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126 《再会2》

「よお、意外と早かったな。なんでこんなところにいるんだ?」


僕達は目を丸くする。

と、ミナギの言葉で4人がローブのフードを取る。


一番中心にいる人は腰まである黒髪を綺麗に切りそろえ、肌は驚くほど白い。美人だけど少し釣った大きな目が強い印象も取られがちだろう。

その横ははっとするような金髪をなびかせていて驚くほど美しい女性。この二人は人間だと言われてもなんの違和感もないし、むしろ僕にとっては人間だと言われたほうが自然だ。けれどもその隣と後ろにいる人たちがそうではないことを告げていた。

一人は比較的長い髪は赤と白のグラデーションがかかっていて、頭の前方には黒く、長い角が2本綺麗に伸びている。もう一人は不思議な色合いをした髪を襟のあたりで揃えており、明らかに人間の大きさではない目を持っている。

そして何よりどの人も人間離れした美しさが際立つ。



まだ動くには早いと思い、様子を見ていると隣りにいたバリス先生が急に震えだした。


「どうしたんですか!?」


その震えが尋常ではなく、思わず声をかける。が、おそらく僕の声は届いていないだろう。


「ああ、なんてことだ。また(・・)現れた。あの悪夢がもう一度蘇るのか? もうやめてくれ。すまないロワソン。みんなすまない……」


「バリス先生!!?」


どうしようもなくなって仕方なくサクラに強制睡眠させてもらう。途端にコトンと意識を失い眠ってしまった。


「バリス先生、どうしたのだろう」


「あの震えは尋常はなかったわ。何かトラウマを思い出したか、多分その原因はあの4人ね」


バリス先生を安全であろうと思われる場所に寝かし、僕たちもローブの人達のところへ向かう。


「ミナギ、これはどういうこと?」


明らかにこの4人がやったとしか考えられない騎士団たち。それにバリス先生のあの震えよう。おそらくこの中心にいる者は、、"混沌の魔人"だ。



「お前は、混沌の魔人で、、間違いなのだな?」


僕の言葉にはっとサクラが黒髪の美女に目を向ける。

すると急に黒髪の美女は笑い始めた。


「あははっ、ちょ、待って待って、私のその厨二病ネーム呼ばわりまだ健在なの!? はずっ、もう忘れられてると思ってたのに」


「一応初対面でその反応はまずいだろ()


「「!?!?」」


ミナギの言葉が信じられなかった。

都!? どういうことだ??


混乱して声も出せない。

だって目の前にいるのは混沌の魔人呼ばれる魔族で。数年前に人間界と天使界を混乱に落とし込んだ張本人で。

それが都? 都は僕たちの幼馴染のはずだ。何故……?


「はー笑った。じゃあまあ改めまして久しぶり、怜央、桜子。元気だった? 私もね~って話したいところなんだけど、周りには人間がいっぱい転がってるしさっきいた大人の人が取り乱してたってことは私の魔人の噂、知ってるのかな? じゃあ良いイメージはわかないか。タイミング、最悪だね」


ははっ、と軽く笑う黒髪の美女は本当に都だろうか。

でも僕達の名前を知っていたし、雰囲気は都そのままだ。ミナギの言葉からしても全くの別人ってわけではないだろう。


「ミナギ、ミナギは都のことを知っていたの? それでどうして僕たちに教えてくれなかったの? あんなに必死に探してたのに結局は一番身近な人が存在を知っているって……」


灯台下暗しとはまさにこのことだろうか。いや、少し違うかもしれない。

今はミナギに裏切られたという気分よりもどうしてという感情のほうが強かった。


「どうして、そうだな。都自身がまだ隠して置きたかったからかな。俺はそんなにホイホイと嫌がるようなことをするほどクズじゃねえし、どちらも俺の大事な幼馴染だ。どちらの意見も尊重してやりたいし、俺個人の私的な感情でもまだレオン達に教えるのは早いかと思ったしな」


「どういうこと? ミナギはずっと私達を騙してたってこと? 私がどれだけ都にあいたかったか、一番わかってるはずじゃない!!」


先程まで気配がわからなくなるくらいまで静かにしていたサクラが急に喋り始めた。あまりにいきなりだったため僕達はびくりと反応してそちらを見る。


「物心ついたときからずっと都のこと探してて、レオンは予想以上に早く見つかったから良かったし、ミナギも変わってなくて安心したけど、都だけが見つからなくて。どの国行っても、スラム街のところを覗いてみたりしてもどこにもいなくて。いざ蓋を開けてみるとあの混沌の魔人だったし、そのことを知っているミナギが直ぐ側にいたって……。私の今までの努力は何だったの?」


しんっとその場が静まり返る。

サクラは誰よりも一番都を探していた。だから都が自分の敵対していた魔族で、しかも混沌の魔人だったという事実が受け入れられていないのだろう。

今すぐ嘘だと、悪い冗談だと言ってほしいと言うように都とミナギをじっと見つめていた。幼馴染だからわかる。きっとふたりとも気づいている。


いくらか時間がたって、都が何か言おうとしかけたときだ。


「ねえ、あなたは何なの? ミアとどういう関係かしらないけど勝手に自分たちの世界作らないでくれる? 私もミアもあなたみたいなお花畑にはかまっている暇がないのよ。用事がないなら今すぐ私達は出ていいかしら? もちろんミアも連れて行くわね」

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