23話
話して寝て、そうしていたら日の光が差さなくなりなり夜が来た。
部屋の外からドタドタと音がして半分眠っていた子どもも目を覚ました。
『てめぇら!移動の時間だ!起きやがれ!』
大柄な男が荒くドアを開けて、大声で叫ぶ。
泣く子がいても恫喝して抑え込んで、数名を引きずっていく。
『僕らも行かないと。動ける?』
「行くってどこに?」
『知らないよ。…売れるまで、どっかに行くらしい。昨日売られた人が言ってた。』
おしゃべりをしていた子が立ち上がって男の言う通りに動こうとしている。
周りの子も同じように。
理由を聞けば、悲しい顔をして信じられないことを言った。
「昨日売られた」。つまり、この国で人身売買が行われたということでもある。
誘拐・人身売買が行われているにもかかわらず、一切の報告のないジャギー領。
いくらグルヴェン伯爵自身が管理していないとは言え、大問題ではないだろうか。
この場から移動してしまうのは面倒だ。
『ねぇ、早く』
「僕はやることがある。だから行けないよ。」
『へ?』
おしゃべりをしていた子が移動を急かすので、断りを入れてから立ち上がる。そして、背にあった部屋の壁に手を当てて爆破魔法をした。
もちろん、自分や他の人に怪我が無いよう防御魔法もして。
大きな音を出したことで部屋の外に出ていた大人が戻って来る。
『何だ今の音』
「少し眠っててください。証言者は必要なはずなので。」
先程の男が入って来たので、指さしで指定をして寝かせる。
あとは、目印を。
半壊した部屋、というか家の空に向けて炎魔法を放つ。まるで花火のようだ。
『あんた一体…?』
「…ま!ヨムト様!?」
おしゃべりをしていた子が驚いている。まぁ、隣りにいた同じ境遇であろう子が急に魔法を使いだしたのだからそれはそうだろう。
そう思っていたら壊した先の木々から、馬の走る音と聞き覚えのある声がしてそこを見る。
そこには、馬に乗り焦ったようにこちらへ向かうデコロ卿の姿があった。
少し手前で馬から降りてこちらへ走ってくる。
「ヨムト様!こんなところに…」
「デコロ卿。他の騎士もここに?」
「え?あぁはい。それより、お怪我はないですか?」
「ありません。他に騎士がいるならここは任せました。主犯になりそうな人はあそこで寝かせているので捕まえていてください。子どもは保護してもらえると助かります。」
「は…?はい?ヨムト様、状況が…」
「説明は戻り次第します。今は、倒れる前に終わらせたいことがあるので。」
心配そうに駆け寄るデコロ卿の質問に回答はして、してほしいことを伝える。
早口で伝えたので困惑状態であるのは理解はできるが、体が持たない。
連続した魔力使用、範囲の広い魔法や対象指定をした魔法の使用。
幼い体でするにはタイムリミットがある。
その前に、やらなくては。
「グスト・ジャギーを拘束します。」
「どうやっ、殿下!」
屋敷の位置は知らないが、デコロ卿が来た方向から行けば見えるだろう。
デコロ卿に簡潔にやることを伝え、身体強化の魔法を最大まで自身にかける。
デコロ卿の質問の声が聞こえたような気がしたが気の所為と判断して、そのまま動物のように飛び出した。




