20話
翌朝。領にきて2日目。
昨日も食事後に強い眠気を感じつつも自力で着替えて眠りについた。
そして今日は屋敷内を散策、主に執務室に入ることが目的だ。
「デコロ卿。」
「はいはい。なんですかヨムト様。」
起きてすぐ。デコロ卿を部屋に呼び出した。
そして、デコロ卿に1枚の紙と3枚の花びらがついた青い花を手渡した。
「おいおい…おっさんに花渡しても」
「紙を見てください。デコロ卿にはやってほしいことがあります。」
「はい?……はい?!」
花を手渡され何かを勘違いしているデコロ卿に、同時に手渡した紙を見るよう伝える。
それを見たデコロ卿は、1度はどういうことかという表情で紙を見て、内容を確認して今度は驚いた顔をしてみせた。
「お、俺がですか!?無理ですって!」
「頼って、と言ったのはデコロ卿でしょう?」
「とはいえ…」
「ご安心ください。その花を握りつぶしている間、所持している物も含め姿が消えます。なので、見つかることは有りません。」
「…いったい、いつそんな」
「ともかく、真正面から帳簿なり出せというのは無理なので盗み出しましょう。僕は執務室へ人を寄せないようにしますので。」
デコロ卿に任せたのは、執務室への侵入及び財務状況のわかる帳簿なりの資料を持ち出すこと。
大抵、表に見せる用と実際に記録している用があるはずだ。
でないと悪知恵を働かせるようなことはできないだろう。
デコロ卿に渡した花は、花弁1枚を10分として姿を消すことができる魔法をかけた花だ。
過去、誰にもバレないようお父様を殺すために覚えた魔法がこういった形で役立つなんて。
デコロ卿は何故そんな魔法が使えるのか気にしているが話す必要はない。
僕は、僕でできることをしなければ。
昨日から食事の提供をやめてもらったため、メイドに彼の所在を聞いて執務室へやってきた。
ドアを開ければグスト・ジャギーがソファに座り休息を取っていた。
「おはようございます。グスト卿。」
「第二王子殿下おはようございます。どうかされましたか?」
「実はお願いがありまして。」
「お願い。」
「はい。このステキな屋敷に興味が湧きまして。ご案内いただけないかと思いお願いしに参りました。」
「なるほどなるほど…かしこまりました。ぜひ案内をさせてください。」
朝から休息を取っていた彼に、当たり障りない笑顔で屋敷を案内してほしいという。
別に案内をしてほしいという気は一切無いが、執務室が空になる時間があるなら最適だろう。
言うやいなや、彼は立ち上がって早速案内をすべく、部屋を出ていった。
僕はそれについていく。
柱に隠れるデコロ卿を横目に見ながら。




