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32 これが……俗に言うツンデレか?

仕事がないって暇だなー。

少し前まではあっちこっち飛び回ってたから、こんな小さな子を働かせるなんて……!! って思ってたけど、いざ仕事がなくなるとこうなる。


日本では仕事はもちろんアルバイトすらもしてなかった私だけど。小・中・高オール帰宅部、ついでにいうと玲央達3人も帰宅部だった。

厳密に言うと玲央と美凪はいろんな部活に引っ張りだこだったかな。桜子と二人でよく応援しにいったなー。


なんだかんだ言って前世では暇してなかった私。

ゴロゴロするのもいいけど……やっぱり体動かす方が性にあってる気がする。こんなことに気がついたのはこっちの世界にきてからだ。



よいしょと椅子から立ち上がる。

窓の外に見える景色は毎日変わったことがない。どうなってるのかはわからないけど、空はあるのよね。

でも雨が降ったりとかは見たこともないのだけれど……。




何しようかなー。

もう一回森に入ってウィスター達と遊ぼうか……。


そんなことを考えながら無駄に広い廊下を歩く。あ、ひとりじゃないよ。後ろには安定のメイドズがいるんだけど、、。


うーん、と思考を飛ばしていると向こうの方からゲルさんと……女性? めちゃくちゃ美人だな!! 色気が漂ってる。あと私くらいの女の子。その子もこの世界の公式か何かわからないけど綺麗な顔立ちをしている。


もしかして……ゲルさんの奥さんと子供……!?!?

まさか……そうだったのか。今までどうしてゲルさんはひとりなのかなあって思ってたけどそうだったんだね


え、

あれ? もしかしてこれ、私ってどうなるわけ?

まあ、独り立ちできないこともないけど……。



「ミア。恐らくお前の考えていることはハズレているぞ……」


いつの間にか近くに来ていたゲルさんが話しかけてきた。

あっ、そうなの? 本当の奥さんだっても私気にしないけど。



「あなたがミアちゃん? まー!! 噂以上に可愛い子だわあ!! ゲルディアスにはもったいないわねえ。私はイリアスよ〜。吸血鬼の洞窟の族長をやってるの。で、こっちの今不機嫌な子がレーイン。私の娘よ〜。ほらレーイン、ちゃんと挨拶しなさい」


やっぱりこの美しさは族長だからか!! 吸血鬼はじっくり見たのは初めてかもしれない。

パット見私達とあんまり変わらないように見えるけどよく見ると話している際に少し見える犬歯が他の種族よりも尖っている。

やっぱり吸血鬼って人の血とかも吸うのだろうか……。


それにさっき紹介された娘という子もよくイリアスさんに似ている。ああ、ゲルさん要素どこにも入ってないから娘ではないな。

にしてもめっちゃ嫌そうな顔してる。挨拶……私の方からしたほうがいいんじゃないのかなあ、これ。

と、口を開こうとした瞬間女の子が先に喋りだした。


「なんでこんな私よりも魅力のない子に挨拶なんてしなくちゃいけないわけ!? それにこんな弱そうな子に教えてもらうほど私は弱くないわ!!」



おお、いきなりディスられた。案の定嫌そうじゃん!!

そんなに弱く見えるかなあ。

ん? 教えてもらう? ちょっとゲルさん、私なんにも聞いてないんだけど?

ジッとゲルさんの方を見るとすーっと目が泳いだ。

ほら見てみろ!! いつもそうだよ!! 仕事は急に来る。


「聞いてない」


「当たり前だ。今言ったからな」


厳密に言うとゲルさんの口からは聞いてないんですけど? 

話の流れで察せれた私、すごい!!


「あら、言ってなかったの〜? て言うわけでミアちゃん、レーインをしごいてやってくれない? この通りちょっとめんどくさいかもしれないけど」


ちょっとどころじゃないと思うけど。

私はいいんだけどさ。そっちのレーインちゃんは大丈夫な感じ?


「だからお母様!! 私はそんなに弱くないわ!!」


二度目の言葉にイリアスさんの目が細められる。

一気に気温が下がったような、そんな気がした。

これは……怒っていらっしゃいますね。

私でも分かるくらいだからもちろんレーインちゃんも分かる。

どんどん顔が青くなっていった。


「レーイン。あなた、見た目だけで判断するのは良くないとあれだけ言ったでしょう? 必ず痛い目に見るわ。それにレーイン。あなた、そんなに弱くないって言うけれど、それほど強くもないわよ?」


ぐさっとその言葉がレーインちゃんの心に刺さったようで今にも泣きそうな顔をしている。

ああ、ああ……。教えるどころじゃないんじゃない? これ。

どーします?



「わ、分かったわお母様。えーとミア? だったかしら。い、行くわよ!!」


レーインちゃんはいきなり私の手を掴んで引っ張っていってしまった。さり際に「お願いねぇ」と聞こえたイリアスさんの声はもう普通に戻っていた。



◇◇◇


「ねえ、あなた!! 私に教えるからと言っていい気にならないでね!! お母様にあれだけ言われたら私だって抵抗はできないんだから!」


うん、知ってる。見たらわかるもん。

でもこんなツンツンで教えるってそれはそれで難しいと思うけど…………。一回お茶でもしようかな。


「レーインちゃん? お茶する?」


「何言ってるの!? 戦術を教えてくれるんでしょう? なら早く教えなさいよ。あと別にレーインでいいわ」


おお!! まさかのツンデレちゃんかな?

今までにあったことない系統だけどこれはこれで可愛いかも。


訓練って……やっぱりあそこが一番いいかな。

そう思い、レーインを連れて歩いていった。

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