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93 幼馴染の友情とは

いきなり5人の視線を一気に受け、本人はかなり焦っているのかえーっと、あー、などという言葉しか出てきていない。ま、急には決まらないか。


「お、俺はその話、今日聞いたばっかりなんだけど、、おい爺さん。これは今日中に返事しないと駄目なのか?」


「駄目に決まっておろうが。ミア殿がいつまでいるかもわからないんじゃぞ? 今日中じゃなくて今決めなさい」


一気にハードルが上がるアルミナ。

はあっ!? とかこぼしながらもちゃんと考えている。でもその前に……


「あの、アルミナ……と、一度ふたりきりで話すことって出来ますか?」


一度二人で話してみたかったんだ。この少年、私の考えが正しいと……。


「ああ、それは全然構わんよ。じゃあわしはこの部屋を出て資料部屋へこもるがレーイン殿達はどうするもりじゃい? そういえば今日から教会のすぐ出たところで市場が開かれると言っていたかのう。そこに行ってみたらいいと思うぞ」


グレイスさんには是非というように笑顔で肯定された。「は!? 絶対嫌だ! 俺を一人にする気か、爺さん! 俺、殺されるぞ!?」とか言ってるアルミナの言葉はガン無視である。

市場。人間界の市場も行ってみたいな。

レーイン達はそこに行くようで、ドアの去り際に3人からくれぐれも頼んだぞと何回も言い聞かされた。それと何かあったらすぐに大声を出すように、とか勝手にどこかへいかない、とか、小学生の内容の注意しかされてないのが私ってどうなのって思う。


パタンと扉が締まる。

ようやくふたりきりになった。




「……で、混沌の魔人様がこんな俺になんのようだよ」


アルミナくんよ。その言葉はもし私が噂通りの混沌の魔人だったら秒で殺されてるぞ。やっぱりこれは前世(・・)で生まれ持ってしまった性格が支障をきたしているのか……。

まあいいや。本題に入ろう。


「アルミナ……だったっけ。あなた、美凪でしょ」


は!?!? と今まで以上に大きな声を出して、バッと立ち上がった。この驚き用からして……私の大正解かな。ふっふっふ、幼なじみなめてもらっちゃ困るぜ。……この様子だと美凪自身は私にことに気づいてなかったみたいだけど……。


「…………ちょっと待てよ。桜子ならこんなに堂々としてられんし玲央……だと性別が違うか。ということは……都か?」


「正解」


はあぁぁ、とまたしてもアルミナ……改め美凪が盛大なため息をついてソファに倒れ込んだ。

消去法で私を当てるとは……。あれ? 私もしかしてさっきの美凪の様子からだと記憶の中の私って存在感薄くない!? 16年間一緒にいてきてそれはだいぶ寂しいぞ!


「混沌の魔人が都だって誰がわかるかよ……。てかお前、こっちの世界来てどんだけやらかしてんの?」


「やらかしてるとは失礼な。これもれっきとした仕事だよ。美凪は人間として生を受けたみたいだけど私は生まれたときから魔人だったからね。何も悪いことはやってない」


「いや、悪いことじゃないかもしれないけどよ。俺みたいな一般市民……とまではいかんけどそれなりに混沌の魔人の所業は行き届いてるぜ。どんだけ殺ったんだよ」


「んー……、3万?」


「……………」


ま、そんなね? 私がしたことはどうでもいいわけさ。


「……都にも事情があったんだろ。俺も色々あるし、爺さんに育てられたせいか何かと人間側の動きに不信を感じることも多いしな」


……!! 美凪なら分かってくれると思っていたよ!!


「何人やったとかそんな生臭い話はやめて、ね。美凪のこと聞かせてよ」


グレイスさんの話によると捨てられていたみたいだけどもしかしたら美凪は私よりも生きにくかったのかもしれない。私は魔人という前世から見ればとんだハズレくじを引いたものだと見えるかもしれないが、素敵な家族、友人もいて、安全……とは言えないかもしれないけど私がじっとしていれば安全な住居、暮らし。どれをとっても理想の生活像だ。


「俺? 俺は大したことはなんもしてないけど……。捨てられてたっていっても物心つく頃にもう爺さんが側にいたし、この教会にいるからこそこうして都にも会えたわけだろ? 俺はこの生活を満喫してるんだよ」


ふっと柔らかな笑みをこぼし何かを思い出しているようだ。楽しい記憶かな?

美凪も楽しそうで良かった。美凪がこっちで生きてるってことは玲央と桜子もやっぱりこっちの世界に来てるってことだからね。え、天使族とかじゃないよね……? そんな意地悪なこと神様はしない……と思う。もしそうだったら殴りに行く。


「美凪はさ、玲央達が転生してること知ってるの?」


「ああ、なんとなくな……。まだ確信してたわけじゃねえけど、どうやら俺の考えはあたってたようだぜ。さっき話に出てきた勇者パーティー、あっただろ?」


ああ、なんかあったような気も……しなくはない。メイドズ達で事足りるとか思ってたやつかな。そういえば美凪に話がかかってるとかかかってないとか言ってた気が。


「あれに俺、入ろうと思ってんだよ。勇者パーティーのメンバー、誰か知ってるか?」

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