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125 《再会1》

緊急収集で僕達はガリレイド国へとやってきた。本当に急らしく、滅多に使えないという転移陣を使って王城に向かう。

どうやら魔族、ミナギが言うには闇堕ちした魔族が大量発生したらしい。本当は緊急収集を行う必要はないのだが、どうやら数日前に騎士団を送ったが途中で不自然に連絡が途絶えてしまったようなのだ。場所も場所で放っておくと王都に影響が出るかもしれないということが大きな理由らしい。


久しぶりに王城へ足を踏み入れる。

謁見室へそのまま行くと、すでに国王とその側近、そしてバリス先生がその場にいた。


「よく帰った、サクラシア、レオンハルト、アルミナよ。もう理由は聞いておるな。帰ってきて早速だがすぐに向かってほしい」


数十人送られた騎士がこうなってしまったのは予想外だったのだろう。隣りにいる側近達も焦りを隠せていないのが僕の目から見ても分かった。

そしてきっとバリス先生がいるのは不安だからだ。僕は仮にも勇者、そしてサクラは王女で聖女。ミナギだって国一番の魔導士。ここで失ってしまったら国にとって大きな損害となるだろう。それに僕もバリス先生がいると心強い。なんて言ったって"あの日"を乗り越え、精神状態が安定している唯一の人だ。


「承知しました。それでは行ってまいります」


そう残し、僕たち四人は王城をあとにした。



◇◇◇


「バリス先生もお久しぶりですね」


目的地までは馬車で移動し、闇堕ちが大量発生した森の入り口までいき、そこから歩いていくそうだ。


「そうだな。レオンの出発から会っていないからな。元気にはしていそうだな」


「特に体調をくずすこともなくやっていますよ。それにしても今回の件、バリス先生がいらっしゃるとは思っていませんでした」


「まあな。本当は騎士団でなんとかなると思っていたのだが……。勇者パーティーだけで行かせてもし何かあったらいけないということで私もそれに同行する形になった」


やはり。けれど魔族、闇堕ちの大量発生で勇者パーティーだけでは心配ということは僕達の魔王討伐はどうなるのだろうか。絶対に魔王討伐のほうが今回の件よりも危険度が上がると思うし、僕達のレベルが問われているとも取れるのだが……。


「そういや、バリスさんはレオンの師匠だと言っていましたね。剣術はレオンのほうがうまいんですか?」


ミナギの質問に少し悩む形で答える。


「うーん、、教えるときは確実に私のほうが上だったが今はどうかわからないな。なにせレオンは勇者だ。それにレオンは人一倍努力している。おそらくもっと強くなったら私なんて太刀打ちできないだろうよ」


こんなところでバリス先生からこんな言葉を貰えるなんて。少し感動して涙が出そうだ。


「俺は剣が全く使えないので。その分魔術で援護しようとは思ってます」


「それは心強い。アルミナも国一番の魔導士と言われているそうだな。国一番なんてそれこそ相当な努力をしたのだろう」


ミナギの言葉のおかげかだいぶ場が和んだ。こんな気を使いながらなおかつ相手の機嫌を取って、場を和ませるというトークスキルは前世では持ち合わせてなかったから宵闇にいたときにでも身につけたのだろうか。

僕としてはミナギの成長も感じるし場も和んだため純粋に嬉しい。


そんな他愛もない話をしていると目的の場所へついた。

その森はまだ昼を少しまわった時間だというのに薄暗く、心なしか不気味に見える。それに恐ろしいほど何も音も聞こえない。


ゴクリと隣でサクラが息を呑んだのがわかった。

僕たちも気を引き締め、森の中へ入っていった。


◇◇◇


森の中は入ってみると余計に薄暗く、前が見にくい。何も音はしないが、奥に多くの気配が気配探知スキルに引っかかったため、そちらに急ぐ。もし生き残りなどだったらすぐに助けに行かなければならないし、目的の闇堕ちした魔族だったらなおさらだ。


どこから襲われてきても大丈夫なように常に戦闘態勢に入っておく。そうして進むこと数十分。少し視界が開け、ボロボロになった廃墟が目に映った。


「うわっ、リアルお化け屋敷じゃん……」


ミナギがポツリとつぶやく。

確か気配はこのあたりからだ。慎重に廃墟に近づき、探索してみることにした。




「あ、」


唐突なミナギの言葉にパッとみんながミナギの方へ集まる。何かを見つけたようだ。そしてミナギの視線の方へ目を向けると、4人のローブをすっぽりとかぶった人たちとおそらく派遣されていた騎士が大勢、その周りに横たわっていた。


「な、何なんだこれは」


僕の漏れ出た言葉にゆっくりローブの者達がこちらの方へ向いた。

今までに感じたことのない威圧感が僕たちを襲う。

向こうの顔は見えないのに上から睨みつけられているような感覚がする。

脂汗をかき始めたところでその4人のところへミナギが近づいていった。

僕も、サクラも、バリス先生も信じられない目でミナギを見る。


「ミナギ……!!」


気が触れたのか。呼び止めても止まる気配はない。

とうとう4人の前についてしまった。なんとかミナギを守ろうと僕は動こうとする。が、



「よお、意外と早かったな。なんでこんなところにいるんだ?」


気安く話しかけたミナギに僕達は驚きを隠せなかった。


※全身ローブ姿=宵闇ということをレオンは忘れています。

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