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第3話 その世界は先輩に優しいですか?②


 そんな生活をしていたら、すぐに半年が過ぎた。すると、金髪美女の言っている事が、なんとなく理解できるようになった。


 金髪美女は俺の母親で、名前をイリアと言うらしい。また、草原でチャンバラをしていた芳ばしい2人は、俺の父親のアレンと、兄のイシュリスと言うらしかった。


 そして、毎日毎日、俺の授乳を邪魔してくるクソガキは、俺と同い年の妹で、名前はイーハと言うらしい。いや、本当に子憎たらしい。


 段々と足も自由に動くようになってきたので、今度、蹴飛ばしてやろうと思う。


 イーハのパッツン前髪とクリクリの目をみる度に、なんだか無性に腹が立つのだ。っていうか、向こうもやたらに嫌がらせをしてくるし、逆相思相愛ということだろう。



 それからしばらくすると、段々とこの世界のことが分かってきた。


 ここはどこかの片田舎で、父のアレンは、よく人々の仲裁をしたり、工事の指示をしている。何気に頼られているらしいし……。この村の名前は『シャインスター』で、アレンのファミリーネームと同じだし。1人だが使用人もいる。おそらく、アレンは領主のような立場なのだろう。 

 

 アレンの年齢は24、5だろうか。俺と変わらない歳で、家族を養って領地を守って……すごいとは思う。


 ここでの生活は、現代日本に比べると質素で、この家の住人はテレビをみたりスマホを弄ったりはしないらしい。


 ……もしかして、アレンのやつ。

 あんな優男のくせに、関白亭主なのか?


 「食事中にスマホはイジっちゃいけません!!」みたいな? ま、基本、スープとパンと一品みたいな食卓だし、我に歯さえ生えれば、秒で完食できそうだが。


 だが、しかし。


 この家の人は、食べる前にお祈りして、時間をかけて食事をとる。その日の出来事を話したりしていると、案外、時間というものは早く経つようだった。


 俺は、1人での食事が多かったからな。

 なんていうか、少し羨ましい。


 俺も早く、乳以外のものを摂取できるようになりたい。


 この家の内装は木が主体で、コンクリートや壁紙のような近代的なものもない。窓にはガラスが使われているが、ステンドグラスのように小さなガラスが嵌め込まれているし、歪んでいる。


 もしかすると、この星には、大きなガラスを作る技術はないのかも知れない。電気もないし、この世界の文明レベルは、日本よりかなり遅れているようだ。

 

 人々の外見は人間そのもので、西洋人のように見える。建物や食器などのデザインもヨーロッパ調だ。違う惑星に起きた偶然にしては、出来すぎている。もしかするとここは、別の星ではなくて、別の世界……異世界なのかも知れない。

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