34 常識とはなんぞや?
トウカの攻撃をすっと横に交わす。
うーん。なんていうか……悪くはないんだけど荒い。もっと狙い定めたらいいのに。
そんなことを考えながらトウカの攻撃を交わしていると体に少し違和感を感じた。
???
重い……?
何で?
言葉で表すなら……期末テストの前日、、もう当日かもしれないけど、2時位の睡魔と戦っているようなちょっとしただるさ。
原因は……と、トウカの後ろを見るとレーインが魔眼を開放していた。
ああ、なるほど。
魔力耐性がほぼカンストの私でこれだから実際なんにもない人が受けたら相当ひどいな。
そろそろ私が魔眼に対して限界だろうかと思ったのか、四方から矢が飛んできた。
ヴィスタだろう。一人しかいないのに4箇所からなんてどうやったんだ? まあ当たらないのだけれど。
華麗に飛び跳ね全てを交わす。どうやらトウカはヴィスタの攻撃を知っていたみたいで、もともと少し前に私から一歩距離を置いていた。
なるほどなるほど。
出会って数分でここまで連携が取れていてなおかつ個々の技術が意外と高い。
でもでもー……まだ甘い!!
体をひねらせて勢いよく回転する。すると風圧に耐えられずに3人は吹っ飛んでいってしまった。
「はい終わりー」
「くそっ!!」
「何で勝てないわけ!? 魔眼全開で行ったのに全然効かないし……!」
「やっぱり噂どおり流石だねー」
皆どさっと勢いよく座り込んだ。
ふむふむ、これを基準にしていって……。
「じゃあ個人にうつります」
「えっ!? 今からするの!? 休憩は!?」
え、休憩いるかな……。ああでも私は全然疲れてないけどもう3人はヘロヘロになってる。このまましても無駄かな。
そう判断し、体力が回復するまでこれからの話をすることにした。
「えーと、じゃあ皆の体力が少し回復してから始めようと思います」
「その前に、1つ質問いいか?」
トウカが尋ねてきた。
「ミアは、、どうやって、何年くらい修行したんだ?」
「この森に入って5年位こもってた」
「こもってたですって!? その間生活はどうしていたの?」
「え? 普通に開いてるところに土魔法で鎌倉みたいなの作って、そこで寝泊まりしてて。あ、ご飯は闇堕ちしてないうさぎとか猪とかを狩ってた」
「一人でなの!?」
「うん。強いて言えばウィスターとチェスターがいたけど」
そんな……と何やらその後もレーインはぶつぶつと言っている。……ちょっと放っておこうか。
そろそろいい感じに休憩できたかなと思って立ち上がろうとすると、突然ヴィスタが思い出したように尋ねた。
「あ!? 5年位こもってたってことは森に来たのも5年位前だよね? じゃあ最近急に減った森にいる闇堕ちの数はミアに関係してるの?」
急減? 確かゲルさんがそんなこと言ってたっけ。
私のおかげかはいまいちよくわからないけどそういうことにしておいても良いのか、な。
曖昧に首を立てに降ると「まじか……」というトウカと何故か目をキラキラさせだしたレーイン。
と、とりあえずこれからのプランを話します……!!
トウカはヒロさんと同じく刀が使えるようだ。私は大剣は使えるけど刀は使ったことがないから直接教えるのは難しそう。刀術のスキルもないし。日本人だからって誰でも使えるわけないからね!!
なので……私作の土魔法で作ったゴーレムくん達とひたすら相手してもらおうかな。レベルは50くらいに設定しておいて。たぶん皆30くらいだから倒すのは少し難しいか……いや、いけるだろ。むしろいけないと困る。
レーインは魔眼の精度を上げる。私相手じゃなかったらもう少し効いてたと思うけど効かない相手がいるのだったら意味がない。
魔眼は基本魔力の密度で精密が変わってくるから魔眼の精度をあげようと思ったら、先ずは魔力の精度を上げなければいけない。これはもう自分の魔力と会話していかなきゃな話なのでここでも私の出番はなし。
あとは魔眼使うと魔力消費量えげつないから魔力量を限界まで上げたいところ。
ヴィスタは……結構さっきの戦いでもいい線いってたと思う。なかなか四方からの攻撃って難しいし、よく見なきゃ避けられなかった。
ほぼ教えることはないような気もしなくはないけど……。
あっ、あれだ。矢と一緒に魔力込めてみることにしよう。そうすると魔法、さっきちらっと皆のステータス覗いた時にヴィスタは火魔法と水魔法、風魔法の3種類と結構多めな数を持ってたからバリエーション豊かになるだろう。
恐らくヴィスタは発想性にたけているから創造するのはそんなに難しくないはず。
あと、全体の目標としてレベルを最低60まで上げてもらおう。私が今80? くらいだから私自身も一緒にやっててカンストまで上げたいよねえ。レベルは99まで上がったはず。
実際みんなに関してはどこまでやったらいいかわからないけど、一応イリアスさんから頼まれてるってことは仕事として受け取るから中途半端は嫌なんだ。
トウカとヴィスタは何にも言われてないから別に放っておいても問題ないけど、、ついでだし一緒に強くなってもらっても後々彼らにとって有利に働くと思うからいいと思う。
この事を伝えるとトウカはやっとかという勢いで立ち上がり刀を構え始めた。さっきとは色んな意味で別人のようになったレーインは魔力を練り上げるこつをつかもうとしている。
ヴィスタは自分の世界に入っていってしまった。
結論、、案外みんな素直でびっくりした。




