表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

114/179

112 《不思議な気配》

ここからは当分レオ視点です。

お付き合いください(_ _)

魔族一掃事件。

まだ詳しいことは何もわかっていないが、ある日突然人間界にいる魔族がぱたんと姿を表さなくなった。サクラ曰く、白と黒の光が色々な方向に飛んで行った日が境目だそうだ。僕たちには見えなかったから光魔法を持っているものだけが見えたのだろうか。

確かにあの日は王や人間界に期間限定で滞在している天使族達は焦っている様子を見せていた。が、僕には詳しいことは分からない。バリス先生も何も知らないようだったからおそらくは極秘事項なのだろう。


そんな事件から約一年がたった。


魔族に関しては落ち着いてきたかとも思われたが、天使族曰く、活性化する前の状態なのだそうだ。そのため僕たち勇者パーティーは旅立つことを公表した。


パーティーメンバーは、勇者である僕、レオンハルト・コンフォード。聖女である桜子、サクラシア・ガリレイド。大魔導師である美凪、アルミナ・アナガリス。


このメンバーでうまくいくのかという心配は驚くほどに微塵もないが、やはり都がいないのが寂しい。でも確実に僕たちは出会ってきてきている。サクラに関しては魔王討伐の旅で必ず都を見つけるのだと意気込んでいた。


そういえばミナギはなにか少し変わった雰囲気だったな。

僕たちのいなかった約16年間で色々とあったのだろう。プライベートの話だ。そこは土足でズカズカとは入らないが……やはり気になるものは気になる。教えてくれる事をまとう。


「勇者様、ご準備はできましたでしょうか」


王城の使用人がドア越しで尋ねてくる。本当は着替えなんかも侍女達にやってもらうのが普通なのだが、自分で着れるものは出来るだけ人の手を借りたくない。


「ああ、すぐに行く」


パレード用の豪華で遠目からみてもばっちりと勇者とわかるような衣装である。まだこういう服はコスプレ感が拭えず、着る前に躊躇してしまう。


皆が待っているであろう談話室へ向かう。

と、どうやら僕が最後だったみたいでサクラとミナギはもう座っていた。王の気遣いもあり、この場には3人しかいない。ミナギと出会った頃のことを思い出す。


サクラはこちらもパレード用の遠目からみてもはっきりとわかるような華美な聖女衣装だ。正直聖女としてそんなにゴテゴテしていて大丈夫なのかと心配になる。

ミナギはいつもと同じ黒のローブを足の先まですっぽりと被っている。いつも通りの服装だが、実際黒のローブは大魔導師しか着用しないため、これが一番大魔導師っぽいといえばぽい。


「おまたせ。3人とも早いね」


「早いとかじゃないわ。今日は朝から磨かれっぱなしよ。そんなにお風呂に入ってどうなるの? パレード出る前に私がふやけるわ!!」


「俺はいつも通りだしなー。お前たちみたいにそんないかにもです! みたいな服は着ないわけだし」


まあ前世から変わらず自由である。


「ねえ、今日ってこれから馬車に乗って王都を一周するのでしょう? で、その後に他国のおえらいさん達に私達のことを見せつけて。私達いつ寝られるのよー!」


「サクラ、言い方考えろよー。一応ここ王城だぞ?」


「別にいいよ。私、王女だし」


「うわ、権力の無駄遣い」


相変わらずだ。


「仕方ないしね。今日くらいは大人しくしておこう。明後日は旅立ちだから嫌でも僕たちだけで生活していかないといけなくなるから」


「それもそうね。私は速く都を見つけたいし。なんで都よりも先にミナギなの? そりゃ見つからないよりは絶対いいけど、、私は都にあいたい!!」


「いや、そんなこと俺に言われても」


こんなパレードとは全く関係のない話が続き、あっという間に時間が過ぎていく。いつの間にかパレード直前まで迫ってきていたらしく、僕たちが話に花を咲かせすぎていたため、使用人たちが呼ぶに呼べず部屋の前をウロウロしていた。








出た瞬間に異様な歓声に包まれる。

途端に僕たちは笑顔で国民たちに笑顔で手を振る。


これも慣れたものだ。はじめは戸惑いもあったけど生徒会での演説のようなものだと思えば自然と力が抜けた。僕もサクラも上手になった。しかもここでは予想外にミナギが上手い。多少ぎこちなさはあるものの遠目から見たらただニコニコ笑って手を振っているようにしか見えない。







街を半周したあたりでミナギがある一方のところで視線を止め、先ほどとは違う自然に出た笑みのようでどこかに手を振っている。まるで昔の友人にでもあったかのような雰囲気だ。パーティーに入る前にできていた彼女かとも思い、興味半分でそこに目を向けてみものの誰もいない。

いよいよミナギがおかしくなってしまったのかとも思ったが、視界の端をすっとフードの集団が横切った。バッとそちらに振り返っても誰もいない。気のせいかとも思ったが、あの気配は……昔サクラといったラムライト国で抱いた感覚とよく似ている。


ミナギの方を見てみても、もうお目当てだった人はいないみたいでその他大勢に向かってに変わっていた。

さっき感じたのは何だったのだろうか。

もやもやとしたままパレードは終了を迎えた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ