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74 エルフの村6

ヴィスタ父になら言ってもいいかと思い、ここに来た訳を話した。


「──なるほど。ということはミアさんは魔石を集めているのですね」


少し待っていてくださいとだけ言い残してヴィスタ父は部屋のどこかに消えていってしまった。

経つこと数分。





「すみません。おまたせしました」


そういい、私に何かを渡してきた。


「?? …………!! ……魔石?」


そう。私の手の中にあったのは翡翠のような色の石だった。これもかすかにだけど魔力を感じる。

どうしてこれがこんなところに??


「それはミア様にお渡しします。エルフは他の上位種族に比べても魔力は低いですし、壊れてもそれほど被害は大きくならないでしょう。どうぞ此度のお礼だと思ってお受け取りください」


ちょっとハテナマークが頭の中にはいりきらなくて外に漏れてしまってるんだけど。

どういうこと!?


「えっと……、私の認識では魔石はその……族長が持っているはずなのですが……」


「? そうですよ? 族長である私が持っているのはおかしくないことだと思いますが」


え、えーーー!?!?

マジで? ちょ、どういうことだいヴィスタ!! 説明しなさい! 


「ああ、ご挨拶が遅れました。僕はエルフの族長、ヴィルクと申します。あれ? ヴィスタから聞いていませんでしたか?」


おいこらヴィスター!! 戻ってこーい!!

なんでそういう大事なこと先に言わないかな。何なの? 私をびっくりさせたいの? 腰抜かすかと思ったわ!


「初耳です……」


帰ってきたら覚えておけよとヴィスタにむけて心のなかでつぶやきながらとりあえず平常心になるよう頑張る。

……ふう、なんとか落ち着いてきたな。


「そういうことなので何かあったら僕を頼ってください。ミア様が翻訳してくれたおかげで僕の世界が広がりました。提案していただければある程度のものは何でも作れますので」


そう言いながら慌ただしく家を出ていってしまった。

一人取り残されてしまった私。ちょっと混乱した頭を整理しようか……。


◇◇◇


ガチャリと扉の開く音がした。その瞬間に私は音のした方へ一直線にかけてゆく。

そして足蹴りを一発かましてやったぜ。


「ただい……いった!! 急に何するの!?」


「何するもクソもないでしょうよ、ヴィスタ!! なんでヴィルクさんがエルフ族の族長だってこと先に言わないのよ!? ヴィスタが族長の子息だってこともさっき初めて知ったよ!?」


ゼエゼエと肩で息をしている私とは裏腹に意外と冷静な態度でああ、なるほどとつぶやいていた。


「バレちゃったか」


「バレちゃったか、じゃないの!!」


やっぱりこいつ、一ミリも反省してない。ヴィスタ、急に性格変わった? 


「は? おま、どういうことだよ。そんなこと一言も言ってなかったよな?」


「エルフ族はなかなか会合にも出ないから情報がなくてわからなかったわ。それに族長に息子がいるってことも初耳ね……。あの方の名前がヴィルクだって分かったらすぐに気づけたのに……!」


トウカとレーインも知らなかったようだ。

そりゃそうだ。知ってたらはまずはじめに二人のことだから魔石出せとか半分カツアゲみたいなこと言い放つに違いない。あ、だからヴィスタはわざと私達に言わなかった?


「いやー、ごめんごめん。ついつい言うタイミング逃しちゃって。もうここまで来たらバレるまで黙っておこうかなって思ったんだけど……意外とバレなかった」


違いました。結構単純な理由でした。

テヘとかいう効果音が最後に聞こえた気がするけれど許さ……ゆる…………もう! 可愛いから許す!!


そんなわたしたちを呆れたように見ていたトウカがふと思い出したように言葉を発した。


「ミア、そういえば魔石はどうなったんだ? 見たところ……ヴィルク殿はもういないみたいだが」


「ああ、それなら……」


と言いながらガサガサとポケットをあさり、先程もらった翡翠色の魔石を取り出す。

ポケットに入れてたら無くしそう……。空間収納にちゃんと入れておくようにしよう。


「これがエルフ族の魔石か……。ん? ということは……」


「魔石、アラクネ族以外全て揃ったわね」


うおっ! ホントだ!!

意外と早かった? 半年……経ってないよね。順調すぎて途中ちょっと怖かったけど。

ひとまず持らった魔石を全て出して見る。


真紅、蒼、黒、黄、翡翠。


おお!! こうしてみると何か感じるものがある。なんか……感動。


「凄い……。まさか生きているうちに自分の種族のものだけじゃなく他の種族の魔石も見れるとは……!! しかもこうして並んでいる姿なんてそうそうお目にまかかれることはないぞ」


トウカが少し涙ぐんじゃってるよ。

まあでも気持ちはわからんでもない。


レーインやヴィスタも真剣に魔石を食い入って見ていた。

あれ? もしかして私、相当すごいことをしたんじゃない?


「……なくしたら困るからもう収納に入れるね」


何故か名残惜しそうに見入っているトウカたちには悪いけど空間収納に入れさせてもらった。

さてと、準備は整ったぞ。


いざ、蜘蛛の巣へ!!

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