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第十二話

分析室に向かうと、五十嵐、阿賀白、富士川の三人が既にいた。

何やら揉めているというか、ピリピリした雰囲気を俺は肌で感じた。

「えーと…分析の結果は?」

「うーん…それがね…」

五十嵐によると、分析にかけていたモノもデータもコーストラインに持っていかれたらしい。

「持っていかれたって…何の権限があってそんな…」

俺の言葉に、阿賀白は眉間に皺を寄せた。

「コーストラインの旧式なんだがら、元々うちの物だって理論なんだろうよ」

「それに…一応同盟国だから渡せと言われたら渡すしかないんだよね…」

阿賀白の言葉に補足するように五十嵐が付け加えた。


「…でも、分析結果のコピーぐらいは残ってるんじゃ?」

俺は富士川の方を見た。

彼女は少し俯いて、小さく首を横に振った。


「残念ながら…全部消されてました」

「…クソがよ」

阿賀白が悪態をつく。

「まぁ…コーストラインらしいよね」

五十嵐は椅子に座り何かを考えているのか、上を見上げている。


「…こんな事、言うべきじゃねぇのかもだけどやっぱりコーストラインはMOと繋がってんじゃねぇの?」


阿賀白が言ったその言葉に、誰も返さなかった。

ただ分析室の中を冷房の音だけが響いていた。


富士川は唇を噛み、何かを言いかけてやめた。

五十嵐は黙って腕を組み、目を閉じた。


「まさかそんな…ないだろそれは」

俺はそう問いかけたが、阿賀白は答えず、ただ消えたモニターをじっと睨んでいた。


「よし…決めた」

五十嵐が静かに立ち上がる。その目には、いつもの穏やかさはなかった。


「アッチがそう出るなら、コッチもちょっと反則しよう」


阿賀白が眉を上げ、富士川は首を傾げていた。

俺も富士川と同じように首を傾げた。


「反則って…何するつもりだよ?」

俺の不安を五十嵐にぶつけるが

「まぁまぁ、後のお楽しみってことで…じゃあ、色々手回ししてくるかな」

五十嵐は反則の内容を明かす事なく、分析室を出て行った。


何かが動きだす−−そんな予感だけが、分析室の冷たい空気の中に残った。


−−コーストライン情報管制室。

外の海は霧がかかり、窓越しに見えるはずの波打ち際もぼやけている。

無機質な蛍光灯の光が、金属の床を冷たく照らしていた。


「回収データ、すべて暗号化済み。転送完了しました」

オペレーターの報告に、主任の男が無言で頷く。


「例の日本の…回収して良かったんでしょうか?」

「構わないだろう。同盟国とはいえこちらが上なのは明白。それにアレとの繋がりを知られちゃ困る」


モニターには、日本から回収された旧式の分析結果が写っていた。


「主任、日本から電話会談をしたいとメッセージが来てますが…」

「電話会談?おおかた、回収した分析についての文句だろう。断れ」

主任は冷たく突き放すが

「いえ、どうやら違うようですが」

「ふむ…まぁ、いい繋げ」


主任がそう言った瞬間、通信モニターに五十嵐が映り、会談が始まった。

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