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94 これぞまさにレベチ

「勇者パーティーのメンバー、誰か知ってるか?」


いやいや、知ってるわけなかろうよ。今日始めて勇者パーティーとかいう存在を知った私だよ?


「今期の勇者はコンフォード侯爵家長男、レオンハルト・コンフォード。聖女はガリレイド国第一王女、サクラシア・ガリレイドだ」


……ふむ。びっくりするような高貴なメンツです事。え、何? 美凪はこの高位貴族だらけの中に俺も行くんですよっていう私に対する嫌味? 自慢がしたいのか? 申し訳ないが私がもしその中に入れって言われたら即座に断る案件だぞ。


「普通だったら俺もそんな高位貴族しかいない中に平民としてひょこひょこ入っていけるか!!」


……! さては貴様、私の頭の中を読んだな!?

またもやそんな表情で見ていると、美凪に都は思っていることが表情に出すぎだと注意を食らってしまった。おっかしいなー。自慢じゃないけど私、魔界ではクールビューティー目指してたのにな。やっぱり前世からの幼馴染の前だと緩んでしまうのか。


「お前、さっき俺が言ったことすっかり忘れてるだろ」


「さっき言ったこととは?」


記憶を辿ってみてもなんの手がかりも見つからなかったため、素直に尋ねる。素直が一番。怒られる前にも責められる前にも誤っておくのも一つの手である。


美凪にはあぁ、と盛大なため息をつかれてしまった。


「ま、都だもんなあ。興味あるやつとないやつの関心の持ち方が激しいのは前世から変わってないか。"俺の考えがあたっていたら"って言っただろ?」


…………おお! 確かにさっきそんなことを言ってたような気もしなくはない!! ここは言っていたことにしよう! 


「い……ってたね。それで? その美凪の考えっていったい何なの?」


「勇者のレオンハルト・コンフォードと聖女のサクラシア・ガリレイド、玲央と桜子かもしれないぜ?」


な、なんだって!?


「玲央が勇者なのはまだしも、桜子が聖女??」


「だよな!! あの桜子に聖女なんてつとまるのかって思ったんだが、国民の聖女に対する評判ってめちゃめちゃいいんだ。もはや信仰と言っても過言ではないくらいにな。……桜子も桜子でなんかやってんだろ」


まあ、、そうだよね。

しかしふたりとも面倒くさそうな立場で生まれてきてしまって。何だって? 侯爵家長男に王女? しかも勇者と聖女ときた。魔王との対立組織の代表例。……これは神様の意図的なものを感じるねえ。今度あったらただじゃおかん。


「でも美凪。そんな情報どっから手に入れてきたの?」


普通に暮らしていたら二人が玲央や桜子か以前にどんな人かもわからないであろうに、情報経路が不思議である。ていうかこの教会自体が存在が不思議なんだな。普通は前国王王弟が皇教してるなんてないからね。そこから色々とおかしいのか。


「爺さんに決まってんだろ」


やっぱり。

でもこれでアナガリス教会と手を組めたのはコチラにとってとても嬉しいことなのではないか? だって重要な情報とか入ってくるわけでしょ? いやはや、さすがは私である。


「で、爺さんは俺を勇者パーティーに入れさす前にどうやらお前たちの仲間に入れたいようだ。どうするか決めないといけないんだが……」


「ねえねえ美凪。美凪は何が引っかかってるの?」


話してみた感じ、私達の仲間に入ること自体に美凪は何か抵抗を感じているようだった。勇者パーティーに入るのとそんな変わらない気もしなくはないけど。


「まあ、一番はお前の仲間だな。吸血鬼に鬼人、エルフだって? ファンタジーおなじみのキャラだけどあれだけ敵意むき出しにされたら流石に怖気づくわ」


あー……たしかにね。それは否定しない。


「それに俺には爺さんがなんで勇者パーティーの前に都たちの仲間に入れようとさせるのかが正直分かんねえんだ」


「それは美凪が弱いからでしょ?」


何を当たり前なというように返すと、美凪はぽかんと口をあけ、理解ができないような顔をした。

あ、もしやコヤツ、自分が強いとか思ってたな。グレイスさんの言ってた天狗になっているとはこういうことか。


「あなたのレベル、総合値、今どれくらいあるの?」


「レベルは33、総合値は1000くらいだけど……」


「私はレベルカンスト、総合値は10万はこえてるかなあ」


は!?!? と大きな声を立てて信じられない様子で私を見つめている。こんなに違うかったらそりゃびっくりするわ。私自身、生まれたときからそこそこ総合値は高かったけどちゃんと頑張ったからね。


「いや、でもそれは都が魔人だからで……」


「魔人であろうと人間であろうと天使であろうと、総合値の上がり方は変わらないらしいよ?」


トドメである。

ちなみにこれは神様情報。神様たちは元魔族、人間族、天使族なので自分たちの実体験から教えてくれた。


美凪は何かいいたそうに口を開いては閉じ、開いては閉じを繰り返していた。

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