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25 は、初めてのお友達……!

まず服取られた。で、お風呂に連行された。


あれはプロの技だ。動きに無駄がない。


で、現在新しい鬼ヶ里風の着物みたいな袴みたいな服を着て落ち着きなく座っています。目の前にはレイナさん。ちなみにレイナさん以外この部屋にはいません。

今から何が行われるのかというと……。



「さて、ミアちゃん。貴方は一体何者かしら?」


尋問です。



何者かって言われても私は私だし別に隠しているわけでもないんだけどな。

かといってバカ正直に話したら後々面倒くさそうだし。



「魔人ですよ。そこらへんと同じ」


「嘘言いなさい!! そこら辺と同じ魔人だったら文様なんてついてないわ!!」


そう。何故この場にいるのがレイナさんだけかというと、お風呂場で他に世話してくれていた人達が倒れたからだ。恐らく私の足の文様を見て。


決して何かしたわけじゃないよ!! 私無罪だからね!!

文様がこういうときに仇になるなんて……。これがあるだけで、ざ、厨二病感ましてたからただでさえ嫌なのに!


「それ、タトゥーとかじゃないわよね? もしそうなら大犯罪よ? そうじゃなくても大変だけど……」


この世界にタトゥーってあるんだ! 今の所やってる人見たことないけど。


「産まれたときからついてた」


「それはゲルディアス様は知ってるの?」


無言でうなずく。知ってるも何ももともと魔王城に住んでたし。そこそこは話す仲だと思うけど。


関係ないけど、ゲルさんこういう店こなさそうだなー。


「はあ、これ以上教えてはくれないんでしょう? 若様に危害を加えないのなら見逃してあげるわ。あの子同世代の友達って呼べる子いないから」


さらっとひどいこと言ったな。まあ確かに私も同世代の友達いないからお仲間なんだけど。

レイナさんってトウカの何なんだろう。母親代わりみたいな? ツキミさんもそうだけどトウカはみんなに愛されてるね。


「よしっ、若様、もういいですよ」


レイナさんが声を張り上げると数秒もしないうちにバンっと扉が開かれた。


「もういいのか!! じゃあ行くぞ!!」


「すみません。ありがとうございました。また服は返しにきますね」


「ああ、それはあげるよ。若様も喜んでるみたいだしね。その代わりちゃんと付き合ってやってね」


「はい」



軽く挨拶を交わし櫻嵐亭を去った。



◇◇◇



「ミアはどこへ行きたい?」


トウカが訪ねてくる。

まさかのノープランだったと! てっきりずんずん行くからもう行き場所は決めてるのかと思ってた。

どこって言われてもそもそもここに来るのが初めてだから何があるのかもわからないのだけれど……。


強いて言うならば……


「何か食べたい」


仕方ない。これまで狩りで取れたやつばっかりだったから作られたものが食べたい。

女子力なくてすまぬ……。


「いいぞ。なら近くの茶屋に行こう」


トウカは快く承諾してくれた。

さっきとは違ってとても落ち着いている。こうしてみてみるとやっぱり出来上がってるな。流石。







歩きながら見慣れない風景に目を奪われているといつの間にかついたようだ。


トウカはここの常連でもあるのだろうか。ついた瞬間に流れるような動作で奥へと案内された。


落ち着いた雰囲気の店で、客は皆上流階級らしき人ばかりでいっぱいだった。


「何食べたい?」


「おすすめで」


「じゃあみたらし団子と抹茶で」


みたらし団子!! こっちにもあるんだ!(二度目)それ以前にお菓子があるんだ! ゲルさん嘘ついてたな。後で文句言ってやろ。


そんなことを考えているとふと視線が気になった。トウカからのだ。


「どうしたの?」


「いや……、特にはないのだが。ミアは不思議なやつだな。大抵俺の周りには権力目当てのやつしかよってこない。その分ミアにはそういうものが感じられん」


トウカはトウカで大変なんだな。

トウカの身分がどのくらいかは知らないけど日本でもおえらいさんの子供たちはそうだったんだろうな。そういえばゲルさんの周りにはいつも使用人しかいないけど……あれは別か。だから私も何も考えずに生活できてたんだけど。


こうやって見てみると、トウカは結構世話焼きだ。あったときの暴言と、ツキミさんのところでの空気読めない天才が強すぎて思わなかったけど……。普通は見知らぬ人を案内して挙句の果てには服までくれる人なんてそうそういない。


感謝……、だけどトウカ変な人に捕まったら大変そう……。



「お待たせいたしました」



来た!!!!

みたらし団子!!!


ああ、こっちの世界で初めて食べる甘味……。懐かしい。


団子の一つを一口で食べる。


…………!!!!


美味しい……!!

もっちりとした団子の食感と甘くて少ししょっぱい密が口のかなでうまく混ざり合って絶妙にマッチしてる。

日本の普段食べているやつよりも少し甘さが強いかな。でもこれはこれであり。


そして甘くなった口に少し苦味のきいた抹茶がよく合う!! これはやみつき間違い無しの美味しさだ。



「美味そうに食べるな」


「美味しいよ!! ほらトウカも食べなって」


トウカの方に目をやると彼もちゃんと食べてた。

みたらし団子がこんなに美味しいと他のも試したくなるけど……自分のお金じゃないからこれ以上は贅沢言えない。ていうか人のお金で食べさせてもらっている時点で私的には少しアウトな気もする。


「ごめんね。後でちゃんとこの服代も合わせて払うから」


「いい。このくらい気にするな。それよりも、、代わりと言ってはなんだがと、友達に、なってくれないか……?」


思わずパチクリと目を開く。

よ、予想以上に可愛らしい返事が来た!!

友達! 実際私もこっちでは一人もいないから正直とても嬉しい。

ずっと私を連れ回してたのはこういうことか。


「もちろん。これからもよろしく」


笑顔で承諾するとトウカはそれはもう花が咲いたような笑顔でこちらを見てきた。

破壊力エゲツないな……。女子として負けてる気がする……。



兎に角、ミア、使徒になってから初めての友達。一人目できました。

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