122 《俺の頑張りを是非見てほしい》
遅くなってすみません。
12月まで少し忙しいため更新ペースが遅くなるかもです。
今回は急ぎで書いたため、誤字が多くて読みにくいかもしれません。本当に申し訳ありません(_ _)
「!!! ティナ!!?」
こんな町中に現れてしまったのなら仕方ないと腹をくくって戦闘態勢に入ろうとする。せめて痛むことのないように苦しまない魔法で終わらせるつもりだった。が、いきなりのティナの登場で俺とレオンの動きが止まる。
「ティナちゃん!? ここにいたら危ないよ!? サクラと一緒に安全な場所へ行くんだ!!」
それでも動く気配はない。俺はもしかしてと、気づいてしまった。
「ティナ。お前の父さん、なのか?」
僕の一言にそんなまさかと言うような目でレオンがこちらを見ている。
ティナがぶわっと目に涙をためてこちらに抱きついてきた。
「ミナギお兄ちゃん、どうしよう。お父さん黒くなっちゃった。もう戻ってこないの? お父さん、悪いヒトになっちゃったの? お願い、この前みたいにお父さんを助けて……」
何もできずに、ただ泣いているティナの頭を撫でることしかできない。
「ミナギ、どういうことだ。あれは魔族のはずだ。何故ティナちゃんはお父さんだと言っている? まさか……!!」
「ああ、そのまさかだよ。だから困ってるんだ。ティナの前で下手に殺すこともできない。かと言ってこのまま放置すると死人がでる。完全に手詰まりな状態だ」
どうすればいい。ティナの前で実の父親を殺すのはあまりにも酷だ。それにまだ幼いためトラウマになる可能性も充分にある。
「……おいレオン。こいつが現れたのっていつだ」
「え……? た、確か僕たちがケーキを食べている少し前だったと思う。そこから急に騒がしくなった」
「死人は?」
「今のところは出ていない。軽い負傷者はいたものの、どれも逃げる最中についた怪我らしい」
ということは闇堕ちしてまだあまり時間が経っていない。もしかしたらこれで行けるかもしれない。逆にこれ以外に方法が浮かばない。これが駄目だったら……。
ひとまずやってみない事には始まらない。
「ウィスター!! チェスター!! 俺の声が聞こえるか!? 俺はミナギだ!! トラブルが起こった。至急こちらに来てほしい!!」
大声で叫ぶ。ほとんど賭けだ。こんなので本当に届くのか。
『呼んだ?』
『もう、呼ばれたから来たんだよ。これで空耳だったら僕達は耳を見てもらわなきゃいけないね』
見覚えのある白と黒の狐が目の前に現れた。
成功だ。
「ウィスター、チェスター、来てくれた助かった!! アイツはどうしたんだ?」
『ミア? ミアは今は行ったらやばそうだからお留守番しておくって言ってたー』
『もう。僕たちが駆けつけて来たんだよ? ありがとうは?』
二匹に深く礼を言う。
ミアから大声でこの二匹を呼ぶと来てくれるというのを別れ際に伝えられた。おそらくレオン達と過ごすぶんにはウィスター達の世話になることはないだろうと思っていたが、思わぬところでこんなことになるとは。
「あいつ、おそらくさっき闇堕ちしたばっかりだ。ウィスター達なら治せないか? 生憎俺は闇魔法も光魔法も持ってないからな」
俺が指差す方を見て二匹で顔を見合わせている。
『うーん……。出来なくはないけど』
『ちょっと僕たちだけなら面倒くさいよねー』
『あれごと魔界に持って行ってミアに治して貰うのでいい?』
「治せるんならそれで充分だ」
希望が見え、ほっと一息ついたときに不安げにティナが俺のローブの裾を引っ張った。
「お父さん、治る?」
「ああ、コイツラはティナも見たことはあるだろ? この二匹がお前のお父さんを治してくれる。ただ今は無理らしいからな。治ったお父さんと会うのはもう少し先でもいいか?」
うん!! と勢いよく頷く。
その笑顔を見て良かったと心の底から思った。
「じゃあウィスター、チェスター。悪いがあの闇堕ちを頼む。それと誰でもいいから今日の夜教会に来るように言ってくれないか。ティナを魔界へ連れて行ってもらいたい」
『お安い御用だよー』
『僕たちに任せて』
そう言ってあの闇堕ちのそばまで行くと思うと二匹と一人は何処かへと消えてしまった。
周りには誰もおらず、静寂の中にティナのすすり声だけが響いている。レオンは前世で難しい問題に直面したときに良くなっていた計算モードになっている。あれになると声をかけない限り動かない。サクラは呆然と虚空を見つめていた。
………………はあ。
俺はこの場をどう収めればいいんだ?
死者はいなかったとはいえ所々で家の損傷が目立つところがあるし、一応けが人の手当や俺達のことも色々と公表しなければいけない。勇者パーティー何かとめんどい。あとティナも放っておく訳にはいかない。
それに加えてあの二人の有様だと俺一人でしなければいけないのか??
もう一度大きなため息をつく。
とりあえず動かなければ。停まっていて始まるものはないと修行のときに学んだ。それに今日の夜はティナを教会まで連れていかなければいけない。本当は明日のほうが良かったのだが出来るだけ早くレオン達からティナを離したほうがいいだろうと判断した。そりゃレオンとサクラを加えることは多分ないが念のためだ。
色々考えた結果、一人では絶対ムリだろうという結論に至る。そのためレオンにも計算モードから戻って来てもらうため、レオンのところへとのそのそと歩いていった。




