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116 《龍退治1》

ガリレイド国の端にある小さな村。

今回はここで少しの間滞在しようかと考え、足を踏み入れたのだ。


「今日はここ?」


「そうだね。暫くの間はここを拠点として回ろうかなと思っているんだ。小さな村ではあるものの宿屋くらいはあると思うし……」


そう言ってあたりを見渡してみる。

僕が言葉に詰まったのはこの村に違和感を抱いたからだった。


人の気配がまるでない。

けれども寂れているわけではないことがあちこちの家から見てもうかがえる。これは……どういうことだろうか。


「人は住んでるな。……ということは、、龍か」


ミナギがポツリとつぶやく。

その言葉でハッと思い出した。


そうか、龍か。


ここへ訪れたのは滞在の目的もあるが、他にもここら一帯で龍が出たという情報が入っているためでもあった。龍は他の魔族とは違い強さが桁違いである。なかなか目撃情報はないが、これは目撃した人が生きて戻ることが少なかったからだろうという事でもあった。

ひとまずこの村の住民に話を聞いたほうが良さそうだろう。周りの家と比べてもひときわ大きい、村長やそのたぐいの人が住んでいると思われる家の戸を軽くノックする。


「すみません。誰かいらっしゃいませんか?」


返事はない。試しに気配感知を発動してみると、中に人の気配が感じられた。外に出るのを恐れているのだろうか。


「すみませーん。ここで龍の目撃情報があったと聞いたのですけれども」


これでもだめかとほかを当たろうとしたとき、ギイっと小さな音をたててドアが少し開き、顔を出したのは70代くらいのお爺さんだった。 


「何の……用だ?」


「私達、旅の途中でここへ滞在したいと思っていまして。それでこのあたりで龍の目撃情報があったということで話を聞いてみようと」


「ここへは何人も面白半分で龍退治に来たものもいた。しかし誰一人と帰ってきていない。おまえ達もやめておいた方がいい。ここまで来て疲れているだろう。今日は泊めてやるから明日帰るのだな」


ぶっきらぼうな言い草だが僕たちを心配してくれているのが分かる。忠告を受け、僕達は部屋の中へ案内された。


温かいお茶を出されて僕たちはほっと息を吐く。

そしてさっきから疑問に思っていたことを尋ねた。


「そういえば、何故この村の人達は誰も外へ出ていないのですか?」


「今日は雨が降っていないからだよ。雨の日は私達の匂いを消してくれる。けれどもこんな日に外へ出たらすぐさま食われてしまう」


「外に出たら食われてしまうの?」


「そういう言い伝えだ。だから龍が出た日からは私達はこうして言い伝えを守っている」


だから誰も外へ出ていなかったのか。こういうことになってしまい農業や家畜の世話も何もできず、雨の日に物々交換をすることでなんとか耐えているらしい。でもお爺さんの話だと、そろそろ限界で次の雨の日には全員でこの村を捨て、近隣の村へ移動しようと考えているそうだ。

お爺さんのその顔には後悔とやるせなさが滲み出ていた。





「……僕たちが、退治しにいきましょう」


気づくと言葉が出ていた。

そもそもここへ来た目的は龍退治だ。それに僕たちの目的は魔王討伐。こんなところで怯んでいても先に進めない。


「気持ちは嬉しいが……、だが、、さっきも言っただろう。誰も帰ってきていない」


「僕はレオンハルト・コンフォード。それに彼女はサクラシア・ガリレイド。彼はアルミナ・アナガリスです。僕たちに倒せなかったら一体誰が倒すのでしょうか。ここは一旦騙されたと思って任せてください」


僕の言葉にお爺さんの目が大きく見開かれる。


「まさか……お前たち……いや、あなた様達は勇者様方ですか? これはなんということだ。ああ、これで村が救われる!!」


途端に涙を流し始め、何度もありがとうございますと僕の手を握って頭を下げている。まだ何もしていないのだが……。しかしこんなに喜ばれたら倒すよりほかあるまい。


皆に伝えてきます!! と貴重であるという気配を遮ることができるという薬を飲み干して、凄い勢いで部屋を飛び出して言ってしまった。


「まあ……そうなるよね。私だってそうするもの。それで、レオン。何か方法はあるの?」


お爺さんが出ていったドアを見つめ、少し考えた。


「つい思い立って言ってしまったからね。これといった作戦みたいなものはないけど……。そもそも龍を実際に見たことがないから」


「…………龍の急所は首だよ。アイツらはそこを斬られるとすぐに動かなくなる」


そうなのか!? と僕とサクラの声が重なった。


「ホントだよ。普通の龍だったら行けるが……闇堕ちしてなかったら俺達でも大丈夫だろう」


最後の方はあまり聞き取れなかったが、これで急所、もとい狙うところは分かった。明日までにそれなりの連携を考えておこう。


飛び出して行ってしまったお爺さんからは先に休んでいてくだだいと言われていたため、明日も早いし、お言葉に甘えて休ませてもらう事にした。




翌日、僕達は雨が降ってないのにも関わらず盛大に見送りされ、小さな村を出発した。


めっちゃ話の展開が早くて自分でもびっくりしてます。

語彙が天から降ってきてほしい。

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