149 〈伝達……?〉レーイン視点、サクラ視点
書いてたらこんな時間になりました。普段10時就寝の私。めちゃめちゃ眠い。
前半レーイン視点、後半桜子視点です。
◇◆◇
面倒くさいわ。とてつもなく面倒くさいわ。
ミアの頼みじゃなかったたこんなの放り出しているわよ。
私の行く先はフレスタイト国。特別面倒なわけではないのだけれど、何かと武器や武具にうるさい国だそうだ。
さっさと終わらせてさっさと帰りましょう。
フレスタイト国の謁見室。私は王に先程預かっていた文を見せる。
「怪しいものが来てガリレイド国からの手紙を持っていると聞いたときは信じられなかったが……本当だったようだな」
髭面のいかにも鍛えていますというようなおじさん。強そうだけど、、見た目が強そうな人って本当はとっても弱いのよね。ミアやゲルディアス様がいい例だわ。あんな美しい姿をしながら誰にも負けないような力を持っているのだもの。
「おい、私の前で顔を見せないとはいい度胸だな。ガリレイド国の使者とは聞いているが……私が誰だか知っているのか? まさか知らないとは言わないよな」
こういうタイプが一番面倒くさいわ。それに恥ずかしい。
「私が知るわけないじゃない。あなた誰? って感じよ。どこからその私は有名人です発想が来るのかしら。是非とも教えてもらいたいものね」
私の言葉を聞いた途端、怒りのあまりぷるぷると顔を真っ赤にして震えだした。
こういうタイプって自分のこと否定されるとこうなっちゃうのよね。別の私に対してこいつがなにかしたってわけじゃないけど、何か生理的に受け付けないから仕方ないわ。
「お前……黙って聞いていれば好き勝手に……!!」
側で控えている人達が震え上がっている。眼の前にいるやつは腰に構えていた剣に手をかけたため、どうやら私と一戦するようだ。本当に脳筋は困るわー。ていうか私、こんなにも相手を煽ってしまって大丈夫かしら。交渉として失敗していないか心配だけれど……何とかなるでしょう。
男は立ち上がった瞬間に私のところまで走ってくる。確かに腕も太いし、人間にしては動きも早い方だから強いと言われても頷けるけど……それは人間から見ての基準なのよね。こんなスピードで魔族に襲いかかってたら逆にやられてしまうわ。
私の頭上まで剣が振り下ろされたとき、ガンッと側面から打撃を与え、素手で剣をおる。見事に真っ二つに折れてしまった残骸はカランっと耳に心地よい音を上げて向こうの方へと転がっていった。
しんと静まり返る。これは一応礼儀かと思い、フードを取り男を見て笑った。
「私に勝とうなんて百万年早いわよ。もっと強くなってから出直しなさい。それと、あの手紙早く読んでね。そして死ぬ気でガリレイド国の王城に急いで。あまり時間がないのよ」
そう言い残してふっと転移魔法でガリレイド国へと戻った。
◇◆◇
都のウィスターを借りてラーヤン国に急ぐ。
私は転移魔法が使えないため、こうして都の力を借りるしかないのだ。
「ここがラーヤン国の王城内ね」
王城と言っても、ヨーロッパのような城ではなく、昔、三國志あたりに出てきた中国の大富豪の家のような作りだ。
ラーヤン国は昔から伝統を大切にしている国。
本当は正当な手段を踏んで国王との面会が許されるのだが、今回は非常事態。申し訳ないがいきなりラーヤン国王の前に現させてもらった。
「突然の訪問お許しください。緊急の用で参らせて頂きました。私はガリレイド国第一王女、サクラシア・ガリレイド。お初にお目にかかります。ラーヤン国国王劉偉様」
白く長い髭を蓄えた少林寺拳法でも習得していそうな人だが、これまた油断できない。
「ガリレイド国の王女か。あまりにもいきなりだったが、、何か事情があるらしいな」
私の持っていた手紙を劉偉様に渡す。ゆっくり読み終えるとはあと長いため息をついて私の方を見た。
「えらく勝手な願いだな。だが……儂は断ることができないのも事実。他の国の王も呼ばれているのだろう。ならば儂は行かねばなるまい。2日後にはそちらにつくと、ガリレイド国王に伝えておいてくれ」
予想外にすんなりといきびっくりしている。あれ、もっとややこしいと思っていたが……。
どうやら私の驚きが顔に出ていたらしい。ふっと小さく笑われ、独り言のように劉偉様が呟いた。
「長年の感が呟いておる。"何かが起きる"とな。それに、その横にいる狐様。そのお方は創造神様の分身であろう」
え、そうなの!? と驚きの目でウィスターを見る。ていうかウィスターが劉偉様の目に映っていることも驚きなんだけど。なんせウィスターは人の目には見えないようにしていたのだから。
『おじいさん。僕が見えるのー?』
「ええ。私の目は少し特殊でして。狐様はどうして外界に来られ、王女様についているのですか?」
『数年前からこっちにいるよー? 今日サクラと一緒にいるのはミアに頼まれたからー』
くるくる回って楽しそうに遊んでいる。やっぱり都が連れていた二匹の狐、結構やばめなやつだったじゃん。とは言ってもそれを何事もないようにすんなり持っている都も都だけど。
「左様でございましたか。それでは今回私達王を集めていらっしゃるのもその"ミア様"の影響でございますか?」
『うん! だから出来るだけ急いでほしいんだってー』
かしこまりましたと劉偉様は使用人たちを集めて準備し始めた。これは私、すっかり忘れられているな? 一応王女なんだけど……。まあ意外と乗り気? で良かったと思うことにしよう。




