174 〈決着2〉ゲルディアス視点
本編はめっちゃ短いです。なので本日2話目。
急いでミアの元へ向かう。不幸中の幸いかそれほど遠くへは飛ばされず、落下する前に私の手で支えることができた。
先程まではなかった無数の傷が体中についている。誰がどう見ても、、それは明らかだった。
ふと私に気がついたのか、ミアが少しだけ目を開ける。
「ふふ、終わったね」
「……ああ、終わった。だがミアの体は……」
「大丈夫……って笑い返したいところなんだけどね、ちょっと難しいみたい」
先程到着していたアリエルを大声で叫んで呼ぶ。アリエルなら、もしかしたらミアを救ってくれるかもしれない。天使だが今はあまり信用が出来ない者にも縋りつきたい気分だった。絶対に死なせはしない。
アリエルが走ってくるのが見える。
「皆、無事に終わったんだね」
思わず涙が溢れる。そうだ、終わったんだ。だがミアがこんな姿になることは誰も望んでいない。
「じゃあ全部終わったからゲルさんとの最後の約束、言わないとだ」
「お願いだミア、もう喋るな。それ以上喋ると……」
確かに私は呼んでほしいといった。ただの私のわがままだ。久しく感じていなかった家族の情が、ミアといると溢れてきて、ずっとそう呼ばれてみたいと思っていた。だが、、
「今までありがとう。父さん」
限界が来ていたのだろう。最後の方は小さくなっていたが、それでも私の耳にははっきりと聞こえた。
「アリエル、ミアを、私の娘を助けてくれ」
まだ息はある。……だがそれももうすぐ消えかかろうとしていた。
アリエルと聖女が同時に回復魔法を展開している。私はただそれを見ているだけしかできない。回りにいる全ての魔族がそうだ。
「半進化を行います。もし私が自我を保つことが出来なければ、、すぐに殺してください」
いきなりなんだと思ったのも束の間、アリエルが先程のミファエラと同じように光を放ちだす。ミファエラと違うのは光が収まると同時に見えた色味のない瞳が半分だけだったのと、翼がひと回り大きくなっただけだということくらいか。
そう、アリエルが言う半進化が終わるとすぐにミアに回復魔法をかけだす。
私の耳に聞こえてくる音はアリエルと聖女が光魔法を放つ音だけだ。
本当は私は残った魔族の誘導や天使の処理をしなくてはいけない。だが、、体が思うように動かない。ただ今は、ミアの側にいたかった。
数分だったか、数十分だったか、もしくは一時間後だったかもしれない。
汗だくのアリエルと聖女の手が止まる。
「…………呼吸は聞こえる。でも、、本当に戻ってこれるかは……彼女次第です」
「どういうことだ」
「呼吸は聞こえるのに心臓は機能していません。それに他の臓器も全て。本当は呼吸が止まっていないと、死んでいないとおかしいのです。けれど、、ミアさんは生きている。私には理解できない状態です。これ以上は私達が回復魔法をかけ続けていてもほぼ無意味でしょう」
よく、、分からないがまだ可能性があるのならばそれにかけるしかない。
「ゲルディアス様、今は、、ミアを連れて魔王城へ帰ってください。あとの処理は全て私達がしておきます」
彼は、ジンの息子か。よく見るとヴィルクの息子とイリアスの娘、それに勇者といつの日か話題に上がっていた魔導師もいるではないか。
ありがとう、と一言だけ礼を言うとミアをそっと持ち上げ魔王城に帰る。今はひとまずミアを休ませてあげたい。こんなうるさい場所にいたらゆっくり眠るに眠れないだろう。
皆の言葉に甘え、私達は戦場を後にした。
場違いもいいところですが、ここで時間軸のおさらい。行ったり来たりし読みづらくなっててすみません(_ _)
アリエル(一番早く戦場について、一番早くに終わった)
↓レーイン(アリエル視点の途中)
↓サクラ(レーイン視点のほぼ最後)
ガルヴィン
↓トウカ(ガルヴィン視点の途中)
↓レオ(トウカの回想のすぐ前)
セシリア
↓ヴィスタ(セシリア視点のほぼ最後)
↓ミナギ視点(ヴィスタ視点の途中
ほぼ本編に関係ない)
ミファエラ
↓ミア(ミファエラ視点の途中)
↓ゲルディアス(ミア視点の途中)
【本編では書けなかったこと】
・ミファエラ戦が一番長引く。
・ミファエラ爆発寸前の時点でレーイン、サクラ、アリエル、トウカ、レオ、ヴィスタ、ミナギは到着していた。
・ミアとゲルディアスが話しているときは途中から上の人物達は皆いた。
(この時、戦意消失した天使は全て天使界へ帰され、魔族もひとまず家へ。指揮は全てジンが取っていた。)
・天使が進化をすることができるのは幹部と言われる一部のみ。それも自我を失ってしまうのが通常。(ミファエラは別枠)
アリエルは自我を失ってしまったら思うようにミアを治療することが出来ないので半進化止まりです。
ぐらいですかね。
もうほぼ終わりみたいなものです。最後までどうぞお付き合いください(_ _)




