33 類は友を呼ぶ。でも急に現れたらびっくりする。
「さ、始めましょう!!」
「ふん!!」
「何からやるんだ?」
「はーい」
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ひとまず状況を整理しよう。
訓練するにはやっぱりあそこがいいと思って私のお気に入りの場所、森に来ているわけですが、、始めようと思った瞬間にヒトが増えました。
えーと、レーインと、トウカと、あともう一人誰??
エルフ?? にしては瞳孔が大きいけど……確かフリータってエルフだったよね。見た目はほぼ一緒。でもどこか違う。トウカの友達?
「えーと、突然だけどこんにちは。僕はヴィスタ、エルフだよ。皆が森に入っていく様子を見て面白そうだからついてきちゃった。よろしく」
ついてきちゃったって……。それで良いのか?
「…………ヴィスタ……? ひとまずよろしく。で、トウカはなんでいるの?」
「俺か? 俺はミアに会いに行こうと思って城に来たけど森に入っていったってお前のメイドから聞いて、それで来たんだ。なんかそこにいる女に戦術を教えるようだったから俺も教えてもらおうかなと」
なるほど……?
とりあえず皆が戦術を習いたいっていうことだけはよくわかったけど。(一人除いて)
まあ、一人や二人増えてもどうってことないし大丈夫だろう。
ただ私流で行くからついてこれるかはこの子達次第。
と、不意に何かを思い出したようなレーイン。
「あなた……もしかして鬼ヶ里のトウカじゃない!! 道理で見たことがある顔だわ。何? ミアと知り合いなの?」
「ああ、友達だ」
「と、友達……!?」
「お前は……吸血鬼族のレーインじゃないか」
「今更!? それに私はあなたをミアの友達だって認めたわけじゃないわ!!」
「何でお前に認められなきゃいけねえんだよ……」
私とヴィスタが話においていかれた。
この流れだとヴィスタも族長の息子だったり……しないか。もしそうだとしたら私はまだしもトウカとレーインが知ってるはずだし。
それに訓練時に誰がどこの子供かなんて関係ない。強ければ強い、弱ければ弱いが私のモットーなんで!!
それに仲良くしてくれないと困る。だって
「家、帰れないよ?」
「「「!?!?」」」
3人ともひどく驚いたような顔をする。
え? だっていちいち家に帰ってたら練習時間短くなるし、何より野宿で一日中神経研ぎ澄ませると時間短縮になる。基本こういう時って野宿、自炊が当たり前だと思ってたけど違うの!?
「……まあ一週間くらいなら……」
「それくらいはどうってことない」
「僕も親には当分戻らないって言ってるから大丈夫だよ」
皆大丈夫らしい。
…………あんまりトウカとヴィスタは大丈夫じゃなさそうだから早く終わらせるようにしよう……。
◇◇◇
「じゃあ先ずは基本から、って言いたいとこなんだけど時間がないから実戦をふまえてやっていきます。時間があったら基礎からじっくり叩き込むんだけど……」
私の野宿しながらの特訓というのは皆の常識にはなかったみたいで急遽一週間のメニューを考えた。
いちいち帰らせようかなあとも思ったけど、その際に昨日やった事を忘れていたら同じことを何度もするのは面倒くさい。しかも昨日はできたのに、という自分のマイナスな気持ちに繋がっていく。
だから3日で実戦を踏まえながらの体力づくり、残りの4日で自分に特化した能力をできる限り伸ばしていく作戦でいこうと思う。
皆鬼人に吸血鬼、エルフと、魔人に続く上位種族に当たるから戦いに関する素質は悪くないはず。逆にそれを体で行くから良くなくては困るのだけれど。
「何をするにしても先ずは私があなた達の能力について知っておかなければ何も教えられない。だから……ひとまず3人同時に殺す気で私にかかってきて」
「はあ!? お前正気か? 俺たちは仮にも長の血を引いているんだぞ。それに3人同時ならまだしも殺す気でって……」
「心配ご無用。そこまで弱くないから、私」
別に3人くらいは余裕でしょ。
だってまだ基礎も何もできていないような子供だし。数でいったら耀黒山の時の龍のほうがよっぽど多かったし、周りにも間違って殺してしまったらいけないな障害物がいっぱいいた。
その分ここはどれだけ暴れても誰にも迷惑がかからない!! 最高じゃない!
「いつでもどうぞ」
ウィスターとチェスターを出す。
すると呆然とウィスター達を見ているレーインと、知らなかったとでも言いたいような顔をしているトウカ、ヴィスタは穴が空くほどウィスター達を眺めている。
えっ、そんなに珍しいの? 大剣って……。
本当は相手をするのにウィスター達を出すのはどうかとも思ったんだけど、実践になったときに相手がどんな武器を持っているかわからない。魔法だけで攻めてくるものもいれば、ヒロさんみたいに刀等を持っている者もいる。できるだけそういう戦いにも慣れておかないと。
はっと我に戻った3人は一斉に構えだした。
なるほど…………。
トウカは刀でヴィスタは弓、レーインは何も持ってないけど魔法か何かかな。
チームを組むとしてはまあまあいいんじゃないかな。
「いくぞ!!」
トウカが一言おいて突っ込んできた。
何か言ってから攻撃って……いいのかな……?




