17話
執事に呼ばれ、通された食堂のテーブルには、これは豪華な料理が並んでいた。
すでに彼は席に着いていて、食事を待っている段階だった。
「お待ちしておりましたよ第二王子殿下。」
「…豪華なお食事で。」
「第二王子殿下がいらっしゃるのですから。腕によりをかけさせていただきました。」
テーブルに並べられた食事は、肉・魚・野菜。どれを見ても良いものと見てとれるものだった。
傷んでいる様子はなくどれも新鮮で丁寧に作られている。
「覚めてしまう前にどうぞどうぞ。」
「えぇ、では、いただきますね。」
席に座るなり食事を進められたので食事を始める。
デコロ卿が毒見をしようとしたが止めて、普通に食事をする。
魔法で見た限り毒物は含まれていない。だから大丈夫。
「明日はどちらに行かれるのですか?」
「そうですね。街を見に行こうとおもっています。それと、ダムにつながある川を見ようと思います。」
「なるほど…」
「お父様に提出されたのは…川の氾濫による水害、ですよね?」
「え、えぇ。今は落ち着いていますが、それはもう甚大でして…。」
「それはそれは…」
明日の予定を聞かれたので答えておく。
お父様から教えてもらった支援要求の内容は水害。
なら、街を通る水辺、川を見に行く必要がある。それと街の様子も見たい。
こんな豪勢な食事が出てくる状態で支援を受けるなんておかしい。
その証拠を見つけなければ。
大抵、そういった書類は執務室にあるだろう。
理由無く入るなんて難しいだろうし、最悪。彼が居ないところでこっそり入るか。
ある程度食事をし、話すことも何も無くなったので適当なところで終える。
残してしまった食事は、使用人が食べると言っていたが、実際にそうするのだろうか。
部屋に戻り、フラフラとベッドにうつ伏せになる。
移動や会話で自分がおもっている以上に体が疲れたんだろう。
いや、疲れている暇はないな。
明日から3日。明日は街を見て、明後日は、屋敷内を探索しよう。
明々後日は…それらを、まとめて。
「魔法…発動していないといいな…」
兄さんやお父様お母様にかけた魔法。発動したからって僕が知る由もない。
でも、発動しないでほしい。皆の周りは、安全で幸せで…。
兄さんが幸せなら、それで良い。兄さんが悲しい顔をしないなら。それでいい。
「…街…どんな、ところ…」




