142 ミファエラとの対面
またあの気持ち悪いぼやぼやに耐え、目を開けると大きな神殿のような作りの建物が一番に目に入った。
前に大量拉致事件のときも神殿のようなところだったが格が違う。なんか単体でも光り輝いてるように感じる。
見た感じ、どこか古い感じもするけど、、アルタ様が外界にいたときにもあった建物だからそりゃ古いか。そう考えたらめちゃめちゃ綺麗だけど。
何円くらいかかってるんだろう。制作時の労働者多そう。
「ここか?」
「んー、たぶん。それらしきヒトの気配する?」
「ミアがしないんだったらいないんだろう。俺の探知にも大きな力を持つものは引っかからない。ああ、でも普通の天使が3人ほど引っかかったな。おそらく監視だろう」
監視いるんだ。一応天使界のトップクラスが集まる場所だから当たり前かもしれないけど、、。ま、ちょうどいい。暴れたところで誰も見てなかったら空回りすぎて虚しいし。
「ここで爆発おこしてもいい?」
こう、理想はドーンッと砂煙が立ち込めて、そこからはじめは人影だけ見えてて私達が現れるっていうのをしたいんだけど……、、
「だめ。ださい」
ヴィスタからのOKが出なかった。私の理想、声には出して言ってないよね?? あれ、そんなにわかりやすい?
「普通に挨拶しに行きましょう。こんにちはと、挨拶の大切さを見せつけてあげるわ」
挨拶の大切さを見せつけてやるとは。私達は無害な魔族ですけどそちらが攻撃仕掛けましたよね? 作戦か。
それはそれでよし。
「あの4人がいるところはそんなに離れてないよね。ウィスター達を使うまでもないか。歩いて向かおう」
てくてくと散歩気分で行く。あんまり気負わないほうがいいのよ、何事も。
5分くらい神殿のような建物の周りを歩いた。出くわすかなーと思いつつのんびり話しながら歩いていると、、
「誰だ!? そこで何をしている!!」
いや、遅いって。普通警備対象の半径10メートルに以内に入ったら気づこうよ。前世のように魔法がないわけじゃあるまいし、探知スキル持ってるでしょう。
「こんにちは。お邪魔してます。あのー、、ここのトップの方々っていらっしゃいますでしょうか……?」
一応ね。低腰で挨拶ね。
すると案の定というべきかいきなり戦闘態勢で迎えられた。
「私はそこで何をしていると聞いている!! お前達、気配からして魔族であろう。どうしてこんなところまで来ている!?」
聞く耳持たずか。
もー、せっかく無害です感出してきたのに。
「じゃあもう単刀直入に、、ミファエラ、アリエル、ガルヴィン、セシリアを出して。どうせ全員はいないにしろ誰か一人くらいは呼べるんじゃないの? 私達はその人にようがあるから」
こう、ぱっぱと事が進めばいいんだけどね。なかなか物事うまくはいかないものなのよ。大人しく言うことを聞いてくれれば体力温存にもなるしありがたいんだけど……。
「なっ……!! お前たちのような者にあの方々と合わせるわけ無いだろう?! 身の程をしれ!! その生意気な態度、後に後悔するぞ……!!」
怒りでぷるぷると体を震わせた天使Aが言葉を放った瞬間、天使Bと天使Cが一斉に襲いかかってきた。
数でも負けてるし実力でも負けてるのだったら勝ち目ゼロだと思うけど……もしかして実力差に気づいてないのかな。パッと見た感じ総合知的にも美凪くらいしかなかったけど、、。
さっさと終わらせてしまおうとウィスター、チェスターを一振りする。するとあったってもいないのに風圧で向こうへ吹っ飛んでいってしまった。
「……………どうしたらいい?」
「どうしたらいいと言われてもなあ……。ほっとけばいいんじゃないか?」
「でもこのままだったら何も収穫ないまま終わっちゃうよ? ただ来て天使A、B、Cを吹っ飛ばせただけだよ」
「……しかたないんじゃないか? まさか俺もここまでだとは思っていなかったから、、」
予想外のことに私達びっくり。
数分間どうするか悩んでいると、突如後ろの方から大きな圧がのしかかってきた。いきなりだったため私達は反射的に戦闘態勢に入る。
「これは……どういうことだ。警備を任せていた者が倒れており、私の前にはここに来られるはずがない魔族が4匹も」
長い金が入った白髪を後ろで結び、体にはまるで光を放っているようなオーラがまとわりついていた。見た目は、、ゲルさんと同じくらいだがこの世界は見た目と年齢は比例しないから当てにしない。
この威圧的な雰囲気、態度、おそらくミファエラだろう。
「こんにちは。私は魔族のミアと申します。この度は挨拶をとお邪魔させて頂いたところ、そこの天使達が襲いかかってきたもので」
「ミア、、ああ、混沌の魔人か。噂通りの風貌だな。それで、お前達は何をしにきたんだ? まさか挨拶だけではないだろう」
挨拶だけって言っても嘘ではないんだけどね。
あとなんだか私だけへりくだった言い方なのも腹立つからこっちも敬語外してやろう。
「では……。宣戦布告をしにきたの。貴方達はやり過ぎ。神様達も収拾がつかなくなりかけてるって言ってたし。それになんで貴方達の欲のために何も関係のない魔族まで巻き込まなければいけないの? そんなのおかしいでしょ。でも私達魔族は貴方達天使族と違って奇襲はしないから。正々堂々戦うつもり」
私の言葉はこの目の前のやつに届いているだろうか。自分で言っているうちにふつふつと怒りが湧き上がってきた。
ただこれ以上言うとすべてを吐き出してしまいそうになる。
これで目的は果たしたし出来るだけ天使界にはいたくない。空気的に悪いっていうのもあるけど気持ち的な面も大いにある。
「……言いたいことはそれだけか?」
「うん。じゃあまた近いうちに会うだろうし。言いたいことは言った。やり過ぎたこと、後悔するのは貴方達よ」
そう言い残し、ウィスター達の力を借りて魔界に転移する。少し話しただけだが、これで良かったのだろうかという疑問が私の胸の中に残った。
この作品では奇襲攻撃がめちゃめちゃ悪というふうに書いていますがそれは個人の取り方です。そういう戦略もあるという事を頭に入れながら読んでいただけると幸いです。
あとミアがミファエラ達の名前を知っているのは玲央から聞いたからでした。




