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57 魔石、魔石ね。うん、知ってるよ(棒)

「こんにちは、ミアさん。私はケリスナです」


巣長と思われる方がサリーナの後ろから顔をのぞかせる。サリーナはというと、本当に気づいてなかったのかビクッと体がはねた。


「びびびび、びっくりした!! 気配消して急に現れないでくれませんか、ケリスナ様!? ほんっと心臓に悪いです」


「まだまだこんな気配も察知できないなんてまだまだね。この子達はとっくに気づいてたわよ」


「お嬢様達はもうはなからレベチなんですよ。一緒にしないでください」


おーい、サリーナさーん? それは流石に傷つくぞー?

後ろでトウカ達もうんうんと頷いてるけど……いや、あなた達のことも含まれてるからね!?


「サリーナは疲れているでしょう。2日、休暇をあげるから家でゆっくり休んでなさい」


「2日しかくれないんですか!? 私3日も頑張ったのに……それはいくらなんでも酷すぎます!!」


「あら、私は2日もあげるって言ってるのよ。何なら今から仕事をしてもらってもいいのだけど……」


「いえ、ありがたく頂戴させていただきます!! それでは!!」


休みが一分一秒でも惜しいらしく、全速力で蜘蛛の巣の中へかけていった。結構傷だらけだったから心配してたけど……あれだけ元気だと大丈夫そうだね。


「すみません。あの子いつもあんな感じなのですが……魔王城でもご迷惑かけてないといいのですけど……」


本当に申し訳ないようにケリスナさんが頭を下げる。


「あ、いえ! 気にしないでください。ああ見えても魔王城では上手く……やってる……と、思い、ます。たぶん」


まあ、、フリータ達に叱られながらもなんだかんなでやって行けているのだろう。魔族は人間みたいにねちょねちょしたことはあんまりやらないらしいから。


そしてまだ自分が名乗っていなかったことに気が付き、改めて挨拶をする。もうたぶん向こうは知ってるだろうからいらないかもしれんが、礼儀として……。


「えーと、改めましてこんにちは。ミアです。一応魔人です」


「こちらこそ、巣を助けていただき本当に感謝いたします。もう少しで危ういところでした。それで単刀直入に尋ねますが、、ここに来た目的は何でしょう」


いきなり本題に打ち込むのね……。まだあって数分しか経ってないからかもしれないけど、このケリスナさん、何だかつかめないのよ。サリーナと話しているときも私と話しているときもどこか一線を引いて遠くから観察されてるような気がする。


族長だからって言われたらそうなんだろうけど……。なんせ今まで近くにいた族長ってゲルさんとイリアスさん、ラトーさんだからなあ……。私の感覚がおかしくなってるって言われてもこれは仕方ないと思う。


ま、自分の種族の族長もなかなか会えないらしいのに、それ以外の族長なんてそう簡単にはいかないからこの先会うことなんてそうそうないと思うし……。やっぱり私の感覚は当てにならんことだけははっきりとわかるな。でもこれは私のせいじゃない。そう、周りのせい。そうだと思わせてくれ!!


とまあ現実逃避は少しおいておいて。


「あの……この状況で頼むのは心苦しいのですが……蜘蛛の巣の中にある図書館の本を見せてもらいたく……」


「勿論です……と言いたいところですが、いくら巣の恩人でもそれは少々無理がございまして……。蜘蛛の巣の図書館は図書館といってもあるヒトしか立ち入りできない事になっているのです。勿論私も入ることができません」


……ちょっと意味がわからん。え、どういうこと?

その唯一入ることができるヒトを探せばいいの?


「そのあるヒトって誰なんですか?」


「それはわかりません」


うーん。ついに行き詰まってしまったぞ。

ケリスナさんの話からすると何か条件を達せないと入ることができない、みたいなのかと思うけど当の入りたくてどうしようもなさそうなケリスナさんが条件をクリアしてない。それほどまでに難しい内容なのかも。


「えっと、、どうしたら入ることが出来ますか?」


「そうですね……。本当は図書館を閲覧したいという方々はすべて門前払いをしておりましたが、ミアさんは巣の恩人と言うのもありますし……。ではこうしましょう。各上位種族の長から魔石を貰ってきてください。6種族の魔石が揃えば図書館の開館方法をお教えいたします」


よしっ、ではさっそく!! と行きたいところなんだけどまず根本的な話、魔石ってなんだろう。

後ろで三人が絶対無理的な表情でこっち見てるけど、あれ? もしかして魔石っていうのを知らないの私だけ!?



「ねえヴィスタ。その……魔石って何?」


聞かねば始まらぬと思い、そろーっと一番優しそうなヴィスタに尋ねた。で、尋ねた瞬間盛大に溜息をつかれた。


「はあぁ。やっぱりミアは魔石を知らないんだね。イリアス様との様子を見ていてそうかなとは思ってたけど……」


「えっ、そこから!?」


「……まあいいや。だってミアだもんね。──魔石っていうのはね、一言でざっくりいうと族長達の魔力が込められた石の事だよ。イリアス様から真紅の石もらったでしょ? それが魔石」


なるほど。

これかと空間収納の中から魔石と言われたものを取り出す。確かに言われてみればイリアスさんの魔力だ。

ただ言われてみないとわからないっていうのは魔力が弱い……わけではなさそう。どういう仕組みになってるんだろう。


「魔石はなかなか渡してくれないんだけど……何だかミアなら大丈夫な気がする……」


ヴィスタがつぶやくと他のふたりも微妙な面持ちで頷いている。

まあ……後々魔石については詳しく聞いてみよう。




ひとまずはあそこだ。恩をうりにうりまくってきた龍族のところに行こう。

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