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88 価値はヒトそれぞれである

遅くなりました。

準備は整った。

とうわけで早速人間界に向かおうと思う。


ケリスナさんにはこのローブに似合っただけのお金を払おうと思ったけど、断固拒否された。

扉まで開いていただいたのにここでお金を請求するなんて、アラクネ族の族長として恥であるとかなんとか。こちらとしてはこんなチートに近いローブを貰っておいてお礼もなんにもなしというのは気が引けるため、あの本たちの複写が大丈夫なことを伝えた。そしたら私が思ってる以上に喜んでたからこれはこれで良かったのかもしれない。


人間界に行く方法としては実は世間的にはとても難しいとされている。道という道はあの"最悪の日"以降向こうから一方的に閉ざされてしまったらしく、こちらから使節を送るにも一苦労しているらしい。

向こうは向こうで勝手に攻めてくるのにね。なんとも不公平な話だ。

だからといってはおかしいかもしれないけれど、こちらから人間界に渡るにはまず道から探さなくてはいけない。ゲルさんならいくつか知ってるのだろうけど、私が人間界に行くとか言ったら多分、いや絶対危ないからとか言って止められるから言いに行くのは正直にとてつもなく面倒くさい。だから言いにいかない。


じゃあどうやって向かうのか。

それはウィスター達を使うのだ!! 

覚えているかい? 私が神界に行くために何を使っているのか。

ウィスターとチェスターが連れて行ってくれているのだよ!

あの子達、本当にありがたい。だって自分の意志でいわゆる瞬間移動というものができるのよ。前の耀黒山事件ね。龍の。あのときにウィスターとチェスターがそれはもう働いてくれて、私の剣になってくれるは龍たちを運んでくれるわで。

その時にもやってたけど、勿論同じ魔界の中でも行ったところがあるのならば瞬間移動ができる。

そして魔界、人間界、天使界、神界を自由に渡ることができる。それも私達を連れて。

だから今回も頼もうと思っているのだ。


「すぐに行こうと思ってるけど準備は大丈夫?」


「ああ、問題ない」


「旅に必要なものは全部ミアの空間収納に入っているから私達は手ぶらで行けるしね。準備は必要ないわ」


「僕も大丈夫だよ」


3人とも問題はないようなので、しっかりとローブを着用してウィスター達にでてきてもらう。

移動した先はどんなところで、人間たちもどれくらいいるかとかは本当に想像しかできないからローブは必須である。到着した直後にバレたら元も子もないからね。


4人で一つの輪になる。


「お願いできる?」


『『まかせてー!』』


その瞬間、視界が揺れ、周りの音が全てなくなった。



◇◇◇




揺れがおさまり、聴覚ももとに戻ってくる。


赤いレンガ造りの家、道をゆく馬車。

見るからに蜘蛛の巣とは違った景色。移動は成功したようだ。ウィスターとチェスターはいつの間にか姿を隠している。昼寝にでもいったかな。


「ここが……人間界なのか?」


外観的には魔界の城下町とそう変わらないところをみると生活水準的にもそれほど変わりはないのかな。ただ一つ、違う点があるとするならば、、


「人間たちは何に逃げているのかしら?」


そう。レーインがつぶやいたように人の群れが向こうからあちらがわへすごい勢いで流れていっている。何かに逃げているようだ。だから皆、バタバタして私達の登場もあまり目立つことなく終えられたわけなんだけど……。

何が起こっているのか聞いても答えてくれそうにないので、波の原点に向かってみることにした。おそらくそこに何かあるのだろう。皆の慌てぶりからすると……なんとなく予想はできるけれど。








「おい!! お前たちも早く逃げろ!! 教皇様が来てくださるまであと数十分はかかる。この数じゃ衛兵たちもはがたたん!!」


波の原点にはボロボロになった一人の男、そして数十匹のゴブリンの群れがいた。

ゴブリン達は予想通り闇堕ちの姿だ。赤い目、黒い霧。

こちらに世界に闇堕ち以外の魔族はいないのだろうか。

……闇堕ちしてなかったらこっちの世界に渡ることが難しいのか。


ひとまず、片付けるか。

そうするとあのご丁寧に警告までしてくれたあの男が邪魔になっちゃうのよねー。


…………………………。


「レーイン」


「あなた邪魔なのよ。寝てなさい」


見よ! この一言連携を!!

私の言葉ですぐさまレーインが男に腹パンして気絶させた。

は、腹パンは大丈夫なのか? てかレーインの腹パンって死なない?


……ま、いっか。


このゴブリン達はもしかするとまだ治せるかもしれない。

ものは試しだ。

私の新し……くはないけど新しく名前をつけた術!!



"回蘇"



瞬間ゴブリンたちの周りを金と銀の光の輪が囲み、瘴気を取っていく。


説明しよう。

回蘇とは、私がいちいち頭でイメージして闇魔法と光魔法を絶妙な加減で組み合わせるのが面倒くさくなったために生み出した技。これを唱える、もしくは頭の中でつぶやくだけであら不思議、自動で絶妙な加減にやってくれるではないか!

別名ミアのサボり術。


こんなくだらないことを考えている間にももう終わりましたよ!

無事瘴気も取り除けたみたいだ。

まだ意識が戻るには時間が掛かりそうだがここにいると危険でしかない。

ということでまたまたウィスターに魔界へと連れて行ってもらいましょう。お礼は後で必ず……。



久しぶりに闇堕ちを治して気が抜けていたのか、不覚にもすぐ後ろの気配に気づくのが遅くなってしまった。




「これはこれは……流石ですな」

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 先ほど誤字かと思って『皇教』を『教皇』に直して送ったのですが、このページでも『教皇』が『皇教』と書かれていたのでもしかして全てそうなっているのではと思ったのでこちらから。 読み進めな…
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