14 《目覚め》
《》はレオン視点です。
いつもより少し早いです。
間違えて同じの2つ更新してしまっていました……。
消したので問題ないです。
ここはどこだ?
目に見える範囲だけの情報でもここが自分の家ではないことがうかがえる。
いや、"日本"の家庭でこの景色はありえない。
まず一番に目に飛び込んできたのは、落ち着いたストロベリーブロンドの髪と女神を連想させる雰囲気を持つ女性。そして、その女性と僕を大事そうに見つめている穏やかな雰囲気を持つ男性だ。
彼らは一体誰だろう。その前に僕は今何をしているんだ?
僕は百瀬玲央。
都、桜子、美凪と幼馴染で16歳、高校一年生だ。
確かさっきまで僕達はテストが終わり一緒に帰宅しているはずだった。
そしてその後どうなったんだろうか。
……思い出した、美凪が今度どこかに行こうと提案していた時に大型バスが僕達の方に突っ込んで来たんだった。
そして僕達の体は宙に浮いた。
一瞬の出来事で気づくと目の前には僕達の血でできた血溜まりと、意識を失うまいと必死に耐えている他の3人の姿があった。
なんとか僕だけはかろうじて声を出せたんだけど、それも長くは続かなかった。
もっと一緒にいたかったな。せっかくテストが終わって遊びに行く計画をたてていたのに、まだ両親に何も言ってない、等次々と感情が押し寄せてきたのは覚えている。
意識を失う寸前に救急車の来る音が聞こえたと思ったんだけど…………間に合わなかったみたいだ。
僕は死んだんだ。
じゃあ今の僕は何?
混乱している頭を一旦整理しようと自分を落ち着かせようとしたその時だった。
いきなり男性が立ち上がる。あの時のような穏やかな表情は浮かべておらず、眉間にシワを寄せていた。
そんな男性を見て「まさか……!!」と女性の方も段々と顔が真っ青になっていった。
どうしたんだ?
自分が何をしているかもわからず混乱しているのに、このヤバそうな雰囲気のせいで余計に頭が混乱してくる。
そこからことが進むのは速かった。
気づくと男性はいなくなっていて、数分もしないうちに何やら神父みたいな爺さんとローブを羽織った若い男性が2人を連れて戻ってきた。
女性の方はもう立ってもいられない様子で椅子にぐったりと腰掛けている。
ゆっくりと神父が僕の顔を覗き込む。
エメラルドグリーンの瞳と目があった。
「…………間違いありません。この方は……勇者でございます……」
「ああ、なんてことを! まだ生まれたばかりだというのに……。どうして僕達の息子なんだ……!」
男性が叫び、女性は静かに涙を流していた。
ちょっとまってくれ。
理解できない単語がいくつかあった。
まず僕は生まれたばかりなのか? さっきからうすうすは気がついていたけど、いざ目の前にして言われるとやはり疑いたくなってしまう。
そしてこの人たちは僕のこの世界の両親だったのか。
だからあんな優しい目で僕を見いていたわけだ。
そんなことは正直どうでもいいんだ。
一番重要なのは"勇者"。
勇者という言葉は知っている。
おそらく僕は、最近流行りの"転生"というものをしたのだろう。まだにわかには信じられないが……。
勇者とは勇気にあふれる人のことを指す言葉だ。
が、ファンタジー小説で使われる用途はほとんどが職業に多い。
"魔王を倒すもの"
それが僕の知っている勇者としての役目だ。
ん? まて、ならここが異世界だとしたら僕にも"ステータス"というものがあるのではないか?
心のなかでステータスが開くように念じてみる。
【種族 人間 名前 レオンハルト Lv1
HP 200(200)
MP 220(220)
SP 340(340)
総合値 760 (760)
スキル 「言語習得」「火魔法Lv1」「風魔法Lv1」「土魔法Lv1」「HP自動回復Lv1」「SP自動回復Lv1」「火魔法耐性Lv1」「風魔法耐性Lv1」「土魔法耐性Lv1」
称号 「記憶持ち」「勇者」 】
……成程。
総合値の高さがどれほどなのかは他の人を見ていないからわからないけれど、魔法があるというのはわかった。
男性……父と神父が言っていた勇者というのはおそらく、この称号の中にある「勇者」ということを指しているのではないだろうか。
わからないことがたくさんありすぎる。
「ホムリック様。これは我らだけでは判断できかねません。一度王に報告をしなければいけないかと……」
「わかっている、わかっているのだ。しかしまだこんなに小さいのだぞ? そんな子に死ににいけと言うのか?」
「ホムリック! 今は、今はまだその時ではないわ。もう少しレオンが大きくなったら、もう一度考えましょう」
「そう……だな。勇者という称号は覆せない。しかもこのステータスの高さは異常だ。何もしてなくても時期にバレるであろう」
小さな言い争いが目の前で繰り広げられている。
とりあえず今は何もしなくてもいいみたいだ。しかもなにかしようと思っても今の僕には何もできない。体すら自由に動かすことができない。
しかも体が小さいせいかとてつもない眠気が襲ってきた。
睡魔には抵抗できない……。色々わからないことがありすぎる。
……考えるのは、また後にしよう。
こうして僕は静かに目を閉じ、ゆっくりと意識が薄れていくのを感じていた。
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