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「魔石は必要なのですが……魔石だけでは駄目なのです」


「どういうことですか?」


「本当に申し訳ありません。でもこれはどうにかできるという問題ではなく……。もしかするとこの世にはない代物かもしれないのでいくらミアさんだからといって持ってこられるかと言われるとおそらく難しいのではないかと……」


……? よくわからないが私達にはどうすることも出来ないらしい。まあ……仕方ないかと諦めようとしていたその時、ケリスナさんはですがといい言葉を続けた。


「──門を開くために魔石が必要だといい無理に集めさせたのも事実です。それで"それでも出来ませんでした"なんて言って即座に追い返すのは私達の礼儀に反しておりますので。良ければ門の前まで案内いたしましょう。普段は門の近くまで行くことも不可能なのでせめてもの償いで……」


うーん……。興味がないといえば嘘になるけど開けられないのならねえ。でも普段は見れないらしいからせっかくだから見せてもらおうか。何か面白いものでも見つけるかもしれないし。

そう思って私達は2つの返事でケリスナさんについていくことにした。




石造りの階段を一段一段踏み外さないようにおりていく。上に広いためか、階段を降りるたびに5つのコツンコツンと言う音が響いていた。

この階段も螺旋状になっているせいか幅がめちゃくちゃ狭い……! しかも無駄に長い。下はどこまで続くんだ? 結構降りてきたと思うけれどまだまだ下は暗闇に包まれている。

これ、足疲れてきたら魔法使って移送しよ。



そろそろ足がいろいろな意味で限界を迎えてきた頃、ケリスナさんの"つきましたよ"という声が響いた。


さっきまでの移動はケリスナさんの持っている小さな松明だけを頼りに歩いてきたせいか、随分と目も暗闇になれてきた。そろそろ松明に頼らなくても自分で歩けるな、と判断した瞬間にケリスナさんが何か詠唱し、途端に部屋? 全体が明るくなった。


うっ……、いきなりの眩しい光は流石に目に辛い……。

それは私だけじゃないようでトウカ達3人も目を慣らすためにいろいろな方向に向かってパチパチと瞬きを繰り返していた。


…………ふう。ようやくなれてきたかな。

そう思い、部屋を見渡してみると……


「も……………………門?」


そう。あたかも広いと思っていた部屋は予想の3倍も4倍も小さく、私達の目の前には大きな門がそびえ立っていた。

幅は……私達4人が横に並んでも余裕で入るくらい。それに、門には右上に天使族、左上に魔族 、中央少し下のあたりには人間族が描かれていた。描かれていたというよりも彫刻? 彫られていたっていうほうが正しいか。よく見るとこのヒトたちは……神様か? 髪の特徴とかなんていうか……雰囲気がよく似ていた。

久しぶりに神様たちに会いたいなあ。暇があればまた遊びに行こう。


そしてこの門、見たところ鍵穴らしきものは一つもなかった。おかしい。だいたいこういう大きな門は鍵穴はついているはずだ。ただそれにあう鍵を見つけるのは困難であるが……。


「これが図書館に通じる門です。ミア様もお気づきのとおり鍵穴がありません。今まで魔法などを行使して見たのですがびくともせず……。私の一族に代々伝わる文献に開け方が記されていたのですが……」


最後に言葉を濁す。まあ要約するとどう頑張ってもこれは開かないのだろうと、そういうことですね。

今度神様たちに会いに行ったときにでも聞いてみようか。すんなり教えてくれそうな気もするし、知らなーいとか言って軽く放り投げられそうな気もするし。神様たちは気まぐれだからねえ。


「ケリスナさん自身はその伝説上にしか存在しない必要なものとやらを知っているのですね?」


「はい。ですが……いえ、ミア様方なら大丈夫でしょう。実はその伝説上にしか存在しないものというのは宝剣(・・)なのです」


……おやおや?


「魔界の創造神、エレボス様が持っていたとされる魔の宝剣、天使界の創造神、アルタ様が持っていたとされる光の宝剣というのが必要であると文献には記されていました。ただエレボス様もアルタ様も私達はお目にかかることができないほどの貴い御方。これは流石に私でも無理だと諦めました」



…………おやおやおやおや??


もしかして……だよ。いや、違うかもしれないからね。

私が愛用させてもらっているウィスターとチェスターって確かアルタ様からもらったものだよね? エレボス様のだとも言っていたような気が。前にトウカもこれが宝剣だーとかなんとか言ってたような……。あのときはあんまり興味なくて聞き流してたけど。


……思い出せば思い出すほど可能性が高くなってきたよ。それにケリスナさんの話が終わった瞬間に3人とも一斉にこっち見たよね。たぶん"お前絶対あれそうだろ?"っていう無言の圧とかいうやつなんじゃないか?


「えっ…………と、それで、その宝剣はどうすればいいんですか?」


「この2つの台座に同時に差し込めばいいのです。ただし必ず同時じゃないと駄目です」


ことは試しだ。間違っててもあってても損はないだろう。

そう考え、ケリスナさんが言っていた台座の穴に差し込むためにウィスター達を呼ぶ。

久しぶりに私の手に現れた二匹を感じながらゆっくりと台座の穴に差していった。


何も起こらないなと思っていたのも束の間、いきなり台座が光だし、ギギギと鈍い音を立てながらゆっくりと門が開いたのだった。

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