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91 全国民に知られている私の二つ名

「それよりもグレイスさん。私のそのへんな二つ名についてもう少し詳しく」


「……いや、厨二病ネーム(・・・・・・)よりも王族どうこうの話の方が重要だろ」


ボソリと薄赤茶の少年が呟く。


「どこまで話したかのう……。おお、そうじゃそうじゃ。まあそんな感じで話を聞いたわけなんじゃが、その時に混沌の魔人の話も出てのう。わしとウラトリス……現国王の考え方は少し違っておるからわしはうなずくだけだったんじゃが、ちと印象的すぎてのう」


このときにはもう、グレイスさんは魔族に対しての考え方に疑問を抱いていたようなので、現国王とも考え方は相容れなかったらしい。

後々聞いた話だと、魔族と人間、天使、神様の関係を誰にも先入観を入れられずに、ひっそりと調べたいということでアナガリス教会を設立したのだそうだ。

教会とか言いながら、完璧に自分のための空間である。王族特権使いまくりである。


「混沌の魔人、腰まである艷やかな漆黒の髪を自由に遊ばせ、同じような漆黒の瞳。まるで外に出ていないかのような対象的な白すぎる肌を持つ可憐な少女(・・)。その姿に見合わず自分の身長以上ももある大きな大剣二本をいとも簡単に振り、次々と同胞が殺されていく様子を見ていると、何千人もの戦士が戦意を失ったと。突っ立っていても仲間は次々と殺されていく。その様子から少女を"混沌の魔人"と名付けたそうじゃ」


私が喜々として暴れまわってた裏にはそんな出来事があったとは。でもでもあれは私だけが悪いわけじゃないよね。だって先に攻めてきたのむこうだし。


「当時はそんな魔族もいるのかと、半分は聞き流しておったが、数年前にとある魔族と接触しての。その頃は魔族といえば倒すものだと信じて疑っていなかったから同じように剣で切り落としたのじゃ。するとみるみる瘴気が薄れていくではないか。そこでふと混沌の魔人の話を思い出したんじゃ。瘴気もまとっておらん。瞳も赤くない。まさに今わしが切り落とした魔族はそんな状態じゃった」


「その、話を途中で止めて申し訳ないのですがその時使っていた剣と言うのは光魔法が含まれていましたか?」


「? ようわかったのう。そのとおり、たまたま天使族が魔法を付与した聖剣じゃってな」


やはり。そしてその剣をグレイスさんが使うことで、本来の光魔法の威力は出なかったが、そのおかげで例の魔族の瘴気は取れたと。ただグレイスさんの話によると光魔法が強すぎて魔族のものは力尽きてしまい、助からなかったようだ。


「そこでまた不思議に思うての。まあここからは既に話したとおりじゃ。今までのせめてもの償いとしてできる限り魔族を助けてやろうと思ったのもこのときじゃった。おぬし達は実際黒い霧のような瘴気もまとっとらんし、瞳も獣のように赤くない。わしの考えは間違いではなかったとホッとしたわい」


まさかこうして生きておる間に混沌の魔人に会えるとは思ってもなかったけどもな、と最後に付け足してグレイスさんの話は終わった。


色々とわかったようでわからない話だ。

話を整理してみると、


人間は殆どは闇堕ちの姿の魔族しか知らない。瘴気・赤目が普通だと思っている。(国王も含め)

天使族の上層部は絶対になにか鍵を握っている。

アナガリス教会は多分魔族の味方である。

私の厨二病ネームはほぼ全国民に知られている。


……かなぁぁ。


正直アナガリス教会のことは予想外過ぎてよくわかってないのだ。でも多分……グレイスさんと言う人は私達の敵ではないと思うな。私のあたるか当たらないかよくわからない感だが。


「実は混沌の魔人は半分冗談だと思うて聞いておっての。混沌の魔人事態はいるのだと思うておったが少女だとはやはり信じられなくてのう。まあ実際こうしてミア殿達をみると事実だったのじゃなの思うたが」


「私達は人間界へ闇堕ちした魔族を治しに来たんですよ。ああ、闇堕ちっていうのはあなた達がよく知っている魔族の姿のことなんですけれど……。それでこちらに知り合いなんか一人もいなかったもので、是非協力をお願いしたいのです。教会という力があればこちらも動きやすい。協力していただけないでしょうか」


人間界の拠点があるというのは実にありがたい。それに人間界の情報を知る人が近くにいるとすれば尚更。


「こちらこそ頼もうと思っていたところじゃ。混沌の魔人殿がわざわざ人間界まで足を運ぶ理由。わしらに手伝えることがあったら是非こちらからお願いしたいものじゃ」


ということは……返事ははいということでいいのかな。

よしっ!! こっちでの拠点&味方の人間ゲットだぜ!!


「ところで、隣の少年はさっきからずっとグレイスさんの隣りにいますよね。結構重要な話もしていたと思うのですが少年は全て聞いている。グレイスさんの判断ミスとは考えにくいし、その少年はこの教会にとって、いったい何者なんですか?」


そう、例の少年である。

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