99 世の中現金なものだ
遅くなってすみません(ーー;)
お詫びも込めていつもより少し長めに。
空気の済んでいる森にて。
「ここからどうすればいいんだ?」
私達は昨日の予告通り薬草集めに専念することにした。まだ初日ということで、今日は美凪も一緒に薬草集めに参加することになった。
「えーっと、確か濃い緑でギザギザの葉っぱのリーフィ、黄緑色で丸い葉のリカル。この2つはよく見つかるらしいから。あとは……色々あるけどとりあえず毒でも薬でも自分の鑑定に引っかかった草は全部取ってきて」
ヴィスタの説明に皆が一斉にうなずく。
ちなみに皆それぞれ自由行動だ。本当はアドバイスも兼ねて私と美凪がペアになりたかったのだけれど。皆からの猛反対もありこの話はなかったことに。
ま、ここは人間界だ。魔界と違って狂悪な魔物がいたり結構やばめな闇堕ちがいたりはしないと思う。仮にも美凪はここらへんでは結構強い方の魔導師らしいしね。美凪が魔導師ってなんか笑えるけど。
てなわけでさっそく解散。
そういえばギルド、薬草だけじゃなくて魔物や獣の素材も集めてたな。今まで倒してきた(森に籠もっていたとき)同胞たちの目とか角とかを取るっていう発想はなかったらそんなもの一切持っていないし、今後闇堕ちを見つけても取ろうとは思はないけれど……。
でも猪や鹿なんかの角とかお肉とかは取ろうと思えるんだよねえ……。それもそれでどうかと思うけど、、そこでくよくよ考えてても仕方ないし。これはこれ、あれはあれで自分の中でライン引きしておかないと自分でも何がなんやら分からなくなる。
獣の素材回収はトウカたちにも言ってあるから何個かは入るだろう。5人もいればそれなりに稼げるだろうとは思っているが、稼げなかったら……ま、なんとかなるだろう。
ところで集めた素材とかはどうするんだろう。
いやいや、もちろん売るよ? そうじゃなくて、集めている最中に絶対持ちきれなくなるじゃん。どこかに固めておくわけでもないし、私の場合は空間収納に詰め込むけど……。籠とかなんにも持ってなかったけどどうするんだろうね。
たぶんどうせあの子達のことだから無駄な心配なんだろうな……。いっつも規格外なことしてくるし。
さてと、私も集めますか。
森の中はよく手入れが行き届いているのか、はたまた頻繁に人が来るのかはわからないが、荒れ果てている様子はない。日本でもよく見る登山用の山のようだ。よっぽど魔界の森より歩きやすい。
魔力感知を発動してみると、、おおう、結構そこらへんにいっぱい落ちてるな。たぶんヴィスタが言っていたリーフィとリカル? は腐るほど生えてる。とりあえず土魔法で根っこから取り出して水で洗って空間収納にぽい。この繰り返しである。
たまに遭遇したくまや猪にも対応しつつ、早くもあたりが暗くなってきた。
ちなみにトウカは何やら凄そうなバリケードを作って、その中に集めたものをためていた。そこはどうやっているのかわからないけど獣も人も一切近づいていなかった。
レーインは、、多分あれ水魔法だと思うんだけど、球体にした水(仮)の中に集めた草や動物などをそのまま投入。私が見たときには半分くらい溜まってたかな。
ヴィスタはもわからん。機械みたいなもの持ってたけど、、察してくれ。
約束の5時間が経過。日も傾いてきてそろそろ約束の時間が訪れる。あ、ちなみにお昼御飯は各自自由だよ。
私自身結構集まったなあ。えーっと、大体15.000くらい? ……これはもしかして私一人でも十分な稼ぎになるのではないか?
集合場所にはもう皆集まっていて私が最後だった。
ひとまずどれだけ集まったか種類ごとにそれぞれ分けて見る。
トウカ 3.000、1.000、5.000、2.200、3.000
レーイン 1.000、2.000、5.000、3.000、2.000
ヴィスタ 7.000、5.000、1.000、1.000、2.000
(左から順にリーフィ、リカル、ラディ、グリア、その他。獣の素材は別)
……………………うん。やっぱり皆感知魔法のレベルがえげつないことになってるのは想像できた。逆に自分も3人と同じくらい集めてるわけだから美凪がいないと普通という基準がわからなくなるところだった。ん? 私達が普通で美凪が少ないのか? いやいや。多分違う。
「まあ、こんなものね」
「これで食っていけるなんて、人間界のシステム甘いんじゃないか?」
「ま、いいじゃん。これだけあれば人間界でも当分はお金に困らないだろうし」
ということらしい。美凪がマジでありえねえ……って呟いているけれど明日からはできるだけこれに近づいてもらうからねって言ったらげんなりされた。頑張ってくれ!
というわけでさっそく換金。私達が冒険者登録したGギルドへと戻る。
受付カウンターへいき、換金できるかと聞くと後ろから大きな声がかけられた。
「おいお前ら! 知ってるか? ここはギルドだ。信用できねえ奴らには依頼も換金も何もかもできねえんだよ!!」
なんか面倒くさそうなのに絡まれた気がする。
そうなの? と小声で美凪に尋ねたところそういうルールはないらしい。よく見るとこのおっさんら、顔が赤いな。酒でも飲んでるのか?
「そういうルールはないと聞きましたけど?」
「うっせえな!! 信用が大事だってさっきもいっただろう!! 全員が変なフードかぶりやがって。せめて一人くらいは外して交渉したらどうなんだ!?」
う、うぜえ!! ほら、他のお客さんもひいてるじゃん。
いちいちここで揉めてても仕方ないので一番バレても大丈夫そうなの私がフードを取ろうとすると、、全員に止められた。
(あなた、聞いてたなかったの? 意外と人間界では"混沌の魔人"って知られてるでしょ!? バレたらどうするの!)
(そうだ! ちょっとは考えろ!)
怒られた。
じゃあどうしろっていうんだよ!! こんなところで美凪が顔出ししたら少し先に勇者パーティーに入ったときに疑われるのは私達だ。「あいつらは誰だ?」と。
と、ここで思わぬ発言が。
「私が行くわ」
まさかのレーインが人肌脱ぐ感じだ。
ぱさりとフードの隙間から目を奪われるような金髪がこぼれ、人間離れした容姿が顔をのぞかせる。
「これで、いいかしら?」
一呼吸置いたあとに大きな歓声。……やっぱり誰しも顔には弱いものだ。ここでもし角がなくてトウカが顔を出していたら大勢の女子が黄色い悲鳴を上げていただろう。世の中現金なものだ。
受付のお姉さんは慌てて私達の出した大量すぎる薬草、毒草、獣の素材たちを換金し始める。突っかかってきた人は何も言い返すことができずそこに突っ立ったままだ。多分お酒の勢いでこちらへ来たのだろう。面倒くさいことこの上ない。
数分後、無事換金が終わり一年は充分暮らせそうなお金(中には珍しいのも混じっており、値段が爆発的に跳ね上がった)を手に入れたのだった。
お知らせです。
大変勝手ながら体調を崩してしまい、少しの間書くことをお休みさせていただきます。気分がいい日には少し更新しようかなと思っていますが、今までのように上げることは難しいかと思われます。一ヶ月もすれば回復すると思うので普段通り再開しようかなと考えております。
自分勝手な都合で本当に申し訳ございません。これからもよろしくお願いします(_ _)
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