1/5
プロローグ
ポン―ーポンーー
ソナー音が機体内に低音で響き渡る。
機体が水圧により微かに震える。
閉所恐怖症じゃなくて良かったと心底思う。
だが、緊張によるアドレナリンで心臓も身体も呼吸も、全てが震えてうるさい。
じっとりと額の汗が不快に冷たい。
制御系の光が煩わしく感じてくる。
メインカメラの映像は薄暗く、敵影は無い。
周囲に生物の気配も無し。
敵はどこだ…?
下じゃない、上か?
カメラは…ダメだ役に立たない
音と振動に意識を集中させるしかない。
酸素は…まだ足りるか。
エネルギーは…ギリギリか…。
相手の対潜ミサイルはもう尽きてるはず。
なら、次の一瞬の接近に
勝負を賭ける…!