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第5話 11歳/変化

第5話となります。

ご意見ご感想などお待ちしております。


※サブタイを修正しました。

十一歳になった。


私の体格はより変化を迎えていた。


身長は165cmになり体重も身長に見合うものになっていた。


特に面白いと思ったのは太腿が太くなり足の大きさが26cmまで成長し、去年の洋袴(ズボン)が入らなくなったことだ。


時戻りの前の私の体格では信じられないことだった。


私の身長は150cmほどであり体重も細くて足のサイズも女の子の靴が履けるほど小さかった。


私自身、病弱ではなかったが人の成長は人それぞれのようで私は家族の中でも体格は貧しかった。


この急激な成長に対してべラック先生は当たり前のようにこう話した。


「あなたのような年齢から剣術の基礎を学べばこうなるのはごく自然なことなのです。簡単に言えばあなたは正式に剣術使いの初心者になったと同じですかね」


べラック先生は笑いながら成長したことを喜ぶよう薦めてくれた。


兄は兄で「このままだとお前に身長が抜かされるかもしれないな」と冗談交じりで話し、両親は両親で「あの可愛かったグヤコールスが・・・」と何故か嘆いていた。


そのような経緯もあったと思う。


のちに学園に入学してから身長は大幅に伸びたものの体型は同級生の男子よりも見劣りしており騎士に向かないと自覚した私は文官の道を歩むことを選んだ。


・・・だから目をつけられた?


もしもだ。


私の体つきを見たパルダビュー王子がその姿に邪な想いを描いたのなら時戻り後に得たこの体格は十分に抑止力になると思う。


しかし、あの断罪劇悪夢を見る回数は確実に増えていた。


いや、年々増えていっている。


これも時戻りの影響かもしれないと思った私はお祖母様に手紙でその事を伝えた。


お祖母様(おばあさま)からは、


「これも運命だと思いなさい。でも大丈夫。あなたは運命に立ち向かう勇気を手にしているわ。だから自分を信じなさい」


と私を鼓舞してくれた。


そして、最後に一言、


「私は何があってもあなたの味方です」


と書かれていた。


私はお祖母様おばあさまの厚意に感謝した。



この年になれば剣術だけでなく勉学の方も次のステップに入ることになる。


来年、十二歳になれば私は自領の中等学園に入学が決まっていた。


この中等教育の場となる学園に入るため、私はより基礎的な知識を身につける必要があった。


とは言え、私はすでに一度目の人生で基礎的な知識に関して問題はなかった。


家庭教師も兼ねる執事のピエールに教えてもらう内容は復習みたいなものだった。


もちろん手は抜かない。


どんな年齢になっても油断は禁物だ。


執事のピエールはその雰囲気を察しているのか私に気負わないようにと心配してくれた。


ピエールもすでに私に何かあったのではないかと気付いているようだった。


だが、彼に今の段階で時戻りの話は出来ない。


時期が来るまでは秘密を貫くのみだ。



十一歳になると家族関係も変わり出していた。


十六歳になった兄は王都にある高等学園に入学した。


貴族階級や経済階級の子供たちの多くが王都の高等学園は入学する。


十六歳から十八歳まで四年間で勉学に励みながら、ここで家督を引き継ぐ以外の者は文官になると武官になるか決めなければならない。


また、貴族間での婚約交渉も行われるのもこの時期であり特に次男次女以降の者たちが成人後の事を考えなければならず私の経験上広く見ればそれぞれが伴侶となる者を選ぶのも一苦労だった。


私は運良くエミーナを婚約者として迎えることができたが結果はあの断罪劇での自死であった。


正直なところ王都には行きたくなかった。


王都にはあの王子がいるしいつどこで王子と会うかわからないが高確率で会うだろうと思う。


悪夢の中ではパルダビュー王子の口づけが今でも生々しく残っているしそれは歳を重ねるごとに鮮明になっている。


そのことを考えるだけでも体の震えが止まらなくなるほど厭忌してしまう。


だが、自分の新しい人生を切り開くためには運命から逃げるつもりはない。


そのためにも剣術の腕を磨いて自分の身は自分で守る覚悟だった。



その年の冬。


祖母様おばあさまから一通の手紙が送られてきた。


そこには王家の権力争いの様子が書かれていた。


そこには王妃側と側妃側の権力闘争が落ち着いたと書かれており、王妃側が側妃側の一派を排除したとのことだった。


これはつまり王妃派が勝利してパルダビュー王子が後継者となったと言うことだった。


私は手紙を見ながらため息をついた。


いくら時戻りをしたとはいえ外界の流れまでは変えられないのは分かっていた。


それでも王妃派が勝利してパルダビュー王子が後継者になったを聞くと自分の無力を感じずにはいられない。


「大丈夫です。あなたなら運命から逃れると私は信じています。だから私になんでも相談しなさい。自分一人で抱え込まないで」


祖母様おばあさまはそんな私の気持ちを察してくれていた。


お優しいお祖母様おばあさま


私はすぐにお祖母様おばあさまに返信の手紙を謝辞を送った。



そして、十一歳を終えた私は翌年から中等学園に入学となった。


ここにはある人物が私と共に入学するはずだ。


エミーナ・・ナイトレイ。


私の婚約者となり私を裏切った人。


私は彼女とどう接すれば良いか、頭の中で何度も何度もイメージをしながら入学の日を迎えた。


私が断罪されるまで残されたのは9年。


その時間が刻々と進んでいることに変わりなかった。

〇登場人物

グヤコールス・ペパリッチ

この物語の主人公です。十一歳になり剣術と勉学の日々が続いています。

来年になれば中等学院に入学することになります。


ボヴァリー・ペパリッチ

グヤコールスの祖母です。

孫のグヤコールスの事をさらに愛している優しいお祖母様です。

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