。」

「え、えぇ、そうです。」

「二冊あるのは何故ですか?」

「片方は、間違って記載してしまったもので。正しく書き直したものがあるのですよ。」

「なるほど、それはどちらですか?」

「…………右手の方です。」


帳簿を左手と右手に取り、さも今知ったように話す。

グスト・ジャギーは返してもらえると踏んでいるのか、元の口調に戻り始めた。

理由を聞けばありきたりな嘘で納得しがたいことであったが、あえて書き直した方はどちらかを聞いた。

二分の一。熟考の末、グスト・ジャギーが指定したのは、偽物の方。

証言は僕の声だけで十分だ。発言力は使えるところで使わなければ。


「わかりました。とりあえず、両方を提出しますね。」

「殿下!」

「…一旦、拘束を、します。時期に、デコロ卿か、他の騎士が、訪れるはずです。」

「そのようなっ!一体どこでそのような魔法を!?」


どちらがどうであっても、僕がこんな状態になって家に帰る、それを他の騎士が確認している以上、領全体を調べる必要性が出てくるだろう。

聴覚が上がっているおかげで、遠くから馬の走る音が聞こえる。もう僕が立つ必要はない。

グスト・ジャギーを指さして拘束魔法をすれば、青色に輝く鎖が彼を殺さない程度に動けないくらいに縛った。

頭の中がフラフラする。息を上手く吸えない。

また気絶して起きてから説明することになりそうだが、デコロ卿がある程度は説明してくれるだろう。


窓の外を見れば、とても綺麗な満月が僕を見ていた。

…迷惑をかけてしまってごめんなさい。

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