171 《前世だったら余裕で有名人》 ミナギ視点
皆凄いなと素直に感心する。
だってそうじゃね? 皆それぞれ自分が役に立つところで頑張って、それなりに結果を残している。素直に感心するよ。まだ皆前世で言う高校生の年代なわけじゃん。そんな奴らが改革起こして、また違う世界を作ろうとしてるなんてラノベかよって話だしな。普通にかっこいい。
今もセシリアと話しているヴィスタを見て思う。ていうかこいつ、頭の回転どうなってんだろう。今みたいにスラスラ言葉が出てくるのもすごいと思うけど、今回の作戦や采配はほぼ全てヴィスタが行っている。頭の回転がどうこうじゃなくて元々の頭の作りの話からか。
俺等がさっきはなった必殺・魔法付弓矢(名前は触れないでくれ)は俺とヴィスタが考えに考えだした案だ。
俺自身、まあまあ魔力もある方だしヴィスタはびっくりするくらい弓能力が高い。だからうまくかけあわせてどうにかなんないかなーと試行錯誤を繰り返していた結果完成。
実はさっき放ったやつの他にもあと3種類くらい考えていて、これが駄目だったた次は連射、その次は同時方面攻撃……みたいな感じで準備してたわけ。まあ使う出番は訪れなかったけど。
正直これを考えているときはめちゃめちゃ楽しかった。
ほら、元々俺達がいた日本って魔法なんて存在しないわけじゃん。だからまずこうやって魔法を使って色々考えるっていう行為が楽しいわけで。それから誰もが一度は憧れる漫画のような攻撃。必殺・〇〇みたいなのをどうやって出そうかなんてものも少年心を揺さぶり、挙句の果てにはそれが実現できてしまうっていう嬉しさ。
俺は元々宵闇として都達といたことがあるからそんじょそこらの人間たちと比べれば総合値はバケモンだから、最初の人間族の実力底上げ訓練をには参加しなかったっんだけど、そのおかげでヴィスタと結構長い時間話すことができたな。
そういえば俺とヴィスタの関係はだいぶいいほうだと思うが、、ほかがびっくりするくらい駄目だな。
まずサクラとレーイン。女の戦いが見える。しかもそれが一人の男を巡ってとかじゃなくて一人の女を巡ってだからな。ふたりとも都との関係が前世か今世かの違いで似すぎていることも原因だと思うけど。まあ本当に心の底から嫌いだったらどちらかがキレて暴れまくってると思うが、、今はそんなこともないし、心から嫌いなわけではないのだろう。素直になれない、お互いツンデレってやつだと思う。
そしてトウカとレオン。あれは……本人たちが一番無自覚だから余計にややこしくなってるんだろうな。傍から見れば一目瞭然だけど、、気づいてないなら気づいてないでいいな。俺的にはそういう二人好きだけどな。それにふたりとも全く違う性格してんのにどっか共通点あるところも好きだわ。推しってやつ?
今回の采配。初めは絶対に采配ミスだと思ってたけど……意外とどうにかなりそうで正直俺が一番びっくりしていると思う。なんだかんだいって皆極度の馬鹿とかじゃないから。
「ミナギ、終わったよ。もうミアのところに行く」
どうやら俺が弓矢をいじっている間に全て終わっていたらしい。向こうの方で眠りこけている天使を見るに、、話し合いの方で解決したのだろう。めっちゃ早かったな。まあこちらは特に多すぎるほどの魔力消費があったわけでないし、傷ついたわけでもなしだからとてもいい方向で収まったんじゃないか。たぶん。
残った人間とエルフ、龍人の半分くらを連れて魔王城へと向かう。ラトーさんとヴィスタの父、ヴィルクさんはセシリアの見張りということでこちらに待機だ。暴れ出したら困るということで俺達が連れて行かない者たちも一緒に待機。ま、なんかあったら連絡が来るだろうし、ここは魔界だから駆けつけるまでにそんなに時間はかからないだろう。
「あら、こちらは終わったの?」
俺達がこの場を離れようとするとレーインが吸血鬼と人間を複数連れて現れた。そういえばスマホなってたな、と通知を見てみると今から行くのスタンプがおされていた。
「うん。話し合いの方で解決したから予想外に早く終わっちゃった」
「話し合いって? そういえばこちらに天使族の姿は見えないわね。あら、、あそこで寝ているのはセシリアじゃないかしら?」
流石目がいい。
ヴィスタがカクカクシカジカと起こったことを説明する。
「……ていうこと。僕達に怪我はないけど向こうで天使族と戦っていたヒト達は怪我してるかも」
「見た感じ重症のヒトはいなさそうね。なら私じゃなくても大丈夫かしら。人間の救護班はここに全ておいていくわ。あと私についてきた吸血鬼達も。貴方達もミアのところへ行くのでしょう。私も一緒に行くわ」
あまりここへ残る理由がないと付け足し、レーインも一緒に行くことになった。
あとはよろしく、とヴィスタがヴィルクさん達に言ってから、今度こそ本当にこの場を飛び立った。
終わりが見えて来ましたね。
久しぶりのほわほわな美凪の回。私的には一番好き。




