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139 有名人はつらいね

「ていう感じで今は進めてるんだけど、玲央達はどう思う?」


私が考えている計画、人間を魔族側に引き入れよう作戦を話す。

あの後、バチバチは収まらなさそうだったので時間が解決してくれると信じ、強引にでも進めていくことにした。みんな意外とこういうことには私情を挟み込んでくるヒトではないし、桜子と玲央も前世では嫌いな人とでもうまくやっていた。玲央に関しては嫌いな人がいたかどうかはわからないけれど。


話し合うために大きな机を引っ張り出してきているため、私の部屋はもうパンパンだ。

7人が円になって座れるほどの大きさ。私からの時計回りに私、玲央、ヴィスタ、桜子、美凪、レーイン、トウカの順で座っている。

出来るだけ桜子とレーイン、トウカと玲央を隣に座らせないようにしようという私と美凪、ヴィスタの考えでこうなった。


「うーん、、少し強引すぎない? 天使族にそういうヒトがいるとも限らないし、確かに僕たちがこちら側についたからと言って全員が全員僕達を信じるわけではないよ。それに勇者パーティーだけだったらどうしても弱い。ギルドは庶民に向けて作られていると言ってもいいほど市民に寄り添った形態をしているけれど、勇者パーティーは少し特殊だから。あれは国の管轄に置かれている。僕達が国民たちに語りかけたとして、国王が頷いたとしても市民の多くが賛同するかは保証できない」


「どうして?」


「だって僕達は市民の人々からすれば雲の上の存在だ。だからこんなことが起こっていても実感がわかないんだよ。勝手にやってますねーっていう感じになってしまうんだ。都にとったら生徒会がいい例だと思うよ。生徒会のメンバーと私達は少し違うからって眺めているだけなのと」


まあ確かにそうだ。生徒会と私は何か壁があるように感んじてた。私自身あまり先生と話さないからかもしれないけど、先生と対等に向き合える存在はどこか雲の上の人とまではいかないけど遠い人達だった。

それと同じ現象か。ふむふむ。わかりやすいようなわかりにくいような、よく分からないたとえだ。確実に生徒会と生徒達のほうが一般のギルドのパーティーと市民よりも距離は近いような気もするけど、、たぶん玲央の言いたいことはそうじゃないのだろう。


「じゃあ簡単に言えば勇者パーティーじゃない有名なパーティーとか冒険者を立てたらいいってこと?」


「それで確実にうまくいくとは限らないけど、、僕達だけよりもそっちのほうが絶対いいね」


なら簡単な話だ。


「私達が出ればいいじゃん」


は?? とどちらの陣営からも疑問符が出る。

いやいや、特に魔族側はハテナが出たらおかしいでしょ。自分たちの事だよ?


「宵闇だよ、宵闇。あれは普通にみんなと同じように順序を踏んでランクを上げていったパーティーだよ。ランク的にも知名度的にもなんの問題もないと思うけど」


「いや、いやいやいや。だって宵闇は……」


何か口ごもるように玲央が言いづらそうにしている。


「え!? 宵闇って知名度なかったの? うわ、ちょっと美凪。普通に私恥さらしじゃん。自分のこと有名人だと思ってます系の痛いやつになっちゃったよ。もう。美凪の説明だとあの短期間でAランクまで上がってるから結構知られてると思ったのに」


めっちゃ恥ずかしいじゃん!! どんなナルシストだよ。痛い、痛すぎる。


「いや、そうじゃない。たぶんレオンが言いたかったのはそうじゃない。それに宵闇は十分知名度のある有名パーティーだ。勇者パーティーと同じくらいの。な、レオン」


美凪が訂正を加える。


「あ、うん。もちろんそうだ。ガリレイド国のギルドに宵闇を知らない人はいないから。ただ全員が魔族だからそこはどんなカウントでいくんだろうって思って、、」


ああ、なるほど。自分たちがずっと同業者だと信じていた人たちが実はあの魔族たちでしたーって言うのは情報多々すぎるのか。ちょっとパンチがありすぎるかも。

と、一人でうんうんと納得していると玲央の横で、え? と小さく呟いたヒトがいた。


「どこがダメなの? むしろそのほうがいいよ。自分たちと同じパーティー組んでる冒険者が実は魔族でしたーなんて、こんな使える条件ないじゃん。人間たちの魔族に対しての考え方は人間たちに植え付けられてある先入観が邪魔してるんでしょ? だったら尚更だよ」


ヴィスタがなんでそんなところで迷ってるの? とまるで理解できないように言う。ここで美凪が同じことかましてきたらただのバカだなーって思うだけだけど、ヴィスタが言うと違う。ヴィスタの考えはいつも突拍子の無いことのように思えても、最善のところにたどり着く可能性が高い。たぶん私達と頭の作りが違う。


「僕達が人間の前に姿を現すことなんてどうってことないよ。あ、ただミアは危ないかもしれないけどね。何だったっけ。僕達が君たちと初めて会った場所にいた大人の人いたでしょ。下手したらあんなに取り乱す人も出てくるかもだよ」


「都の容姿は誰が見てもそれだ。そのまんまだからな」


え!? なんかさっきから驚くことばっかりなんだけど。私の容姿がそのまんまってどういうことよ。


「はっとするような真っ黒の黒髪黒目。外に一歩も歩いてないんじゃないかと思われるほど白い肌。大きな大剣。大きな大剣はないにしろ初めの2つがこれほど当てはまるんだ。感のいいやつはすぐに気づく」


確かに。確かにそうだけど、それってみんな知ってるの? それって私、有名人とかいうレベルの話じゃないじゃん。指名手配犯並だよ。


「魔族は絶対的悪という先入観も取り除きながら行きたいね。これに関してはどうしても……」


ヴィスタが言葉に詰まる。まあ、一番の問題はそこだよね。過去の誰ひとりとして解くことができなかった洗脳に近い何か。ほぼ洗脳と言ってもいいと思うけど。一人解くだけじゃない。より多くの人に解いてもらわないと。


「あ、そういえば、、」


うんうんと頭を悩ませているとはっと思い出したように玲央が顔を上げた。


皆様お疲れ様です。

昨日が仕事納めだったのではないでしょうか。

一年の終わりがこんなにも早いのかとびっくりしております。


さて、まあ特にこれといった重大発表はないのですが、、来年からは新作を2作ほど投稿していこうかなと考えています。

この物語も終わりが少しずつ見えてきているのでね。これが終わり次第に1つ、もう1つは完結まで書き終えたら投稿しようと思っています!!


楽しみに待っていただけると幸いです。

それでは皆様、良いお年を。

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