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生離死別  作者: おはぎ
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アイツが軍に入ったと知ったのは、除夜の鐘の音が響く夜だった。道理でアイツと連絡が取りにくいわけだ。たまたま、地域の寺に除夜の鐘を鳴らしに行った時にアイツに会った。今日はゲームをせずにこっちに来て正解だった。いつも後ろでくくっていた長かった髪は肩より上のショートカットに短くなっていてとても驚いて問いかけたところ帰ってきた答えが入軍しただった。その事実にまた驚いた。アイツはよく怪我をするし病気にかかるやつだった。針で縫うくらいの怪我を一回、骨折を四回、大火傷を二回、新しい感染症が流行ったら必ず罹るしインフルエンザは毎年のようにと挙げたらキリがないくらいにアイツは怪我をしていた。思わず、いつか死ぬんじゃね?といつものように揶揄った。アイツはいつものように否定する所か、それか大怪我して後遺症で退職かもねとか殉職とか随分具体的なことを答えた。バカだろコイツ。じゃあなんで入軍したんだコイツ。しかし、アイツは久しぶり帰省で、楽しく過ごしているそうだ。この年明けの休暇は色んなところに挨拶回りに行くとアイツは言っていた。今度、一緒に通っていた塾にも顔を出すそうだ。先生たちも喜ぶだろう。オレが顔を出しに行く度にアイツの話も出ていた。先生たちもアイツが入軍しただなんて、知らないだろうからきっと驚くだろう。また、あの頃のように馬鹿話をしながら笑い合うのだろう。オレはその日は家族と出かけるから塾に顔を出せないが、またアイツが帰ってきた時にでも一緒に顔を出しに行こう。そして、思い出話をしよう。

 アイツの休暇が終わったらしい。塾長からアイツが帰る日が今日だと聞いた。アイツに連絡してみるともう既に新幹線に乗って寮の最寄り駅に着いたとの事だった。それから数時間後、アイツから電話が来た。内容としてはこれから忙しくなるから地元にも帰らない、連絡も取りずらくなるとの事だった。色とりどりの綺麗な振袖が街中で見られる日を最後にアイツからの連絡は途絶えた。

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