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131 逆授業参観が嫌な子達

「……人間達をこちらに引き入れるって言ったって、どうやればいいんだ?」


まあ一番の問題はそこだね。私達がこうやってどうこう考えたって結局実践できないと意味がない。それに人間を取り込んだとしても人間の戦力なんてたかが知れてる。だから結局主な戦力のところは魔族が補わなければいけない。つまり魔族側からも軍を出さなければいけないということだ。


「ん? これって私一人で片付けられないものだろうか」


そういえば私の厨二病ネームの由来はバッサバッサやったときについたものだ。あれくらいなら余裕といえばちょっと嘘になるが前よりも比べ物にならないくらい力も付いているしいけるのではないだろうか。


「絶対にやめろ。また一人でしようとするな。今度は何があっても俺たちが止めて、死んでもついていくからな」


親友ストップがかかりました。

トウカが男前すぎて泣けてくる。


「そうだね。それに僕の感ではまだ天使族は力を出していないように感じるんだ。だっておかしくない? なんで魔族と互角に戦える種族の幹部があんなにポンコツなの? 僕たちを油断させるためにわざともっと上の人が命を出したように思うんだ」


ヴィスタの考えにハッとする。

それはそうだ。私達魔族の幹部はどこに出しても全然恥ずかしくないようなヒト達なのになんで天使族はあんななのか。

ヴィスタはこれでも一応魔界一番の頭脳とか言われているから信用はできる。たぶん。


「人間引き込み案なのだけど、ミナギがいるんじゃない? あの人、一応勇者パーティーなんでしょ? それに癪だけどあとの二人もなんだかミアと仲が良さそうだったし、勇者パーティーがこちらについたら後はなるようになると思うわ」


怜央達か。

怜央も桜子も前世では苦難をともに過ごした親友だ。だからこそ対立するのはやっぱりちょっと心苦しいし、出来ることならやりたくない。でも少なからず私は使命というものを一応背負っていて魔界を危険に晒すわけにはいかない。それでも仲良くしたいなんて私の我儘だろうか。それこそ自分勝手だと言われてもおかしくない。


「美凪は絶対こちら側に来る。それは確信してもいいと思う。あと怜央と桜子は……わからない。わからないけど……あの二人は結局こっちに来そうな気がする」


何故か分からないけどそういう確信に近い何かがあった。


「ほんとはね、対立するのは嫌なんだ。でも結局は二人に偉そうなこと言って気を張ってるだけで。私がこの道を選んだことは後悔してないよ? でも時々私、間違ってないかなって、そう思ってしまう。それって自分勝手な考えだよね」


ポロリと出てしまった言葉を最後まで3人はじっと聞いてくれた。


「俺はそのレオ? 達とは喋ったこともねえし、何も偉そうことは言えないが、ミアはミアのままでいいんじゃないか?」


私は私のままで。


「ミアが正しいと思ったことはやり進めばいいよ。僕達はミアにどこまでもついていくし、違う方向にそれていったら必ず助ける」


ヴィスタ、、


「それになんだか安心したわ。ミアもそんな悩み持ってるのね。急にヒトらしくなって私は嬉しい」


「ヒトらしくなかったってこと?」


それはそれでどうなのだ。私はいたって健全な魔人だったはずだが。


「正直に言うとね、たまにミアが分からなかったのよ。同じ魔族なのにミアの考え方はは魔族らしくて魔族らしくなくて。どこかつかめないヒトだったわ」


「ミアもミアで神様との関わりとかあのゲルディアス様と幼い時から対等に話せてたりしたしね」


「そうだな。でもこんな話聞いてるとミアはやっぱり俺たちと同じ魔族で幼馴染だ。なんか改めて安心したんだよ」


ほろりと3人の言葉に胸が温かくなる。


「ありがとう」


やっぱり私は愛されてる。前世も今世も周囲の人達には恵まれてるな。

だがあまり長い時間しんみりともしてられない。


「じゃあ話を戻そう。ということは勇者パーティーをどうにかしてこちらに引き入れるとして、そこからどうするつもりだ?」


「問題はそこだよね。大きな目で見たらあとは天使族の幹部たちを、核を破壊しようとしてるやつを根絶やしにする。でもそうしたらたぶん上のヒト達がいなくなると天使族は成り立たないと思うの。そこをどうするかだよ」


ただ天使族を根絶やしにするのだったら天使族が私達にしてきたことと同じになってしまう。何も知らないヒトも、何の罪もないヒトも中にはきっといる。


「おそらくだけど、天使族の幹部全員が核の破壊に賛成してるわけではないと思う。もしみんなが賛成だとしたらもっと早くにこの計画が実行されていたはずだ。ミアの話によると天使達はまだ核の破壊のために神界へ乗り込んで来てるわけじゃないんでしょう? なら実行はされてないはずだから」


なるほど。


「じゃあそいつにかけるか? ただそんなのがいるかもわからない上でリスクが高すぎる」


「そうだね……。こちらの計画実行の際に誰かひとりを引き入れれるのはどう? 別に幹部じゃなくてもいいじゃん。何十万の中にひとりくらいは絶対にいるから」


「ならそういう方向でいこう。でもまずは私達だけで話していても意味がないじゃん? ちょうど明日魔族幹部会議があるってこっそり聞いたからそれに突撃しよう!!」


正気か!? と一斉にこちらを見る。

いやいや、正気も何も、私はいつもいたって正常ですよ。


「だって早いじゃん? 魔界の偉い人全員大集合だよ? 手間が省けるって」


「それも一理あるね。手っ取り早いといえば手っ取り早いけど……、僕も父さんいるし……」


「お母様がいるじゃない……」


「おれも父上が……」


まあ皆族長の子供だからね。そう考えたらなんかすごいね。


「日和ってたら何にもできないよ!! まだ身内なだけいいじゃん! これが知らない人だったらもっと気まずい」


たぶん3人が行きたくないのは自分の親がいるからだ。だから私はごねる3人をどうにか説得させて乗り込む準備をしたのだった。

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