128 初っ端から面倒事
新章です!
子供達がたくさん攫われてから多くの魔族が失踪するようになった。理由はわかっている。天使族による拉致だ。
ほんとにあのヒト達ってこんなことやるのかな。普通の神経してたら他所様の子供とか大人とか拉致しないでしょ! 感覚がおかしいのかなー。全員が全員おかしいか、上に立つヒト達がみんな狂ってるのか。
どちらにしろ根本的な問題を解決しないとこの戦いは終わらない。
まあひとまずは先程連絡が入ったことから片付けよう。どうやらまた群れで拉致されたらしい。ゴブリンとかリザードマンとかは私達みたいに高度な知能はないし、抵抗力も低い方で桁が違うけどそれでも群れで拉致するのは良くないと思うよ。同胞を助けに行くべく、私、レーイン、トウカ、ヴィスタは共に教えてもらった場所へと行くことにした。
◇◇◇
「薄暗い森だね」
どんよりとしていてジメジメとあまり心地の良いものではない。場所的にはここなんだけどな。てかガリレイド国にこんな森あったっけ。
ザクザクと歩いて進んでいると少し開けたところに出て、ボロボロに崩れた廃墟が目に入った。いかにもお化け屋敷でありそうな廃墟感である。そういえば前に映画見たときこんな屋敷あったなー。あれ、めちゃめちゃ怖かった。あんなの映画館で見るもんじゃないわ。貞子並みに怖かった。
「あ、あれじゃないか?」
トウカの指差す方を見ると、30体くらいの闇堕ちしたゴブリンがいた。多分あれだ。でも多分さっき情報が入ってきたっていうことだからまだ闇堕ちしてそんなに時間は経っていないはずだ。これなら確実に戻すことが出来るだろう。
早く終わらせて帰ろうと思った矢先、後ろから鋭い声が飛んできた。ちなみに人の気配がすると思った瞬間私達はすぐさまフードを被りましたよ!! 流石の反射神経能力!!
「お前たち!! ここで何をしている!!? ここは今朝から国の命令より立ち入り禁止区域になったはずだ!! 冒険者か何か知らんがすぐにここを立ち去れ!!」
……もしかして、なんかめんどくさいのに捕まった?
服装から見て見るに騎士っぽいけどな。闇堕ちしたこの群れを聞きつけてやってきたのかな。どけとか言われてもね。私達が先にいたんだし、森の中に直接転移してきたからそんな禁止区域になっているとか知らないしねえ。
「聞こえないのか!? これはお前たちのためを言っているのだぞ。ここは危ないんだ。騎士でもない半端者が来て生き残れるはずがない!! 私達が守るからすぐにここを離れなさい!!」
はん? 勝手に決めつけるのはどうなのよ。それに多分あなた達の総合値ではこの群れにすら対抗できないよ。弱い弱い。なんでこんなタイミング悪いのかな。
どうして対処するかと悩んでいたとき、敵陣(ここでは騎士団を指すよ)からコソコソと話し声がしたため、気になったからスキルを使っている聞き耳を立てる。私だけゃないよ。皆してるよ。
(団長。あいつらおそらくあの宵闇です)
(なんだと? けれど最近は見なくなったと言っていたじゃないか)
(そうですけど、あの特徴と立っているだけで襲ってくる威圧感は確かにそうですよ。一人足りませんけど)
(けれどもここをどいてもらわないわけには私達の目的が達成されない。ここは穏便に済ませたいが……)
(あちらも私達がガリレイド国の第一騎士団だとわかると勝手に退くでしょう)
勝手なこと言われてた気がするけどそれよりも一番気になったのは宵闇のことだ。え、私達そんな有名になってたの? だって普通に薬草取って依頼討伐してただけなのに。人間界のお金を稼ぐためだけにしてたと言っても過言ではなかったのに。
ちらっとレーイン達の方を見ると、やっちゃったかな的な顔してたので多分原因はあの子達だ。今回は多分珍しく私のせいじゃない。
「あなた達は宵闇の方々ですか。こんなところでお会いするとは。私達はガリレイド国の第一騎士団です。ここを退いて頂くようご協力お願い致します」
多少綺麗な言葉遣いも出来るのかと少し感心して見ていたら横からヴィスタが出てきた。ヴィスタが出てくるのは珍しいけど話し合いみたいなものではここではヴィスタが一番向いているだろう。
「こんにちは。騎士団の皆様。そしてさようなら。何故僕たちがここをどかなければいけないのです? 要するにあそこにいる魔族たちを一掃すればいいのでしょう。それでは僕たちにお任せください」
「な……!! 相手は魔族だ。それに何十匹もいる!! お前ら4人ごときで倒せるわけないだろう! 話が通じない! 申し訳ないがここは実力行使で行かせてもらう!」
なんと短気な騎士団長様だろうか。レーイン達もなんだコイツっていう顔で見てるし。
実力行使って言うことはこちらもそのつもりでいいのだろうか。ま、別にいよね。余計な時間取っちゃったしさっさと終わらせたい。それに時間は早ければ早いほうがゴブリン達にとっても生存率が上がる。
仕方ないなと戦闘態勢に入り、五十人程いるであろう騎士団の人たちを一人ずつやっていく。もちろん殺してはいないよ。ここで殺っちゃうと普通に人間界だしあとあと面倒くさいからね。
サクサクと進めていく。
予想通りかそんなにも時間はかからなかったのでゴブリン達に回蘇をかけていった。そしてウィスター達に魔界の安全な場所へ移動してもらうように頼む。
ついでだし少しあたりを散策し、そろそろ戻ろうかとしたときだ。
久しぶりに幼馴染の姿が目に入った。
廃墟がある映画は体を探すやつです。とてもとても怖かったです。
それと少し忙しくなりそうなので次の更新は9日金曜日になりそうです……。余裕ができたら一話か二話更新しようかなと思います!!
終章、引き継ぎよろしくお願いします(_ _)




