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71 エルフの村3

「いやー、本当に申し訳ありません。まさか何ヶ月も音沙汰のない息子が突然帰ってきているとはつゆ知らず、、ミア様やトウカ様、レーイン様までいらっしゃるとは……。お恥ずかしい姿をお見せしました」


ヴィスタ父の言葉に私達は一斉にヴィスタの方を見た。


「……ねえヴィスタ? 今の今まで何も連絡しなかったっていうのはどうなのかしら? 私でもきちんとお母様には定期連絡しているわよ?」


レーイン、ど正論で突っ込んでいく。

うん。私もそう思った。なんかはじめの私達の前に姿現したあたりからおかしいなーとはうすうす感じてたけどまさかここまでひどいとは……。

いつも女子力バリ高なヴィスタには想像がつかないが……。

でもあれかな。可愛い子のリュックほど中身が宇宙になっている説。それと一緒のような気がする。(絶対違う)


突然話が変わってヴィスタ父。先程までボサボサだった長い髪は後ろで一つにくくられ、お風呂に入ったからか少し艶が増している。瞳孔が大きい瞳はヴィスタと同じで翠のような深紅のような不思議な色合いをしていた。あ、顔がいいとかはもう言うまでもないよね。


「ごめんごめん。連絡なんて送ってもどうせ父さん、家に帰ってきても直行でソファー行きだと思ったからね」


「「「あー……」」」


ここで全員納得してしまうところが問題だと思う。

いやいや!! ここはビシッと言っておかないと。


「ヴィスタ!! 私と一緒にいてくれるのはとてもとてもありがたいんだけどきちんと連絡はしなくちゃ駄目だよ!! 両親には迷惑かけない!」


と、いった途端に3人からお前が言うかみたいな目で見られた。

えっ? えっ? どうしてよ。私おかしいこと言ってないよね。……言ってないよね?


「えーっと……」


あっ! ついいつものノリでヴィスタ父がいるの忘れてた!

いかんいかん。


「ヴィスタは……生きているかくらいは連絡してくれればそれでいい」


「うん、何ヶ月か一回は出すようにするよ」


およ、これで解決かな? 解決……ということにしておこう。


「それで、あなたは一体何を悩んでいたんだ? それにこの村は見たことないものばかりだ。これは一体誰が作っている」


珍しくトウカの目がキラキラしている。

やっぱりこういう近代的なものって初めて見たら楽しくなってくるよね。私も久しぶりでちょっとテンション上がったもん。


「ああ、それはですね……。お恥ずかしい話なのですがこの村の設計は僕が書いているのですが、なかなか解読が進まなくて……。設計と言っても大昔に偉人が残してくれている書があるのでそれを解読してエルフは使いやすいようにアレンジを加えているだけなんですけど……」


それでも充分すごいけど……。

その書とかいうものって見せて貰えないのだろうか。この風景を見る限り明らかに地球上……いや、日本人だと思うのだけど。もし作った人に会えるならって思ったけどヴィスタ父の話を聞く限り大昔ということはもうこの世にはいないのだろう。

時間軸が神様たち適当だから私達と同じくらいの人がこの世界の大昔に飛ばされたのかな。てかこんな転生も神様たちは関与しているもだろうか。……またあったときにでも聞いてみよ。


「これだけ発展しているのに何が足りないっていうの? もう充分だと思うわ」


レーインが正直な感想を伝える。たしかにね。もうないものなんてないんじゃない?

しかし私は大きなものを見落としていた。そう、私達が一番なくてはならないものがこの世界にはない。

それは──


「たしかに他の種族に比べるとないものや物珍しいものは沢山あるのですが……移動手段がないのです。村と言っても一つの種族が暮らしている所。この村を端から端まで移動するには徒歩でも3日はかかります」


あーー!! そうだ、車がないんだ!!

もちろん車もないのだったら電車も、新幹線も、モノレールもない。なるほど。


「その……書には移動手段に使うものらしきページはあるのですが、そこだけ言語が違うように思うのです。自分たちで頑張っているもののなかなか進まず……」


「えーと……、その書とやらって私達が見ることってできますか?」


ぎょっとしたような目で両サイドから見られた。

特にレーインとトウカからの目線が痛い。


「ミア、流石にそれはできないだろう。よく考えてみろ」


「その、、誠に申し訳ないのですがそれは少し難しいです。ミア様なら悪用しないことは重々承知しているのですがやはり……」


やっぱりだめかー。まあそりゃそうだ。そう安安と見せれるもんじゃない。


「もしかしたら解読できると思ったんだけど……」


それに日本語で書かれていたとしても他のページが読めてそのページだけ読めないだったら私だって無理だろう。


「今、なんて言いましたか?」


「ほえ??」


「解読できるんですか!?」


え、え、ちょっとまって。急にどうした?

はっ! もしかして私、声に出てた?

確認のためヴィスタの方を振り返るとうなずかれた。


「もう頼みの綱はここしかない! ミア様、少し待っていてください。今から持ってきますので!!」


っておーい!! そんな解読できるって決まったわけじゃないよー?? しかもヴィスタ父、さっきはそう安安と見せることができないっていってたじゃーん!!


止めることができないままヴィスタ父は走ってどこかへ行ってしまった。

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