第2話 その世界は先輩に優しいですか?①
「イテテ……」
目覚めると、俺は、どのかの草原にいた。
「バブバブバ……(ここはどこだ?)」
んっ。
言葉が話せない。
手を見ると、小さかった。
まるで赤子の手だ。
とりあえず、立ち上がってみるか。
んっ。
立てない……。
まだ仕事中なのに参ったな。
早く戻らないと、アップデートチェックが始まっちゃうよ。
くそっ。
話せないし立てないし、暇だ。
できる事が、鼻をほじることしかない。
ほじほじ……。
「わぁぁぁー!!」
遠くで、大男と子供がチャンバラをしている。
歳の頃から、親子だろうか。
ん。あれは剣か?
よく見ると、アイツら革の鎧を着て剣を振り回しているぞ。
(おいおい。親子してコスプレガチ勢かよ……はずかしい)
んっ?
腹が減った。
すごく減った。
今すぐ栄養補給しないと死んでしまいそうなんだが。
とりあえず、腹ペコアピールをせねば。
俺は口を開けた。
「ほぎゃあああ」
おいおい、俺よ。
これではまるで、赤子の泣き声ではないか。
すると、俺は誰かに抱き抱えられた。
見上げると、金髪碧眼の美しい女性。
ほんと、美しい。
即ハリウッドデビュー出来そうなほどだ。
その女性は、俺を優しく抱き上げると、胸元をはだけて片方の胸を丸出しにした。乳首がどんどん近づいてくる。
すると、俺の唇は、意に反してエアチュパチュパを始めた。
(ち、ちょっと。これ、……吸っていいの?)
乳首がちょんちょんと頬にふれ、甘い良い匂いがする。
(じ、じゃあ遠慮なく。あーん……)
俺が口を大きく開けて、乳首に吸い付く寸前。
むぎゅっ。
何かの手に押された。
おい!
俺の至福のセクハラタイムを邪魔するなよっ!!
押された方向を見ると、赤ん坊が居た。
金髪の前髪をパッツンして、クリクリ青い目の赤ん坊。赤ん坊は、俺と目が合うとニヤリとした。
俺が、気を取り直して、もう一度吸いつこうとすると、また隣の赤ん坊にペチペチと頭を叩かれた。
赤ん坊は、キャッキャと笑った。
こ、このクソガキっ。
わざと邪魔してる……。
お前は鼻でもホジっとけ!!
すると、片乳の美女は、クソガキを抱き抱えて微笑むと、何か言った。
「イーハ。●△Ω……β□。イーハ」
ん。日本語じゃない。
聞いた事がない言語だ。
ここは地球じゃないのか……?
美女の言葉は分からないが。
どうやら、あのクソガキの名前は、イーハと言うようだ。