表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/5

1-3 図書館の外の不審者

 しばらく余韻に浸ってから帰る。


 面白い!って言われちゃった。もしかしたら明日からは友達同士か? 朝、個人的に挨拶されてしまったりして。


 気持ち悪さが顔に出ているかもしれないと思いながらもそんなことを考え、俺は自転車小屋をあとにする。


 俺は近場に家があるので徒歩通学だ。グラウンドの前を通り、中庭を突っ切って、正門の方へ向かう。


 あれ?


 湾田さんがまだいる。


 校舎から独立して建っている図書館。そこから湾田さんが一人、とてとてと出てきたではないか。


 帰ったのかと思ったが、図書館に用事を思い出して戻ってきたといったところか。


 好機!


 俺は湾田さんにすすすと近づいていき、手を挙げる。

「湾田さん」


 湾田さんは目を丸くし、口元に手を当てる。

「あ、どうも……」


「?」

 なんか急にテンションが下がった? いや、常にあんな明るくはいられないし、一人になったときくらい気持ちを休めたいんだろう。俺はまた湾田さんの可愛らしい面を発見してしまった。そしてそれを俺に見せてくれたことを誇らしく思う。

 調子に乗って尋ねてみる。

「図書館に用事があったの?」


「あ、はい……」


「なんか意外。なに借りたの?」


「ええっ……?」

 湾田さんはなんでそんなことまで訊いてくるの?みたいな恥じらい顔をするが「しょ、小説です……」と答えてくれる。


「すごいな。湾田さんは多才だよね」

 運動もするしダンスも踊るしゲームもするし、おまけに本まで読むとは。


「はあ……ありがとう、ございます……?」


「……湾田さん、ちょっと疲れてる? 大丈夫?」


「部活を、してましたから」


「そうだよな。今まで部活してたわけだし、疲れたよね」


 あまり引き止めても悪いから、今日はとりあえず帰ろう。本日の満足度は高い。もう充分だ。


「バイバイ!」


 湾田さんに手を振ると、湾田さんは不思議そうな顔をしながらも頭をこくりと下げてくれる。


「は、はあ……あ、ばいばい、です」


 うひょー。帰ろう帰ろう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ