63 お父さんね…
皆様ご無沙汰です。GW感が全くしないGWでした……。
それと、100pt突破しました!!
いつも本作を読んでいただきありがとうございますm(__)mそしてこれからも応援よろしくお願いします!
トウカの予想通り3日もかからないうちに鬼ヶ里へとついた私達はジンさんのところへと向かっていた。道は族長の息子であるトウカにまかせて、私達は後をついていくだけである。
そういえば前にも一回来たことあるっけ。トウカと出会ったのも鬼ヶ里だったよね。あの頃のトウカは可愛かったなあ。この世界の顔面偏差値がバグってるって確信したのも確かトウカ見てだったからだった気がする。だってあの幼さでよ? 前世でいう小学生みたいなもんよ? いやー、すごいね。
歩くたびに目に入る風景は見覚えのあるところも何箇所かあった。あ、また茶屋に行きたいなあ。そういえば正式な店の名前知らないや。あのときは見事に仕事帰りで一銭もなく……。まだみたらし団子と杏仁豆腐のお金返してない。……それ以上に払ってるからまあいっか。
「レーインとヴィスタは来たことあるの?」
「私はあるわよ。お母様の連れで何回か来たことがあるわ。吸血鬼と鬼人間で行われる会合とかもここですることが多いしね。ほら、吸血鬼の洞窟って未成年の男入れないじゃない?」
そういえばそうだった。
その種族間で行われている会合って何なんだろう。ヴィスタにも聞くとエルフもやっているみたいで、知らないのはまたしても私だけだった。なんかいっつも置いてけぼり感食らってる。
会合も情報提供がメインで、どの種族間とも同じ数だけ行われているらしい。だいたい目安は一年に一回だけど、私みたいな異例が現れたり、少し前みたいに突然天使・人間軍が攻撃してきたら一年に二回とか三回になるんだって。
下位種族は会合開いてもあんまり意味ないんだって。じゃあそこの意見はどうなるの? ってなるけど、下位種族は会合は開かないけど、お願いや特殊な情報があるときは直接ゲルさんに報告しにきている。
ま、何だかんだでうまく回っているから大丈夫だろう。
会合は基本誰でも参加OKだけど族長とかも参加してくるから必然と身分が高いヒト達が集まっちゃうらしい。
トウカもレーインもいつも会合にいやいや連れてこさされては退屈な時間を送っていたそうな。
私は参加したことないからなあ。きっとゲルさんもちゃんと開いていると思うけどたぶんその度に私城にいないから今の今まで気づかなかったんだと思う。
しょうがない。仕方なかったということにしておこう。
「で? ミアは父上にどうやって頼むつもりだ? 龍族の族長や吸血鬼の族長のようにそう安安とは渡してくれないぞ」
「簡単に行くとは思ってないけど……」
思ってないけど解決方法は思いつかない。
あの二人はちょっと特殊だということはわかってるんだけど……かといって一番族長でしっかりしてそうなジンさんとお話したことないしなあ。
私の考えではトウカに交渉していただこうかなーと思っていたけれど……。
「……おい、俺は何もしないぞ。父上に叶うわけ無いだろう。ミア自身が何かしてくれなければ話しは進まん」
だよねー。
さてどうしようか。いきなり行き詰まってしまった。(まだあったことないから行き詰まってはいない)
「トウカがジンさんに何かお願いするときは何してるの?」
せめて参考程度には聞いておきたい。
ジンさんのことだからな。魔石の必要性について軽くレポート提出させられそう。←勝手な偏見です。
そんなことを悶々と考えているとトウカから予想外の返答が返ってきた。
「父上か……。父上は……力比べだな」
「力比べ!?」
力比べ……??
ちょっと理解不能な言葉が出てきたが。
ハテナマークが頭の中では収まらず、頭の外に出てきたところでまだまだトウカの実体験談は終わらない。
「俺が何かを頼むとき、いつも勝負させられた。内容はその時によって様々だが、素手だったり剣だったり、ただ一つ同じことがあるとすれば一度も勝てた試しがないということくらいか」
「な、なるほど」
力比べか。
まあそれはたぶんトウカのお願いを聞かないためにも絶対に勝てない勝負を提案してただけだと思うし……。今回はそんな単純なものでは無いだろう。
トウカは、あの頃も今も父上には敵わなかったとつぶやいている。
父というのはやはりそういう存在なのだろう。
私の前世のお父さんは……なよなよだったな……。
今世ではお父さんどころかお母さんの存在すらもいない。ま、ゲルさんもみんなもいるしお陰様で寂しいとは思ったことがないので良しとしよう。
いろいろなことを頭で考えているうちにいつの間にかジンさんの屋敷へついていた。
──そこで私達は見事にフラグを回収することになる。
誤字報告ありがとうございます(_ _)




