110 意外と一番疲れた戦いだった
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「ミア様だ……!!」
「後ろにおられるのはトウカ様か? なんと有り難い……」
「キャー! トウカ様ーー!!」
「ミア様……、少しでもこちらに手を降って欲しいな……」
いかにも重たそうな扉を押し開けた途端、一瞬部屋は静まり、途端に熱烈な歓迎を受けた。正直こんなにもみんなが元気とは思っていなくてびっくりしてる。子どもたちなんか走り回って、周りの大人に叱られているほどだ。
ひとまず状況を確認したいとレーインたちの方へ向かう。
「こっちはどうなってるの?」
「順調よ。はじめの私達の正体を明かしたら途端にみんな元気になったわ。多少の傷の手当はできたし、あとは送るだけね」
「あ、そういえば都。お前たちっておえらいさんの子供たちだったんだ」
美凪の意図がよくわからない質問に若干首をかしげながら言葉を返す。
「おえらいさん……っていうか、私以外の三人は普通にれっきとした次期族長たちね。私自身魔王って立場にいるゲルさんに育てられたから立場上こういう子達が一番近かったの。ていうか美凪、知らなかったの?」
「ほら、言うと思った……」
納得したようなしてないような、そんな表情を見せている。
?? よくわからん。まあいいや。そんな重要そうなことでもないし放っておこう。
「そんなことよりもミア達は大丈夫なの? みたところ目立つ傷とかはないみたいだけど」
おお、そういえばこっちの状況説明するの忘れてた。
と言ってもあんまり言うことはないのだけど……それでも、と私達は話しだした。
◆◆◆
うまく分断できたところで私は私の攻撃に集中する。
あんな中ボスみたいなセリフ吐き出してたけど相手は天使族の幹部。しかもなんかちょっと小っ恥ずかしい二つ名までついているのだ。油断はできないとウィスター達を構える。
「行くぞ!!」
…………。
宣言いるk……いやいるね。いるいる。めっちゃ必要。
ドンッと地面を蹴ってこちらに向かってきた瞬間、向こうの方でドーンッッッという物凄い爆発音がした。そしてそれにびっくりしてしまったのか眼の前には途中でずっこけているガルヴィン。
…………。
なんか、、こういうキャラ私嫌いじゃないよ。ただ仲間にならないかって言われたら断固拒否するけど。
えっ、これ大丈夫なの?
あ、もしかしてこういう罠? 油断させたうちに私達を倒そうって言うあれね!! そういうことならトウカが相手している方がずっと眠たそうなのも頷ける!! そうだ、きっとそうだ!
ふっふっふ、私達を騙そうなんて百万年早いわ!!
コケているところにいつ襲ってきてもいいように構えながら近づく。わずか数メートルの位置まで来たところでバッとガルヴィンが起き上がってきた。
「キサマら……、よくもこの私にコケるという恥ずかしい思いをさせてくれたな……!! もう許さんぞ!!」
覚悟!! と言いながら急に接近戦である。
いやいやいや、コケたのは絶対に私のせいじゃないし、何ならあの爆発音も私じゃないからね!? しかもさっきコケたのわざとじゃないの??
軽く混乱しながらも距離が近いため意外と早くガルヴィンの剣が私のところまで届いてくる。ほぼ反射神経でチェスターを使い払い除けたその時だった。
ガキンッと鋭い音がしてガルヴィンの剣が真っ二つに折れ、チェスターがかすめたのかガルヴィンのお腹に薄く切れあとが入っている。
相手の武器も無くなったことだし今がチャンスだと思い、続いて攻撃しようとすると、ガルヴィンが何やらブツブツ呟いている。
「オレの体に傷? 今まで我が師匠以外に怪我なんてつけられたことないのに……。しかも血が……これはオレ、死ぬのか」
いや、いやいやいやいや(二度目)
え、ちょっと待って。かすり傷だよね。私見間違いじゃないよね。一応目をゴシゴシさせてもう一度ガルヴィンを見ても何も変わらない。……ガチのやつだ。
そしてガルヴィンは一瞬フラッとしたかと思うと軽く泡を吹きながら倒れてしまった。
もうわからん。何がなんだかわからん。
これは一応……倒したってことでいいよね。基本私何もしてないけど。
予想以上に早く終わってしまったため、トウカの援護にはいる。と言ってもこっちもこっちで終わりそうだった。
「クッ」と短くくぐもった悲鳴をあげちっちゃい天使が押されているのが人目でわかる。
「トウカー。こっち終わったよー」
本当は戦闘中に声をかけるなんてご法度なのだがこちらはこちらで明らかにトウカが押しているため大丈夫だろうという判断の元声をかけた。
「ああ、ミアも終わったのか。こっちももう終わるが、、」
トウカが言い終わる前にちっちゃい天使が大声で叫んだ。
「何なの!? ボクこんな強いとか聞いてなかったんだけど!? それに何? ガルヴィンもやられた感じ?? じゃあもうここは引くしかないじゃん!! あーあ、またミファエラ様に怒られるって!! これも全部ガルヴィンのせいだ!!」
さっきまで眠そうだったのに急にキャラ変しだした。
てかこんなに強いじゃなくて予想以上に相手が弱かったんだが。トウカも同じようなことを考えていたようで神妙な顔つきになっている。
小さな天使は大きな翼をだし、ガルヴィンを抱えて飛んでいってしまった。
「「…………」」
なんか、、色んな意味で疲れた。
◆◆◆
「……っていう感じ」
話し終えて、ふうっと息をつく。
「それは……なんていうかお疲れ様ね」
なんか結論よく分からない感じだった。まあ無事終わったことにこしたことはないだろう。
予想以上に力を使わなかったこともあり、このあとの一斉転移は何事もなく終わった。レーイン達がみんなの手当てをしてくれていたということも理由の1つだろう。
あとはゲルさんがなんとかしてくれると思い、私達も帰ることにする。
このあと、ガルヴィン達を倒しておかなかった事を後悔することはまだミアたちは知らない。




