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135 《糸口》

風邪ひきました……。

コロナではないのですが熱がなかなか下がらないのでちょっと更新難しそうです……。これは元気なときに書いていた書き置きです。

皆様もただの風邪にもインフルにもコロナにも気をつけてください。


ε(◊◈◊﹜)**

↑アマビエの絵文字貼っときます

駄目だ。さっきから同じ内容しか出てこない。


王立図書館に来てから約3時間。僕達の読書スピードは前世と比べれば桁違いに早く、30分で約2冊読めるという脅威の速読スキルを身に着けていた。しかもこちらの世界ではそれが普通なのか皆同じくらいのスピードで読んでいる。謎だ。

でもそんな速読スキルを持ってしても何も出てこない。


「あー、これもはずれだ。"天使は我らの救世主。神に最も近く神の次に最も尊き方々である"だってさ。この内容1時間前にも見た気がする」


「魔族についても赤目瘴気の記述しかないね。これは僕たちがこの目で見たから絶対に違うって断言できるんだけど……」



他はなんとも言えない。


「ま、よくよく考えたらここ、王立図書館だろ? てことは国が直接的に関わっているってことだからそんな簡単に天使族と魔族のことについて書けねえんじゃね? 仮にそんなものがあったとしてもここには置いていない気がする」


ミナギの考えに深く同意する。

そうなのだ。ここは日本ほど発言の自由や表現の自由が保証されているわけではない。もちろん国の事を悪く言ったものを書けば衛兵に連行されるし、もしされなかったとしても社会的に抹殺される。


まさに今調べている事はそこに当てはまろうとしている。王立図書館にはあるわけないか……。


「そうだね……。よく考えたらあるわけないか。でも……じゃあどう調べたらいいんだ?」


完全に行き詰まってしまった。




「……………………教会、アナガリス教会だ!! あそこなら絶対ある。なんで俺気づかなかったんだ? アナガリス教会ほど適しているものはないだろ!」


ミナギがいい案だと言うようにパッと笑顔になった。

確かに、アナガリス教会は裏では魔族救助なんかにもあたっている。天使族と魔族について、何か決定的なものがあるかもしれない。




僕達は王立図書館を後にし、アナガリス教会へと向かった。



◇◇◇



「爺さーん!! いるかー??」


ズカズカと入ってくるミナギに続いて僕たちもお邪魔する。数秒後に奥の方からはいはいという言葉が聞こえ、グレイス教皇が顔を出した。


「おや、これは勇者様や聖女様もいらっしゃるではないですか。今お茶を持ってきますので少々お待ち下さい」


「いや、別にいい。それよりも爺さん。今からここの書庫を借りることって出来るか? 魔族と天使族について調べたいんだ。王立図書館に行っても自分たちが調べたいものは出てこなかったからな。たぶんここにはあると思って」


「…………ならば面白い日記が残っていたと思うぞ。わしの考え方はそこから来ているからのう」



グレイス教皇は僕たちを地下にある書庫へと案内してくれ、一冊の本を出してきた。ホコリが被っており何十年も開かれていないことが一目でわかる。



「これじゃ。王宮においておいたらいつか処分されるんじゃないかと思ってこちらに持ってきたんじゃったわ。おそらくアルミナ達が知りたいものはここに記されておるじゃろう」



そうっと開く。じっくり、でも早く目を走らせていると中を少し過ぎたあたりの文章が目に入った。




『5月18日

 私は1つ疑問に思っていることがある。

何故父上や民は天使族をあんなにも信仰しているのだろうか。口を開けば天使様ばかり。盲目的になりすぎているのではないだろうかと父上に進言してみたところ、天使様への冒涜だと説教を受けた。納得がいかない。

天使族は私達人間以上に力があるからか、欲深い生き物だと思う。数日前に本を読んだ。書庫の奥の方に隠されていてなかなか見つけることは出来なかったが、なかなか面白い内容だったのでここにメモしておこう。


"華神139年、神界ノ核、天使族ニテ破壊サレル。

神界ノ住人、アイテール、エレボス、アルタ怒ル。

ソノ後神界ハ外界トノ連絡ヲ切断スルナリ。"


 これが事実だったら大変なことではないか。

私はこんな事実を聞いたことがない。ということは天使族は隠しているのだろうか。






8月14日

 数日前、いよいよ天使族と人間族が挙兵し、魔界へ襲撃を行った。ほとんど無傷で帰ってきた我々の軍を見ると、何匹の罪のない魔族が犠牲になっただろうか。王族でありながら何も出来ない自分が情けない。いきなり攻撃され、殺されて無理な話とは分かっているが、せめて安らかに眠ってほしいと願うことしか出来なかった。神は必ずどこかで見ている。いつか天罰がくだされるだろう。』




「……特にこの2日分だろう。俺たちの知りたいことが全部書いてあったのは」


ミナギの言葉に深く同意する。

この内容だと都が言っていた事とほとんど合致する。やはりそうだったのか、という言葉しか出てこない。



僕達はただ黙ることしか出来なかった。




「…………わしも何十年か前にその文を見てな。死にものぐるいで見つけたものがあるんじゃ。わしは使うことが出来なかったが、、アルミナ達ならできるかもしれんのう」


そう言って出してきたのは一枚の紙だった。


「これは生涯に一度だけ神界に行くことのできる転移陣じゃ。それも素質のある者だけがの。わしはもう使えん」


「神界って、、神の住んでいるところですか??」


信じられなかった。僕達人間が行くことができるなんて。


「わしはお主たちに世界を変えてほしいんじゃ。もうわしみたいな老いぼれは若いものにしか頼むことが出来ないからのう。その紙に光魔法を放つと発動するようになっておる。元々は天使族のものじゃったからな。何か分からないことがあれば聞くと良い。わしは上に行っておる」


そう言い残しグレイス教皇は階段を上がって行ってしまった。

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