27 絶対私持ってたらダメなやつ
すみませんが、明日の投稿お休みさせていただきます(_ _;)
「で、お前は一体あそこで何をしていた?」
すーっとゲルさんから目をそらす。
ゲルさんが少し不機嫌に見えるのは気のせいだろうか。
「よりにもよってジンの息子と……」
「ちゃ、ちゃんとお返しはする。そんな薄情じゃない」
またもや、はあ、とゲルさんはため息をついた。
「まあそれは後々考えればいい。それよりも、この5年間何をしていた?」
「ずっと森にこもってたよ。昨日か一昨日だったかな。闇堕ちしていた鬼人のヒロさんにお使い頼まれて鬼ヶ里にいってたの」
「闇堕ちからお使いを頼まれた?」
「うん。最後に正気に戻ったから」
がたんっ、と派手な音をたてて椅子からゲルさんが立ち上がった。
「正気に、、戻った……?」
「うん。5年間で初めて」
ゲルさんはなにか悩むような様子をして、もう一度座り直し私の方を向いた。
「とりあえず、5年間よく頑張った。おかげで手に負えなくなってしまっていた闇堕ちも減って私達でも対処できる数になっている。これからはこのことについて心配しなくてもいい」
ほ、褒められた!!
純粋に嬉しい。
にやにやしている私を見て、ゲルさんは二度目のため息をついた。
「……ところで、、ヒロとかいう鬼人が正気に戻ったとき何か特別なことをしたか?」
「特には……あっ、強いて言えば剣に魔法を付与したかな。あれも初めてじゃなかったけど……」
「剣?」
そこからか! そういえばウィスターとチェスターが剣になれることは私が森の中に入ったときだから知らないのも無理はない。
口で説明するよりも見せたほうが速いとウィスターとチェスターを出す。
『どうしたの?』
『僕達またなにかする?』
「いや、説明がめんどくさいから剣の姿の方になってくれない?」
『『了解』』
すると、二匹の狐の姿は消え大剣が私の右にウィスター、左にチェスターが綺麗に並んだ。
「これ」
ちょっと自慢げに見せて、改めてゲルさんの方に向き直ると……本日3度目のため息つかれた。
何故!!?
「……ミア、それがどういう代物かわかって使っているのか? そもそも何故これらがここにあるんだ……?」
「こ、これは……私の友達」
う、嘘は言ってないぜ。事実友達だし。
確かに私の大きさでこの大剣を振り回すのは脅威でしかないと思うけど……それは根本的にゲルさんが一人で私を森に送り込んだことが始まりで……。
「友達か。……それらは誰から頂いた?」
「神様」
はあ、と4度目のため息をつく。
駄目だぞ、幸せ逃げてくぞー。
「ならば、、それは、いや、それらは宝剣だ。恐らくお前の言うウィスターが天使族の物でチェスターが魔族の物だろう」
え、マジ?
結構やばめなやつじゃん。私持ってたら大問題のやつだった。
神様なんてもんもたせてんのよ!! 後であったら文句言ってやろ……。
「……知らなかったという顔だな。まあ、お前のことだ……。少し話を戻すぞ。ならその宝剣から考えて闇堕ちが戻ったというのはその宝剣のおかげか?」
「違うと思う」
それは違う。なぜならウィスターのおかげだとしたら今までに倒してきた者たち全員が闇堕ちから戻っていることになる。
「強いていうなら…………ヒロさん倒したときに光魔法使った」
「光魔法か……。その可能性もなくはないが……やはりまだ詳しくはわからないか。まあいい。こちらでも調べて見るからミアもなにかわかったらいえ。だが……今はとりあえず休め」
「うん」
鬼ヶ里でお風呂入れさせてもらってるとはいえやっぱり生まれ育った(数年だけど)場所のほうが落ち着く。
失礼しました、と、ゲルさんの部屋を出るとそこに待っていたのはメイドズたちだった。
「お久しぶりです、お嬢様。ひとまず食事になさいますか?」
「お嬢様あぁぁ!! お久しぶりです!! 5年間も帰ってこないから心配したんですよー!! 大きくなられて……サリーナ感激です!!」
「…………おかえりなさいませ……」
はじめから順にフリータ、サリーナ、ウラルです。
相変わらずサリーナは元気……ていうかありあまりすぎている。
フリータは正常運転で、ウラルは何故かちょっと人見知り入っちゃってる。
サリーナがお構いなしに私に抱きついて、フリータとウラルに引っ剥がされるを繰り返している。
「た、ただいま。ひとまずお風呂入って寝る。ご飯はみたらし団子と杏仁豆腐食べたから大丈夫」
あ、みたらし団子と杏仁豆腐どこにいったっけ。起きたら聞こう。
今聞かないとなくなってしまっているという私の感が囁いているけど……疲れと睡魔のほうが勝ってしまった。
色々なことがありすぎてちょっとしんどい。
よく考えたら敵の襲来とか備えとかで5年間安眠取れてないじゃん!! 私5年間もベッドで眠ってないの!?
平和な日本で育った女子高生には凄いことだよ。
……あれ、安心したからか力が入んないな……。
そういえばヒロさんと対峙してから一回も眠ってない。魔力が足りない……。
こうしてお風呂に入る前に力尽きてしまった私は部屋から出てきたゲルさんによりベッドへ運ばれた。
これは余談だけど案の定というか、私のみたらし団子は次の朝綺麗にメイドズたちによって食べられていた。




