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120 《ティナ》

遅くなりました

「ミナギお兄ちゃん!!」


バッと女の子がミナギに抱きつく。ミナギもいきなりのことで驚いているようだったが、まったく知り合いじゃないわけではなさそうだ。


ミナギ(・・・)お兄ちゃん……?」


サクラの強調して出てしまった言葉に激しく同意する。普通に聞いていたら何も問題ない、女の子がお兄ちゃんを見つけて抱きついたような絵に見えるが、そうではない。

彼女はミナギだと言った。彼の今世の名前はアルミナだ。どう頑張ってもミナギにはたどり着かない。しかも愛称として呼んでいるのは僕とサクラだけで、他の人はもちろん、彼の育て親のグレイス教皇だってアルミナと呼んでいた。

他に愛称としてこの名前を使っていたのか?



「ああ!! ティナじゃん!! 元気だったか?」


「うん! あの後は皆でちゃんと帰ってパパにも会えたの!」


「それは良かったな!!」


なんとあのミナギが輝くばかりのキラキラな王子様笑顔で幼い女の子とお話してるではありませんか。内容こそ僕達は理解できないものの、おそらくミナギがどこかでこの子を助けたのだろう。人助けしてるなんて正直意外だった。


「ちょっとミナギ、その子誰よ」


「こいつはティナだよ。数ヶ月前くらいにちょっとした事件があってそのときにいたんだ。まさか覚えているとはな」


「お兄ちゃん大活躍だったよ!! 他のお兄ちゃんとお姉ちゃん達も格好よかったけどティナはお兄ちゃんが一番好き!!」


そう言ってニコニコとミナギに頭を撫でてもらっている。


「か、かわいい……!!」


まだふにふにのほっぺで溶けそうなくらい喜んでいる女の子の姿はサクラの心に刺さったみたいだ。僕達は誰ひとりとして弟や妹がいなかったから新鮮である。


「そうだ。なんでこの子がミナギの名前知ってるの? アルミナじゃなくて"ミナギ"で色々活動してた?」


「いや、特にそういうわけじゃないんだけど、、まあそんなところだな」


なんだかぼかされてしまった気もするけど。

まあそこはそんなに重要じゃないしいいか。僕もティナちゃんに挨拶をしよう。


「こんにちは、ティナちゃん。僕はレオンハルト。レオンって呼ばれているよ。ミナギお兄ちゃんの友達なんだ。僕とも仲良くしてくれると嬉しいな」


「私はサクラシアよ。サクラって呼ばれてるわ。ティナちゃん、女の子同士仲良くしましょう」


するとティナちゃんは僕たちのことに気づき、さっとミナギの後ろに隠れてしまった。人見知りがあるのだろうと理解したが、前世ではよく小さい子に懐かれていたサクラは結構ショックを受けていたみたいだ。



「ミナギお兄ちゃん。私あの人たち苦手」


ぼそりと僕たちに聞こえないくらいで言ったつもりなのだろうがあいにく聞こえてしまった。僕も前世も今世も人当たりは良いと何度か言われたからちょっとショックだ。


「あー───、ティナはちょっと人見知りがあるからな。初対面の人には大体そうだ。だからそんな落ち込むなよ。ほら、ティナも。外見で判断するのは良くないってヴィスタによく言われてただろう。コイツら、ティナの好きな王子様やお姫様みたいだろ? 実際こっちは国のお姫様だ」


「じゃあミアお姉ちゃんと一緒?」


「いやーー、アイツはちょっと違うな。まあこっちのほうが見た目は絵本の中のお姫様に近いだろ。ほら、ティナの言葉であんなに落ち込んじゃってるぞ? ちゃんとごめんなさいしてきな」


「わかった」


ミナギと少し話をしたあとにおそるおそるこちらへ近づいてきた。


「あの……、さっきはごめんなさい。えっと……」


言葉に詰まりミナギの方を振り返る。ミナギは何かを口パクで伝えており、ちゃんと伝わったようだ。


「えっと……、な、仲良くしてくれますか?」


控えめに尋ねる姿はサクラにクリティカルヒットしたようだ。さっき言われた苦手という言葉も忘れてキラキラな笑顔に戻っていた。


「ええ、もちろんよ!! ティナちゃんともっと仲良くなれるように私も頑張るわ!!」


ブンブンと繋いだ手を振り回している。ぎこちない笑みだがティナちゃんにも笑みが見えたのでこれはこれで良しとしよう。



◇◇◇


それから宿に泊まり、さっきと予約していた部屋よりも一回り大きい部屋をとった。運良く空いていたようで良かった。


ティナちゃんに僕たちの事も受け入れてくれたのかなとも思ったがまだ早かったみたいだ。ご飯も、お風呂も着替えも、絶対にミナギのそばから離れない。

見知らぬところに一人でいたらそうなるだろう。


ミナギが聞き出していわく、父親と来ていたそうだがはぐれてしまったらしい。衛兵には届けを出しておいたから見つかればすぐに連絡が来るだろう。それまでは僕たちが預かることになった。


幼い寝顔を横に僕たちも横になる。

ティナちゃんの横にミナギ、サクラ、そして僕だ。

しかし今日一日でもミナギの知らない一面ばかりだった。前世はよくあれくらいのこと同じように張り合ってたのに成長したなあ、と思うのもしばしば。

サクラは「明日こそは仲良くなるぞ!!」と意気込んで布団の中へ入っていった。




ミナギが何かを深刻そうな顔をしていたのも、ティナちゃんが何者かも知らずに。

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