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42 私という存在

たくさんのブクマありがとうございます!

「失礼ながら報告します……。人間と天使の連合軍が……攻めてまいりました……!!」



!?!?


この声はいつもゲルさんの部屋を守っているケンタウロスの右側のヒトだろうか。何があっても動じないを貫き通してきている彼だが、声の様子からそうとう焦っているものだと感じ取れた。


天使と人間が攻めてきた?

タイムリーすぎて逆に話が追いつかないんだけど。



「なんだと!? 数は……!?」


「人間はおよそ3万、天使はおよそ1万だと推測できます!!」


てことは合計で…………4万!?!?


「!?!? またあの日を起こすつもりか!?」


「私達にもわかりません!! ですが着々と魔界へと近づいて来ております!!」


魔界へ近づいてきている?

じゃあまだ魔界には入っていないってこと?

攻めてきたって事はもうとっくに攻撃を仕掛けてきてるんだと思ってたけどそれなら間に合うかもしれない。


「このままでは兵は間に合わん。それに数が多すぎるし時間もない。全魔族を避難させるにしては時間がなさすぎる。……しかも天使が1万だと!? ならば最低でも……」


ゲルさんが自分の世界に入りだした。

そりゃ焦るよね。自分の民の命がかかってるんだから。だからこそこの方法でいいと思う。


「ゲルさん、私を送り出して」


「はあ!? 何を言っているんだ!! いかせられるわけないだろう!!」


まあゲルさんならそう言うと思ったよ。なんだかんだいったって意外と過保護なとこあるから。

今までの仕事はどれも私が必ずできると確信できていたものばかり。森の掃除も龍の混乱をおさめることも。


でも今回は命の保証はできない。だってあの"最悪の日"と同じ危険を感じるから。


ならそれを別の方向から考えてみよう。


"最悪の日"の二の舞いになる可能性。奇襲をかけ、多くの魔族の命を奪った。

今回も奇襲から始まっている。

それに加えて、数十年前から闇堕ちの数が増加。


一緒だ。

また天使族は同じことを繰り返そうとしている。


魔族の兵が集まらない。

避難が間に合わない。

"最悪の日"という恐怖。



そこに私というイレギュラーが現れてはどうだろうか。


魔族だけど完璧な魔族じゃない。

ましてや天使でも人間でもない。


私の存在を知っているのは魔族だけ。いわば私は秘密兵器に等しい。


ゲルさん達はうまく隠してるつもりだけど私もそれくらいはわかるよ。

たぶん会議か何かで私のことを話してたんだと思う。秘密兵器にもなるけど危険にもなりうる存在。生かしておいていいのかって。


まあ結局私が今こうしてここに立っているってことは生かす方針で話がまとまったのだろうけど。



そんなわけだから私という存在を有効活用していただきたいわけだ。そのためにこっちの世界に来たって言っても過言ではないのに。



「だめだ。危険だ、危なすぎる」


わかっていてもゲルさんはおれてくれない。


「だって私だよ? 死ぬわけない」


「だがまだお前は病み上がりだ。体は完全ではないのだろう」


痛いとこつくなー。

確かにバリバリ働いてたときよりかは動かないですけれども。それは訛っているだけのことであって決して弱体化したわけではありません!! むしろグレイアム倒して総合値が全部+1000くらいになってるから強くなってる。



「ウィスターとチェスターがいる」


「だが……!!」


「またあの日みたいな事になるよ? 天使族のやり方は前と全部一緒。闇堕ちも最近増えてる。奇襲もそう。だったら向こうも知らない私を出すのが一番有効的」


「お前は……ミアは自分が利用されてもいいのか!?」


ゲルさんは自分のことのように苦しそうな顔をしている。そんなに心配しなくてもいいのに。嫌ならとっくに投げ出してるっての。

でもゲルさんは否定してくれと、自分は利用されるのが嫌だと言ってほしいのだろう。全部顔に出てるぞー。

でもね


「私は利用されてるんじゃない。お願いされているの。そしてこれは私の意志。私が行きたいからお願いしてる」


利用されているって思うのは私だって嫌だ。

だったらそう考えるのをやめたらいいじゃん。

利用されてるって思うからそう思うのであって、よくよく考えてみてもここにいるのは初めから私の意志だ。まあ、多少は神様のも入ってるけど。


だからやりたくてやってる。

そう考えたら簡単なのに。


「時間がない。行かせて」


「…………分かった……。無茶は……するな」


「……!! ありがとう!!」


よっしゃっ!!!

許可は出た!! やっぱり自分勝手にいっちゃうとなんか良くないことしてるみたいで私自身の動きが鈍くなるんだよねえ。

めっちゃ私的問題だけど大事よ?


「1つ軍をつかせる。今なら第一が動かせるか?」


「民たちの避難を開始しているのでどの軍も手が開いていません!! 一時間ほど時間がかかります!!」


そりゃそうだ。いきなりおいこら来いとか言われても行けるもんじゃないっていうのは私でも知ってるよ。そんな無理に動かせちゃだめよ?


「一人で大丈夫だよ?」


「大丈夫なわけないだろう!! 向こうは万単位でいるのだぞ?」


正直今の私は一人のほうが向いてるんだよねー。息合わすのとかめちゃめちゃ下手くそだし、剣振り始めたら途端に周りのこと見えなくなっちゃうから……。単に練習不足です。すみません。


「じゃあ分かった、こうしよう。3時間経ったらトウカ達を連れてきて? それまでは私死なないから」


3時間は余裕で動ける。そもそも来てもらう前に終わらでるつもりだけど一応ね。


…………。


「2時間、これ以上は待てない」


よしっ!!


ではもう時間がないので体を動かしに行きます!!

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