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12 〈会議〉ゲルディアス視点

これは今から約3年前のお話。



魔王城の一室で各種族の長たちが会議を開いていた。


鬼ヶ里、里長 鬼人 ジン

吸血鬼の洞窟、族長 吸血鬼 イリアス

エルフの村、村長 エルフ ヴィルク

蜘蛛の巣、巣長 アラクネー ケリスナ

龍族、族長 龍人 ラトー


魔界、魔王 魔人 ゲルディアス



「久しぶりね〜、ゲルディアス。何百年ぶりかしら? 貴方が魔王になったとき以来から一切呼んでくれないじゃない?」


「呼ぶ必要がないからだ。前魔王と違って今の魔界は安定している。強いて言うならば人間と天使たちをどうするかではないか? イリアス」


「おや? 今日はそのことで我らは呼ばれたのではないか? 人間と天使の件については鬼ヶ里でも現在調査中だが……」


「その話は後だ。それよりも大事な話がある。先日、神からの"令"があった」


「「「「「"令"!?!?」」」」」


皆がほぼ一斉に席を立ち上がる。

"令"とは神から直接命令がくだされることをである。

"令"が降りると大概の場合は緊急収集をしなければならず、かつ事を慎重に決めていかなければならない。


「"令"が下されたのは1000年ぶりだ。この中で以前"令"がくだされた際に生きていたやつはいないだろう。だからこそ慎重に決めていかなければいけない」


「そ……それで、その"令"の内容は何なのですか?」


ラトーが恐る恐る尋ねる。

龍人はこの中でも最弱に値する種族。おそらくはこの、覇気が強すぎる中にいるのも辛いのだろう。


「子供が送られてきた」


「子供? 貴方の子じゃなくて?」


「なぜ私の子になる。そもそも私には番がいないだろう。……そんなことはどうでもいいのだ、……話を戻すぞ。"令"の内容は……まあ見たほうが早いだろう」


バッと内容を見せる。


『この少女を送ったわよぉ。異世界から連れてきたから、色々な違う視点の意見を聞くことが出来るでしょう!! ただし、この子も今のこの世界の現状を詳しくは把握していないのよねぇ。どう転ぶかは貴方達次第☆』


…………。


「……で〜? その子は何だったの〜?」


「名はミア。種族は私と同じ魔人だった。彼女には見たこともないスキルや称号が生まれた時点で持ち合わされている。皆も知っているだろう、私達は光魔法が一切使えないことを」


「ええ、もちろんです。光魔法は天使界のものしか使えません。逆に彼らは闇魔法を使えませんが」


ケスリナが答える。


「ああ、だが彼女には闇魔法と光魔法、両方の属性が見えた」


「どういうことだ!!?」


ジンが珍しく声を荒げた。


「落ち着け。まだミアは喋れないため詳しくはわからないが総合値も予想以上に高かった。おそらく余裕で龍人のひとりやふたりは素手で倒せるだろう」


ヒッとラトーが声を上げる。


「ねえ、ゲルディアス? 貴方はその子をどうするつもりなの〜? 今、魔界と上の関係は危ないわ〜。その事に兵器として使うつもりなのかしら~?」


「我は彼女をどうするかで魔界のあり方が変わってくると思うぞ? 彼女はおそらく味方にも、敵にもなりうる存在だ」


「ああ、わかっている。私はミアの気持ち次第でいいのじゃないかとも思っているんだ。彼女の役割はあくまで意見発言だ。神はそこまでミアに要求していない。魔界と上の関係は私達魔族の問題でもある」


「そうね。まだ大丈夫そうだけど……。そういえば人間界、最近勇者が生まれたらしいわ。それにガリレイド国王の娘も。ふふ、またこの子達はパーティーを組んで私達を倒しに来るんじゃないかしら?」


イリアスの情報網は蜘蛛の糸のように太くて長い。また絡まっているためどこかが落ちても、またどこかが裏切っても裏切りがえすようにでき、簡単にはぬけだせないようになっている。


「人間なんぞ弱い。放っておけばいつかは死ぬ。だが時期が被りすぎているのが気になるが……」


「これからは新しい風が吹くだろうな。何年後になるかはわからないがミアも成長する。その時は光魔法と闇魔法のどちらの属性も持っているもの。神にまでなりうるかもしれん。現に初代魔王様は魔神になられた。ミアが味方につくか敵につくか、それは私達次第だろう」


「敵になったら恐ろしいわね〜。簡単に魔界なんて吹っ飛んじゃいそう。まあ、あの子は魔人として生まれて来たんでしょう? なら当分は魔界よりになるはずだわ。あのずる賢い天使たちに一泡吹かせることだって可能よ〜?」


「もともとこの戦いは天使たちの過ちを我らに押し付けられているだけだ。それを見越した神がミアとかいう使徒を送ってきたわけだろう? 少し同じ時期に生まれたという勇者は気になるが……」


「そういう事だ。また何かあれば緊急会議を開く。ジンは引き続き人間界、天使界の調査。イリアスは闇堕ちした者たちの管理。森の中に全部突っ込んでおけ。ヴィルクは各種族の調整。ケリスナはできるだけ情報をかき集めてくれ。ラトー、最近龍たちが暴走を起こしているようだから止めるように」



「「「「「はっ!!」」」」」


ひとり、またひとりと会議室から消えていきゲルディアス一人になった。



「魔神……か。私達はどこまでいけば変われるのだろうか」


そんなゲルディアスのつぶやきを耳にしたものは誰一人としていない。

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