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24 やっぱり金銭感覚が……。

「そうか……ヒロは、そうだったんだね。伝えに来てくれてありがとう」


全てを話すとツキミさんは泣きながら微笑んでいた。


「やっぱり旦那が闇堕ちしたときいて信じられなかったんだ。旦那は里長の次に並ぶ刀の名手でね。闇堕ちしたら力が増えるだろ? だから誰も歯が立たなくなって森に入れられたんだ」


「そう、だったんですか」


「にしても……闇堕ちが正気に戻るっていうのは初めて聞いたね。ミア、あなたなんかしたの?」


「え!? さあ……特に変わって特別なにかしたっていうのはないけど……」


実際正気に戻ったのは今回のヒロさんが初めてで私もわからないことだらけだ。

しいて言えば少しいつもより光魔法を多めでやったか? それくらいしか……。


「なあ、闇堕ちって治るのか?」


トウカが訪ねた。

ずっと静かにしていたから存在忘れてた! す、すまぬ……。

ていうかそんなこと分かってたらこんなに悩まんわ!

トウカって色々空気読めない天才かな?


「それがわからないから今考えているのですよ、トウカ様」


「ふーん、まあこれでミアの用事は済んだな。約束通りこの街を案内してやる!」


「はっ!? いきなりすぎない?」


そんなことはお構いなしにトウカは私の手を引っ張って外に出た。

おおい!! どこのお坊ちゃんかは知らないけどせめてお世話になったところには挨拶してけ!!


「ツキミさーん!! ありがとうございましたー!!」


「こちらこそだよー!! また来るんだよー!!」


お互いに大きな声で別れの挨拶をする。

トウカって世間知らずか? 私と同じくらいだから、前世で言うと幼稚園児くらいか。

……まあそんなもんか……。







「…………トウカ、私お風呂入りたいんだけど」


このままどこかに連れて行かれそうなのでついつい言葉に出てしまった。

女の子が男の子に聞くこととしてはあるまじき事だけどこればかりは仕方ない。

正直ずっと森にこもってたからやっぱり臭う。ついでにこの組み合わせは目立つ!


先ゆく人々は皆トウカの事を知ってるらしく二度見している。そんな子と不審者丸出しの私だ。

せめて服変えたい。



「そうか……。ならば櫻嵐亭(おうらんてい)に行こう。風呂もあるし服もあるぞ」


「わかった」


返事はしたもののそ"櫻嵐亭"っていうのが何かはわからないのだが。トウカの話の感じからすると宿屋なのか……。


そんなことを考えながらまともや本日3度目となるトウカに手を引っ張られて移動する。




◇◇◇


…………やっぱりさ、ここの人たちってみんな金銭感覚がおかしいのかな。

ゲルさんも前3時間もかからずこの服ドワーフに頼んでたから、相当な値段してるかドワーフ脅してるかだと思うんだけど……、トウカもその類かな?



明らかにここ、吉原風風俗だよね。




はー、はじめてみたわー。

見た目から、ざ、金持ちしか相手にしてませんよー感。

それに女の人が綺麗すぎて目がチカチカする。



「若様〜。その女は誰ですの〜?」


「最近全く来てくれないじゃないですか〜。特にジン様!」


「父上は忙しいのだ。それにあの時も遊びに来ていたわけではない」



流石というべきか、見た目幼稚園児のトウカが全く浮いてないのが不思議だ。

オーラかなー。私には足りないものだ……。

世の中顔で回るときもやっぱりあるんだよねー。


一人で納得していると奥から女の人が出てきた。


…………もっっっのすごく綺麗!!

肌は陶器のように白くて肌荒れなんて一切なし! 女子高生の永遠の憧れ。

鬼人特有の黒の艷やかな角は女性の妖艶さをより強調させている。


そして何よりも圧が違う。

この人、この店の主だ。


「これ、お前たち。仕事をしなさい、仕事を! それにこの別嬪さんのお嬢さんが引いているじゃない! 、、こんにちは、はじめましてね。私はレイナ。櫻嵐亭の女主人をしております。以後お見知りおきを」


そう言って綺麗なお辞儀をする。その際に落ちた銀河のような髪もこれまた美しすぎる……! こ、この人は全女性の理想図だ!


「ご、ご丁寧にどうもありがとうございます……」


「レイナ、今日の客はこいつだ。よろしく頼むぞ」


「はいはい、では若様はあちらで少々お待ち下さいね。女性の身支度を見るものではありません。あと、あの子達は今日のノルマが終わってませんから来ても追い返してくださいね。よろしくお願いしますよ」


「はいはい」


トウカはめんどくさそうに返事をしてこの部屋を出ていった。

今日でトウカが待たされるのは何回目か……、まだ二回目だから大丈夫! 何なら4回目までなら大丈夫…………! たぶん!






レイナさんはトウカが部屋を去ったことを確認してバッと私の方を振り返った。


な、なんか嫌な予感が……。


「さあさあ、貴方様、名前はなんていうの? 若様が連れてきたってことはきっとどこかのお貴族さんなんだろうけど、やっぱり自分よりも500や600も幼い子に敬語なんか使うのは逆に気を使うわね。て言うことで貴方も楽にしていいわ。私はレイナよ!」


いきなりの早口。 

見た目に反して想像以上にグイグイ来る人だ。でもこれくらいののりのほうが良かったりもする。


「ミアです。どうぞよろしく」


「じゃあいくわよー!!」




え??

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