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64 私も前世から言えば美少女

「では、私と一試合してもらおうか」


おおう……。

前と同じどこかすかしたような笑みを絶やさぬまま、私に木刀を渡してくる。

トウカのいったとおりだった。

ごめんよ、トウカ。そんなバカなとか言っちゃって……。


◇◇◇


ジンさんの屋敷へつき、トウカの顔パスで私達は屋敷へと入れてもらった。

ジンさんの屋敷=トウカの家(今更)なんだよね。

何だかんだトウカとも付き合い長いけど家に入れてもらうのは初めてだなあ。どこか昔の日本みたいな雰囲気があるからか他の洋風の家よりも少しだけ落ち着くような気がする。私、心から畳愛してる民なんで。


あの畳のなんとも言えない暖かさ、匂い、色。どれをとっても外国に劣らないどころか勝る勢いの日本の素晴らしい文化である。

トウカの家は、、なんて言ったらいいんだろう。私も実物見たことないし、本でしか見たことないんだけどあえて言うなら寝殿造りかな。はっきりとした部屋の区切りはなく、ふすまや障子などで遮られている。


歴史の授業では誰しもが通る道。私は平安時代も好きだけど縄文時代が一番好きだったな。先人の知恵もろくにないところから打製石器たるものを生み出してすべて自給自足の世界! 素晴らしいと思う。


っと、こんなどうでもいい余談はここらでおいておいて。

トウカは久しぶりの実家からか、少し緊張しているように見えた。いつもはこう……どこかいい意味で、きだるけな雰囲気を出しているが、今はぴしっと背筋までまっすぐのびている。こうしてきちんとした格好していると文句なしの御令息である。

いや、トウカは普段もいいとこの御令息感は隠せてないから、よく周りの女の子たち振り向かせてるけど、、ちょっと前にあれがあったからな……。


ヴィスタも含め文句なしの完敗よ。

全世界の女子に喧嘩売ってんじゃないかって言うくらい綺麗な顔しやがって。なんでそんなに目が大きいんだよ。睫毛もありえないくらい長いしなんと言っても鼻筋!! どのパーツとっても神様の最高傑作とでも言いたいようなお顔でしたね。


あれは本人たちいわく黒歴史に入るらしいから、洞窟を出てからこの話題を口にすると二人からゾワゾワって這い上がってくるような殺気を感じるから言えないけど。


私も化粧すれば可愛くなれるかね。

いやいや、無駄な対抗ってわけじゃないの。私自身忘れがちだけど今の私もそうとうな美少女だ。前世の面影微塵も残ってないのよ。前世の顔も不細工ってわけじゃないけど平均くらいだったと思う。そんな顔でこっちの世界来てみ? 色んな意味で浮くわ!

こっちの世界の顔面偏差値舐めちゃいかん。自分も含めてまじで。




「すまない、少し待たせてしまったね」


おそらく仕事終わりか、その間で抜け出してきたであろうジンさんがやってきて、準備されていた緑茶に口をつける。


「いえ、大丈夫です。こちらこそ急に訪れて申し訳ございませんでした」


これは本当に申し訳ないと思ってる。だって普通に考えてみて? いくら仲いい友達でも前置きなしにすみませーんって言ってやってくるのよ? 部屋とか片付いてなかったら軽く殺意が芽生える案件だと思うのよ、これは。それを続けざまに3連続行っている私も私でどうかと思うが。

来てしまったものは仕方ない。後の2件もこの調子でいこうと考えてるし。前置きなんて(一応)旅してる(名目)私達には難しいことよ。

せめてもの言い訳を心のなかで唱えながらジンさんに頭を下げる。


「うちの息子がいつも世話になっていて。ミアさんと出会ったのは数年前だったはずだ。あのときはゲルディアス様もいたからきちんとした挨拶はできていなかったからね。改めて、鬼ヶ里の族長、ジンだ」


いきなりおしかけてきておいて、ただでさえ申し訳ないのにこんな綺麗な挨拶されたら尚更いたたまれない気持ちになるじゃないか! 

ふう。それにしても相変わらず綺麗なお顔で。そして純粋な疑問。今更だけどこの世界にも眼鏡ってあるんだなって思った。でも今までにジンさんしかつけてるの見たことないのよ。特注でもしてるのかな。

前にあったときよりもトウカが成長しているというのもあって、より二人の雰囲気が似てきた。さすが親子だ。

いやーでも、トウカは今見た目中学生くらいだけどジンさんの見た目三十代いってるかいってないかにしか見えない。見た目だけで言えば親子というよりは……兄弟?

ま、トウカへの視線が完全に親だからバッチリ兄弟には見えないんだけど。


「えっと……」


もう向こうも知っているし必要ないと思うので私の自己紹介はかっ飛ばし。後ろのトウカを除く二人の説明も必要なさそうだからとりあえずおいておく。


ジンさんに蜘蛛の巣での出来事、私の目標を話した。

ジンさんは相槌を打つだけで決して口を挟んで私の言葉を止めたりしない。やっぱりこういうとこ流石だと思う。


「なるほど……。それでミアさんは私の魔石、いや、族長全員の魔石を集めているわけだ。話を聞いている限り魔石の事はわかっているみたいだが……」


行き道で延々と3人から語られましたからね。知っておかないと絶対にあとから後悔するって。ジンさんの反応を見る限り知っておいて良かったのかも。


「そう簡単に渡すわけにはいかないし、、そうだな。では私と一試合してもらおうか」


トウカ、見事フラグ回収です。


そして冒頭に戻る。

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