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生離死別  作者: おはぎ
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私は死んだようだ。死因は単なる事故だ。訓練に向かう途中に乗船していたフェリーが座礁して沈没した。どうやら私の遺体は見つかってないらしい。まぁ、洋上で死んだから見つからない自信しかない。だって私無言で大人しくしてたら誰にも見つからないくらい影薄いし。まあ、上が死亡と判断したのだろう。両親は私の葬式をした。親は私の友人の連絡先など知りやしないから友人は参列しなかった。それで良かったと思う。私は友人の涙に弱いからな。もちろん、家族の涙にも弱い。でも、友人は私の死を引きづりそうだしな。高校でも愛犬の死を結構引きづってたし。まぁ、友人の一番の友人は私ですし。あ、でもお墓参りには来て欲しいかも。空っぽの棺桶には私の好きなプリンや紅茶、本、推しのグッズで埋め尽くされた。もちろん、花もある。母さんはかつて私が言ったことを覚えていたのか泣きながら彼岸花を一輪入れてくれた。もちろん造花だけどな。親族だけで行われた私の居ないお葬式。あー、従姉妹が泣いてる。お寺の住職さんも、小学生の頃から関わりがあるからお経を唱える声が若干涙声だ。火葬場に送られる時、ついにお父さんが崩れ落ちて泣き始めた。連れ子なのに私のことをめっちゃ可愛がってくれたからな。火葬された私は骨なんてないからただの灰だけが残って、曾祖母が眠るお寺の共同墓地に名前が彫られた。私はそこから動けない。何日たっただろうか。彼奴が来たのにはびっくりした。彼奴にも人の死を悼む心があったんだな。ああ、その手紙を読んだんだね。最後にそんな言葉を送ってごめんね。たった四文字の言葉を直接いえなかった私は臆病者だ。泣かないでくれ、話が違うじゃないか。私が死んだら鼻で笑ってくれるんだろ?住職さんも泣きながら離さないで彼奴を彼奴を立ち直らせれるような説法をしてくれないか。私はもういつものように彼奴と笑える馬鹿話が出来ない。もう彼奴の目に映ることも声をかけることも触ることも出来ない。ただそこに居るかもしれない存在だ。嗚呼、空が泣き始めた。

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