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75 どうも、有名人です

久々に足を踏み入れた蜘蛛の巣。以前は闇堕ちしちゃってたゴブリン達が攻めてきて大変なことになってたけど、今はそんな様子を微塵も感じさせないほど復興されていた。

さあ、来てみたはいいもののどこに向かえばいいのか。前と同じ場所に行こうとしても何分景色が変わりすぎててどこがどこだからわからないのよ。

私はもともと方向音痴極めてるから仕方ないとして、トウカ達もわからないみたいだからこれはもう手詰まり……。


ひとまず突っ立ってても仕方がないという結論に至ったので歩きます。歩いていれば案内所、運良ければケリスナさんを見つけられると信じて……!!



◇◇◇


「ねえ、ミア。さっきからずっと歩いてばかりだけれど目的地は分かってるのよね?」


歩くこと数時間。

レーインが限界だと言うように尋ねてきた。レーインの脚力の限界はまだまだ先であろうから私の行き先をあんじたのかな? ふっふっふ。甘いな、レーイン!! 私に行き先なんてわかるわけなかろう!


「道なんてこれっぽっちもわからないよ? えっ!! レーイン達もしかして私がわかってると思ってついてきてたの!?」


思わず驚いて声を上げると、後ろから被さるようにトウカのツッコミが入ってきた。


「逆になんでわからないのに堂々と歩けるんだよ!? 普通は"こっちかな"とか迷って少しはふらふらするだろ! 曲がり角なんて迷いの一つもなかったぞ?」


「あー! トウカ、レーイン、忘れちゃ駄目だった!! ミアは極度の方向音痴だよ!」


「そうだったわ!! ミアに道案内頼むとろくな事になったことがなかったわ!! 何故今の今まで忘れていたのかしら」


おいおい、3人よお。偉い酷い言われようじゃない? 私。

泣いちゃうぞ? よく覚えておくといい。方向音痴は分かれ道があったらそこで止まらないんだよ。少しでも止まれたらこう……迷う余地? っていうのがうまれると思うんだけど私の場合それが一切ないからね。もう感覚だけでいきてますから。

それに今更すぎない? だって歩きはじめてかれこれ数時間は経つ。いくら私達の脚力がヒト並離れているからと言って……いや、逆に離れすぎてて疲れたとかいう感覚がバグってしまっているから気が付かなかったのか!


「はあ……。よくわかったよ……。──皆いい? これからは絶対にミアに道案内を頼んじゃいけないよ」


「賛成」


「同感だわ」


ほぼ重なるようにトウカとレーインの言葉が重なった。ええ……そんなに酷いのかな、私。


「でも……ミアは森では大丈夫だったわよね。ミアにとって森は庭のようなものなの?」


「森は……道がないじゃん? 流石に方位磁針の使い方はわかってるからそれを見て登ったり下山したりして道は頑張ってたなあ。あとウィスターたちにも手伝ってもらってた」


なるほどと、少し呆れが入ったような返事がかえってきた。森はさ、いわば私の庭みたいなもんじゃん。それに私は方向音痴だけど、何回かいった道は絶対に迷わず行けるから。1回では……無理だけど流石に3回くらい通った道は大丈夫。すごくない? この私がよ??


「…………はああぁぁ。ひとまず近くにいるヒトに道を聞こう。書館、だったか? あれだけ大きいなら知っている奴は多いだろう。それにそこへ行けばケリスナ殿もいるはずだ」


さっすがトウカ。やっぱり考えることが違うなー。はじめからそうすればよかったのか。よし、それじゃあひとまず目の前を通り過ぎていったヒトから声をかけてみよう。


「あの……すみません」


振り返った相手はいかにも強面のお兄さんだった。勝手なイメージごめんね? カツアゲとかめっちゃ得意分野そう。

しくじったー、はじめに聞くヒト絶対に間違えたよ。もっと優しそうなヒトに……いやいや、ヒトを見た目で判断してはいけないってよく言うじゃん。きっと優しいヒトだよ。きっと。


「何だ?」


ひーん!! 私ね、私ね、怖い動物とかおばけとかは余裕で大丈夫なのね……。そして結論やっぱり人間が一番怖いの(彼は人間ではないけれども)。

トウカでも誰でもいいからバトンパスしたいけど……駄目だ。ただでさえ迷惑かけてるからせめてこれだけでもちゃんとやらないと。


「あ、あの……! 蜘蛛の巣にある図書館? までの道を教えてもらいたくて……」


と、恐る恐る尋ねた瞬間強面お兄さんの表情が少し変わった。


「あなたはもしかして……救世主様ですか?」


ホワッツ?? なんでいきなり私が救世主よ。どこをどう見たらこんなちっぽけな小娘がそんな立派なものに見えるのか。はっ! もしかして自分では気付いていない漏れ出るオーラというものがあるのだろうか。


「失礼しました。ええと……貴方様方はあのとき……ゴブリンの闇堕ちが大群で攻めてきたときに助けてくれた四人組ですか?」


おっと? これはもしかしてきたんじゃないか?

まさかのここで知り合い(?)を引くとは私結構凄いんじゃない?


「たぶん……そうだと思います」


違うかったらマジでゴメンなんだけどおそらく、いや絶対あってるはず。


「やはりそうでしたか!! 先程から巣の者が噂しておりましたが本当とは……。ええと……図書館に行きたかったのですね。どうぞ私に付いてきてください。案内いたします」


お言葉に甘えてお兄さんのあとをついていく。

噂になってたって……どういう意味で噂になってたんだろう。あいつらまた同じ道行ったり来たりしてるよとか言われてないといいな。

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