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13話

「ダメだ。」

「何をおっしゃってるんですか!第二王子殿下!」


着替えに行った兄さんと別れてグルヴェン伯爵とお父様の執務室へ。

当人が言った通り、お父様に支援を要求した。そこでお父様に聞いた。


領地に視察に行かせてもらえないかと。


過去、伯爵のお金の流れが怪しく、調査をしようとしたところ、であんなことになった。戻った今なら調べられる。

それに、兄さんは伯爵の話を信じていた。であれば何も問題ないはず。

なのに何故そんな焦ったような顔をするのか。芝居が下手すぎないか。


「お父様。これは勉強でもあります。」

「勉強?」

「はい。領地を視察する。これも国のことを知る為に必要な勉強のひとつと考えます。」

「とはいえ…」


伯爵を無視して、お父様の説得を試みる。

なかなか納得いただけない様子だ。まぁそうか。

自分も、これが兄さんだとしたら全力で止めているだろう。でも兄さんならそれを聞いたうえで強行しそうだ。


「そうですよ!?第二王子殿下、貴方は国の王子なのですよ?その自覚を」

「…その自覚があるから勉強をしたいのです。」

「であるなら、我が領地でなくとも」

「グルヴェン伯爵の領地は王都からも近いです。もしも、があった際にすぐに帰ってこれる、人をよこせるでしょう?」


悩むお父様の声を待たずに、伯爵が口を挟む。

そんなに見られたくないのか。こうなると、金の流れの有無にかかわらず見に行きたくなる。

伯爵を制するのと一緒に、お父様を再度説得するよう言葉を作る。


「次期国王となる兄さんを支えるために、勉強をしたいのです。こういったときにどう動いたら良いのか知るために。」

「アテラの…」

「グルヴェン伯爵も、ご協力いただけますよね?兄さんの為に。」


兄さんのことを出せば、お父様は頭を悩ませた。

プラスして、伯爵へも釘を刺す。

すると伯爵も言うことをやめた。

長い沈黙。お父様は伯爵が渡した紙をじっと見ている。


「…………はぁ。」

「国王陛下…」

「……わかった。」


長い沈黙から、お父様は許可を出した。声のない悲鳴を上げた。


「そうだな、1週間後にジャギー領に向かい領の視察をしなさい。もし、被害が書面通り甚大だった場合は額面通りを支援しよう。そうでない場合は…」

「国王陛下!そんな、私の領だけ」

「黙れ。正直、以前向かった伯爵の領地を様子を考えると、この額面に疑問は持っていたんだ。」

「そんな!私はただ息子のことを思って…!」

「ともかく、ヨムトの言うように勉強にもなり得るし、王都からも近い。勉強の為に一役かってくれんか。」


お父様は決めたとなった途端にどうするかを話し出す。

それを遮るように伯爵が自分だけはおかしいと抗議しようとしたが、お父様も僕とほぼ同じようなことを考えていたようではあった。

それを聞いてもなお、領主ではなく父親としての顔をする伯爵に、お父様は僕の言った理由を元に伯爵へお願いをした。

それに、今度は伯爵は黙りこくった。


「………わ、かりました。えぇ、いいでしょう。第二王子殿下の、ためでしたら。」

「グルヴェン伯爵!ありがとうございます。」


しばらくして、諦めたように伯爵が折れた。

言葉に何も乗ってないが、感謝くらいは伝えておく。


それから、伯爵と話があると言い執務室を出されてしまった。

まさか許可してくださるなんて!

早く戻って領の立地や歴史から、どこをどう見るかを決めなくては。

体調不良のため、29日は更新が無いかもしれません。申し訳ございません。

その日内で更新可能なように頑張ります。

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